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個人と機構と地域

個人や草の根のレベルから地域・県・国・大陸そして世界全体までつながった社会にするには、個人と機構と地域という三つの主役が協力し合わなくてはなりません。それは、社会の変革にはこの三者が主な役割を担うからです。個人、つまり一人一人が地域をそして社会を形成します。機構とは、行政機関や組織を意味します。地域はいわゆる地域社会で、狭義ではいわゆる隣近所、町内会や自治体レベルの集合体です。今、この三つの主役の関係が危機に陥っています。つまり個人は自分たちの自由を主張し、地域は自分たちの住む場所の改善のみを優先し、機構は住民からの従順を要求します。結果として、これらの三者間の関係は調和からは程遠いです。そうではなく、これら三つは根本的なレベルで協力と互恵の関係にあるべきです。個人は、自分の利益や利己的な関心に固執せず、全体の発展のために、ある程度の犠牲の精神を学ばなくてはなりません。また、協議をすることによって、集合的な知恵から学ばなくてはなりません。つまり、最終的には個人の意見よりも、複数の意見を吟味し、検討した方がよりすぐれた結論を出せるからです。また、物事が秩序正しく整理されるよう、機構の指示に心から従うということを学ばなくてはなりません。無論、これは盲目的な服従を意味するのではなく、成熟した理解に基づくものであり、個人の自主性と積極性は、集合体としての連携と全体への貢献という精神と行動によりバランスを取ることになります。

しかし、個人が機構の指示に喜んで従えるようになるためには、機構も成熟しなくてはなりません。機構は、ただ業務を効率よく遂行するだけではなく、個人と共同体の道徳的・精神的・知的側面に影響を及ぼす立場にあるため、上述で言及した、「徳」を実践しなくてはならず、また、ある種の自己犠牲をも求められます。

そして、機構が決めたことを実行するのはまずは個人ですが、より大きな効果を生み出すためには、個人の集合体である地域としての奉仕の精神が必要です。

このように、バハイ共同体は精神的進歩と物質的進歩とが調和し、草の根から地球全体までつながる社会の建設を目指しています。個人はその能力を開発するだけでなく、社会への奉仕という精神を養わなくてはなりません。行政は、構成メンバーが徳性そのものを養うだけでなく、行政能力も向上させなくてはなりません。地域は一致団結して、機構の決めたことを実行するというビジョンと思考と行動の一致を学ばなくてはなりません。これは遠大な事業です。短期間で達成できるものでは決してありません。むしろ、その実現のためには、まずその基盤づくりから始めなくてはならないでしょう。そこで、現在バハイ共同体が従事している最も基礎的な活動が4つあります。それは、子供の精神的教育、小学校高学年から中学生の年齢層の教育プログラム、精神的な雰囲気を育む活動、そして人材の育成です。