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草の根レベルでの人材開発

子供クラス、ジュニアユース・プログラム、ディボーショナル・ギャザリングという3 つの活動を可能にするためには、子どもクラスの先生、ジュニアユース・グループのアニメータ、祈りの会の主催者などの人材が必要です。また、ちょうど子どもには子どもクラスがあり、ジュニアユースにはジュニアユースのプログラムがあるように、若者や成人にも精神的な学びをするための学習の場が必要です。バハイ共同体は、これをスタディ・サークルという形で提供しています。これは、主に個人宅での家庭的な雰囲気の中で行われますが、夏休みや冬休みなど長期休暇を利用して、サマースクールやウィンタースクールという形で集中的に行う場 合もあります。いずれにせよ、スタディ・サークルとは、草の根レベルでの人材開発プロセスです。しかし、これは単に学習をするだけではなく、学習を行動に還元するという究極の目的がありま す。このように、個人的な精神的成長と地域や社会への貢献や奉仕という二本立てのプログラムは、ジュニアユース・プログラムのそれと全く同じです。

子どもクラスには先生がおり、ジュニアユース・プログラムにはアニメータがいて、お世話をしますが、スタディ・サークルには「チューター」と呼ばれる人がお世話にあたります。チューターは、「先生」ではありません。スタディ・サークルでは、先生と生徒、物をよく知っている人と教わる人、という関係を持ちません。むしろ、参加者はみな同等の立場にあり、みんなが学びに貢献できる、全員がお互いから学べると考えます。もちろん、チューターは、そのコースをすでに終了しており、内容をよく把握しているので、初めて参加する人よりも知識や洞察力において豊富かもしれません。しかし、スタディ・サークルで参加者同士の立場が同等とされる理由は、学習者が自分の学びに責任を持つようにするためです。つまり、「生徒」は「先生」に頼り、「先生」から学ぶという関係を作ると、学校の延長線になり、学習者は受け身体勢を作ってしまうかもしれないからです。また、すべての人は常に学び続けており、誰もすべてを理解した、マスターしたと言い切れないからです。誰でも、常に成長の余地があるからです。「ベテラン」の人も、「初心者」から学びうるのです。スタディ・サークルのコース内容は、事実を覚えたり、特定の技能を習得したりするものではなく、むしろ、精神的な学びを扱うものがほとんどです。

スタディ・サークルが通常の勉強会と異なるもう一つの点は、それが知的な学習に終わるのではなく、具体的な行動、他者のためになるような奉仕活動における実践が伴っていることです。それぞれのコース及び各コースを構成する章には、それぞれ学習後に行う実践目標が掲げられており、それが、これらのコースが人材育成コースである所以です。その目的は、この小冊子のテーマである「共同体づくり」、「新しい社会づくり」を担う・促進する、ということです。したがって、「チューター」は、参加者全員が均等に発言し、効果的に学べるように配慮する、いわばファシリテーターです。しかし、学習を行動に還元するため、チューターは、参加者が、学びを奉仕につなげるための提案や励ましも行います。チューターは、自分も学習をし、それを行動に移しているので、これからその道を歩む人たちを援助するという役目があるのです。つまり、チューターは、参加者と共に、「奉仕の道」を歩むのです。

人によっては、わざわざスタディ・サークルに足を運ばなくても、自分で本を読み、練習問題を解いて、自己訓練を行えば、マイペースでどんどん進めていけるかもしれません。決して、そういっ  た学習方法を否定するわけではありませんが、スタディ・サークルの学習は、単に新しい情報を入手し、知識を蓄積し、技術や技能を身につけることだけが目的ではありません。むしろ、精神的な学習であるため、複数のメンバーで互いの意見を聞きながら学習することにより、もっと効果的に学べる、という利点があります。

さらに重要なことは、スタディ・サークルが「サークル」と呼ばれているのは、輪になって同等の立場で学習をすることにより、私たちが目指す共同体づくり、新しい社会づくりの基盤となる人間関係を築くことになるという点です。つまり、共同体とは「輪」であり、「縦社会」ではありません。目指すものは「和」のある社会であり、「孤立社会」ではありません。スタディ・サークルに足を運び、参加型で学習をすることには、単なる知識の吸収を超えて、それ自体に、新しい社会づくりの要素が込められているのです。

スタディ・サークルの教材には、次のようなものがあげられます。これらは「幹コース」と呼ばれ、最も基本的なものです。今後開発される様々なコースの根幹を成すからです。ルヒコースはもとも  と南米のコロンビアで最初に開発された教材で、原語がスペイン語、全部で 20 コースに及びます。それでもすべてのテーマを網羅しているとは言えないでしょうが、参加型で奉仕という行動に直 結した人材育成プログラムとして、そこでカバーされる内容はかなり広範囲に渡ります。

教材内容