万国正義院

 

レズワン153

 

世界のバハイの皆さんへ

 

親愛なる友らよ

 

1 レズワンの祝祭の到来で、三年計画は終了しました。我々はここで、この三年間に降り注がれた溢れんばかりのバハオラの恩寵に対して、祝福された美(バハオラ)に感謝を捧げます。まず、1993年レズワンにおける三年計画開始の原動力となったものは、聖なる年がもたらした生命力に満ちた精神でした。この精神は、皆が努力を結集したこの期間中に絶え間なくみなぎり、我々の世界共同体をかつてないほど強化し、一層快活にし、成熟させ、自信にあふれたものとして成長させました。と同時に、バハイ共同体の名声は新たな高みに達しました。三年計画の期間中、多くの国でかなりのメンバーが増えましたが、数字における劇的増加を見たわけではありません。しかしながら、質の面では、豊かな共同体へと成長し、目前の機会を信教発展のために開拓し、前進させる状態を作りました。

 

2 カルメル山プロジェクトの壮大な進歩は、この期間における具体的達成事項の中でもひときわ顕著なものです。幾多の困難にもかかわらず、三年計画発表のメッセージにおいて期待された目標はすべて達成されました。工事の全局面が着手されました。聖典研究センターと国際資料館増築の棟上げが終了し、これら建造物の作業は外部と内部の仕上げ工程に進んでいます。アーク上、目下三番目の建物である国際布教センターの恒久的建物の建設は迅速に進んでいます。バブの廟の下に七段のテラスが完成しました。それが神の聖なる山のふもとから山頂までの景色のすばらしさをかいま見せており、これを見守る市民たちはこの山の斜面に繰り広げられる美しい情景に畏敬の念を感じています。

 

3 これら進歩の外見的な形がこれほど如実に見られるということは、それよりもさらに深遠な達成があったという証拠でもあります。この巨大な、全員一体となってとりかかっている事業を進める中で、我々の地球規模の共同体が目的を一つにしているということです。それが引き起こした関心と支持の力強さは、それまでに類を見ないほどの献金額に表れています。この自己犠牲の精神は、地球上にあまねく広がったバハオラを愛する人々の心の寛大さや信仰心の質を物語っています。カルメル山プロジェクトに対する三年計画の目標であった7,400万ドルという献金額を達成したこと自体、またもう一つの具体的な、すばらしい達成です。このことは、このプロジェクト完成の今世紀末まで、それに必要な財政的支援が続くということを確信させるものであります。

 

4 過去三年間の進歩の証しは広く様々な分野に表れています。共同体の拡大、強化に見るすばらしい努力、社会・経済開発事業の数の増加、そして渉外活動の前代未聞の増強などは、共同体が新たな能力を持つに至ったということをいききと描写するものです。

 

5 三年計画の期間中に12の全国精神行政会が設立されたことや、パイオニア・布教旅行者の高まりに示されるように、布教活動の面では、全体的に活動の拡大がありました。三年計画中に発せられたパイオニア呼びかけの新しいアプローチによって、多くの国の信者が奮い立たされました。様々な国からの、また様々な国へのパイオニアの数が増え、自国内、外で活動する布教旅行者はまさに洪水のような勢いを見せました。多くの国でグループの布教活動や、的を絞った長期布教プロジェクトへの組織的アプローチが実を結び、またそれはかつてないほど顕著になりました。

 

6 拡大と強化面でいくつかの発展に見られたエネルギーと創造性は、国際布教センターの示した創造性に負うところが大です。彼らの、大陸顧問団に対するたえまない支持と激励、パイオニア配置に対する新手法の提案————それは万国正義院が、三年計画開始後数ヶ月の内に発したパイオニアへの呼びかけにおいて承認された————、その管理下にある大陸パイオニア委員会への定期的支援、共同体が必要とする教育についての一貫した指導————それらは、新しい信者のためのディープニング・プログラムを布教計画に盛り込むことに関して大陸顧問らとの間でなされた作業に示された————、さまざまな訓練のためのワークショップや履修課程の発案、子どもクラスの教師の養成、子どもクラスの数を増やすこと、教育施設を世界のいろいろな地域に設立するための努力の促進、など彼らの働きのすべてが目覚ましい結果をもたらしました。顧問らを通して、多くの国で、信教の基礎的文献出版のプログラムが採用されていますが、これを促進したのも国際布教センターで、その功績は多大です。このプログラムを通して、信教の拡大や信者のディープニングのために基本的な数冊の書物が選択され、多量に印刷され、安く入手できるようになりました。世界本部で進められた、この非常に重要な機構の進化に見るめざましい発展は、昨年12月に開かれた大陸顧問大会の準備や運営にはっきりと見ることができました。そこでは、信教のこれらの高い地位にある役員らが、今後、数年間に行う業務の行方が設定されました。

 

7 その土地のバハイたちが、自国において布教と強化の業務に率先して責任を引き受ける状況が目立って増えたことは、注目すべき発展です。アンゴラ、カンボジア、リベリア、シオラレオネなどのように非常に困難な状況にある地域でも、友らは、布教活動で数的に大規模の入信を獲得したり、バハイ地方行政会の設立や再建をもたらしたり、あるいは開発プロジェクトを開始、継続させるといった多大な勝利をおさめています。旧共産圏など、最近、全国精神行政会が設立された地域でも、友らは、大業の業務を運営するという賞賛に値する能力を発揮しました。この三年間でさらに目覚ましいものは、世界中の島々のバハイ共同体が示した精力、勇気、創造性の高まりです。そこでは、地区の布教者を養成し、近隣諸島に出かける布教旅行者グループを訓練し、送り出し、小学校を創立し、信教を宣布し、高官および影響力を持つ人々が参加する行事を後援する多くの機会を持つなど、活動の種類が広がりました。近年、これらの島国の政府高官が数多く、バハイ世界本部を訪問したという事実は、七つの大洋に広がるこれら小さな島々の信者らの活動のバイタリティを示していると言えます。これらの点を見渡す時、友らが異なった状況で示す努力、彼らの布教活動への本格的取り組み、また多様な民族的背景のバハイたちを活気づける信仰心の深さを表す成熟度と快活さを見ることができます。

 

8 これら注目に値するものに、拡大と強化に対するユースの傑出した貢献があります。彼らの活動はこの三年間で新たな面を加えました。ユース大会や、自分たちの興味を満たすその他の集まりによって動機づけられた世界中のユースは多くの時間とエネルギー、熱意を布教活動につぎ込み、自国内・外でチームを組んで旅行し、グループによる布教プロジェクトに従事し、それによって何百という新加入をもたらし、数多くの地方精神行政会を設立させる布教を行いました。大業の宣布、布教の方法に音楽や芸術を用いることに対して、ユースたちの努力は多くの場で際立ったものでした。ダンスと演劇のワークショップの広がりは特に効果的でした。渉外活動へのユースの参加は、信教のこの分野に新しい可能性をもたらしました。「奉仕のための一年」への取り組みは、以前にもまして広く実施され、同時に正式な訓練を受けたユースや、学術や専門分野、職業において優秀なユースの数が著しく増えました。これらは、ユースが、社会の一般的発展に貢献すると同時に、信教へより一層直接的に奉仕していることを示すものです。

 

9 共同体強化のしるしは、社会・経済発展、特に教育の分野での友らのより多大な取り組みに明確に見ることができます。一つの傑出した例として、ある国の政府が公立の学校七校の管理をバハイたちに委託し、それが世界本部の社会・経済開発局の支援のもとに行われたことがあげられます。ここで注目すべきことは、アフリカでいくつかのバハイ共同体は母国の政治的騒乱のため国外に避難していますが、避難先で農業やほかのプロジェクトを展開させ、自給確保に向けて大きく貢献しているという点です。多くの国で女性の地位向上の努力が勢いをつけています。他の団体が行うプロジェクトに参加すると同時に、バハイの機構は女性の福利を促進する数多くの委員会や事務局を新たに設立しました。この分野での躍進を象徴するものとして、バハイ国際共同体女性局が浮かび上がります。

 

10 さらに、多くの国において、政府主催の保健活動に著しいバハイの参加がありました。また、バハイ・グループ自身、この種の諸プログラムを開始し、推進しました。社会・経済発展のために数多くの大規模なプロジェクトや団体が興され、その強化が図られました。社会・経済開発局によって、識字教育のための三つのパイロット・プロジェクトが開始されました。それは識字普及キャンペーンを世界中に普及する第一歩として開始されたものです。バハイがこうした諸開発プロジェクトの展開において主体となったり、援助したりすることは、一般市民の参加とマスメディアの関心を引きつけ、信教の宣布にも良い結果をもたらしました。

 

11 同じ期間の以前の全ての記録をはるかに上回る渉外活動の躍進が、大業の宣布を増進させました。世界全体にわたる驚異的努力は、かつてないほど信教の存在を目立たせ、バハイ国際共同体の名声を高めました。この進歩の幅広い実績は、共同体の規模の大小を問わず、あらゆるバハイ共同体が容易に公の行事を主催したり、または援助できるようになったこと、政府や非政府団体(NGO)、その他多くの著名人が社会を動かす力としてバハイを認めるようになったこと、バハイが容易にメディアを活用できるようになったこと、などによって明らかです。実際、出版や通信メディアがバハイの行事や関連事項に費やした報道量は予測をはるかに超えるものがあります。

 

12 世界中にくまなく繰り広げられる活動のなかでも、ある特定の発展が目立ちました。政府高官が行事やプロジェクトの開催、運営にバハイの参加や支援を依頼してくる頻度が高まったこと。政府の行動にバハイが影響を及ぼすことに成功していること。バハイ学術課程や履修科目が大学で確立され、公立校でバハイの教科課程が採用されていること。宣布行事においてバハイ機構やグループ、個人が芸術をとりいれてきたこと、などです。

 

13  1995年に行われた二つの国連の大行事は、世界的事業を支える「思考の統一」への勢いを例証しました。そして、バハイ共同体は、これらの場に積極的に参加したり、努力を注ぎました。一つは三月にコペンハーゲンで行われた社会開発世界サミットでした。40ヵ国以上の250名ものバハイがこれに取り組みました。彼らはサミット参加者や関連NGOフォーラムにバハイの教えを知らしめる活動を強力に推進しました。この時、バハイ国際共同体・広報局が制作した「人類の繁栄」が初めて配布され、討議されました。その後、これをフォローアップするため、世界中で、この声明書を配布したり、大会やセミナーを開催しました。二つ目は、九月に北京で開催された第四回世界女性会議と、それに同調して開かれたNGOフォーラムです。これには、バハイ国際共同体の正式な代表団に加え、世界各地から500名のバハイが参加しました。やはり昨年行われた国連創立50周年記念行事では、バハイ国際共同体・国連局が、国連開発への提言として「世界の転換期」と題した声明書を制作、配布しました。

 

14  渉外活動の中でも特に注目すべきものは、アマトル・バハ・ルヒヤ・カヌーンの参加を伴った二つの行事です。昨年の春、ウィンザー城で行われたエジンバラ公フィリップ殿下主催の宗教と環境保全同盟サミットへは、アマトル・バハを筆頭に4人の公式バハイ代表団が送られました。また、10月にメリーランド大学のバハイ世界平和講座と歴史学科主催、国連ユネスコ後援で行われた「第4回地球社会への移行のための国際対話:において、ルヒヤ・カヌーンは基調講演をされました。

 

15  この三年間を振り返る時、その他の幾つかの達成について言及しないではいられません。ケタベ・アグダスが原語のアラビア語で、そして英語版と同じように、補足注釈部分をペルシャ語で付けて、初めて出版されました。ホゴゴラの法は、世界中の信者の心にさらに深く根付き、三年計画の最後の年にはホゴゴラの信託人、また、大業の翼成者でもあるアリ・モハメド・ヴァルガ氏が聖地に居を構えられました。この重要な進展によって、大業の翼成者、アマトル・バハ・ルヒヤ・カヌーン、アリ・アクバル・フルタン氏、ヴァルガ博士の三人全員が世界本部に居住されることになりました。このことは、巡礼者や他の訪問者、また世界本部で奉仕する友らに大いなるインスピレーションを与えることでしょう。

 

16  このような勇気づけられる状況のもとで、我々はこのレズワンに、2000年のレズワンまで続く四年計画を開始しました。間近に迫り来る21世紀を生きるであろう各世代に、豊富でかつ永続する遺産を確実に残すため、私たちは、全ての地における兄弟・姉妹たちに対して動員に応えるよう、真剣に、愛をもって呼びかけるものであります。

 

17  四年計画は一つの主要な達成目標をかかげています。つまり、集団加入のプロセスを大きく押し進めることです。以前にも述べたように、このような前進は、信者一人一人、および機構と各地方共同体の活動と発展を飛躍的に進めることによって実現されるのです。

 

18 「集団加入のプロセスを推し進める」という言葉には、現在の状況がバハイ世界共同体の大規模、かつ継続的な成長を必要とし、またそれを実現する機会があるという考えが含まれています。そしてこのような世界情勢の中で、この成長の盛り上がりは不可欠です。そのような成長は、まず、バハオラの秩序を支える三つの構成要素、つまり個人、機構、共同体が、それができるということを頭と心で理解することによって、次に大量の新しい信者を受け入れることに励み、それら新加入者の精神的、行政的訓練と発展のための手段を講じることによってもたらすことができます。こうすることにより、知識の深い、活発な布教者や行政者の数が増え、その人たちが大業の業務に携わることで新しい信者の絶え間ない流入やバハイ行政会の中断のない成長、共同体の着実な強化が保証されます。

 

19  さらに、プロセスを推し進めるという言い方には、そのプロセスがすでに進行していて、各地方および全国共同体はそのプロセスの中のそれぞれ異なった段階にある、という意味が込められています。どの共同体も、自らの持つ可能性にふさわしい拡大と強化を達成するために今一歩、歩を進め、努力を続ける責任があります。バハイの一人一人と機構は、それぞれ活動領域は異なりますが、共に、我々の共同体および全人類の運命にとってきわめて重要なこの時期が求めているものを満たすために立ち上がらなければなりません。

 

20  個人の役割は、大業の業務において特有の重要性をもちます。布教活動の成功や共同体の発展は、信仰の力を示す個々のバハイいかんにかかっています。バハオラの信教を布教するようにと言う個々のバハイに対するバハオラの命令は、大業のいかなる機構によっても代替されることができない、避けられない責任です。個人のみが、自ら進んで行動を起こすこと、チャンスをつかむこと、友人をつくること、人と個人的につきあうこと、よい関係を築くこと、信教と社会のための共通の奉仕の場で人々の協力を得ること、協議機関による決定を実行に移すこと、などの能力を発揮できるのです。「信教に加入してもらいたい人々の関心をつかみ、彼らの興味を持続させ、信仰を深めてもらうための試みにおいてあらゆる方法を考え出す」ことは、個人の義務なのです。

 

21  これらの能力を最大限に利用するために、個人は、バハオラに対する愛、聖約の力、祈りの力を身につけ、日々聖典を読み勉強することによってインスピレーションと理解を得、また、聖なる法と原則に従った行いをしようと懸命に努力することによって自己の魂に作用する変革の力を引き寄せるのです。この他、大業を布教する義務を課せられていることによって、各人は、バハオラが約束されている特別の恵みを引きつける能力を授けられます。祝福された美は述べておられます。「この日、唇を開き、自らの主の名を唱える者の上にはすべて、全知者、全てに賢き御方である我の名の天から、神聖なる霊感を与える軍勢が舞い降りん。さらにその者の上には、天上の群衆がそれぞれに純粋な光の杯を高々と掲げて舞い降りて来るのである。」

 

22  ショーギ・エフェンディも、各人が自発的に行動を起こすことの絶対的必要性を強調されています。守護者は、バハイ一人一人が「誠心誠意、たゆまなく、また寛大な気持ちを持って」支持しなければ、全国精神行政会の政策や計画はすべて「失敗に帰すでしょう」と説明されています。師(アブドル・バハ)が示された「聖なる計画」の達成も「妨害」されます。さらに、「立ち上がって、忍耐強く、自分の役割を果たそうとしないバハイ」は、バハオラから送られる活力を「取り上げられる」のです。ですから、どのような進歩においても最も肝心なのは、個々の信者です。実行する力を持っているのは一人一人のバハイであり、その力は個人が自発的に行動を起こし、継続することによって発揮できるのです。自分が未熟であるという考えは、往々にして個人の率先性を妨げるものとなります。これについて、守護者は代理を通して書かれた手紙で助言を与えています。「あなたはその信者の勇気やイニシアチブの欠如、また、劣等感が公衆に対して働きかけるうえで障害になっていると言いました。まさにこれらの弱点こそ、守護者が友らに乗り越えるよう切望されていることです。というのも、これらの弱点は彼らの行動を麻痺させるだけでなく、彼らの心にある信仰の炎を消すものにもなるからです。友ら一人一人は、自分なりにバハオラのメッセージを人に伝える力があります。このことを自覚しない限り、愛に溢れる賢明な師が与えられた目標に到達することは望みえないのです・・・・。全てのバハイはティーチングに対する潜在能力を持っています。各バハイは神から授かった力を発揮し、神から与えられた任務を、責任を持って果たさなければなりません。

 

23  バハイの行政機構は集団加入の過程に影響を及ぼし、同時に集団加入も機構に影響を与えます。地方、及び全国精神行政会は常に進化しており、現時点で求められることは、これら精神行政会のメンバーと、それを選挙する側とに共通する新たな意識です。と言うのは、バハイ共同体は歴史を大きく変える作業に取り組んでいて、そのプロセスは今、重大な局面にさしかかっているからです。バハオラは、新しい秩序の中で機能する機構を、世界に与えられたのです。そしてバハオラの秩序は、新しい世界文明のエネルギーを方向づけるために設計されたものです。この栄光あふれる目標の実現に向かって進歩するため、また、バハイの機構を充分成熟させるため、バハイ共同体の大規模で継続的な拡大が必要です。これは、バハオラを公に支持する世界中の人々がただちに取り組むべき重要な課題です。

 

24  このような拡大に対応するためには、精神行政会は新たな段階へ進み、友らに対する神聖な導きの媒体となり、布教活動の計画や人材開発や共同体作りをし、愛情をもって多くの人々を指導するという責任を果たさなければなりません。精神行政会は、そのメンバーが信教の原則に従って協議する能力と、管轄区内の友らと協議する能力を養い、奉仕の精神を高め、大陸顧問やその補佐と自然な形で協力し、対外関係を築くことを通して、期待される任務を果たすことができます。機構の進歩は、特に、精神行政会の十分な機能の結果、個々のバハイが大業に奉仕する能力を育まれ、一致協力した行動のとれる地域が大々的に増やされることで確保されなければなりません。要するに、精神行政会の成熟度は、会合が定期的に開かれているか、効率的に機能しているかということだけで測られるのではなく、それ以上に、バハイ・メンバーの増加、行政会とその共同体のメンバーが効果的にかかわっているか、共同体の精神面や社会面の状況、そしてダイナミックで前進し続ける発展のプロセスにおいて共同体がどれだけの活力をもっているかということで測られるものです。

 

25  各共同体は、量的に成長してくるに従い、その個々のメンバーや行政機構とは別に、それぞれの個性と意識を持ってきます。これは、大規模な入信が起こっている所や、多くの集団加入が起こることを期待される所においても認められる必要な発展段階です。共同体とは単なるメンバーの寄せ集めではなく、それ以上のものです。それは個人、家族、行政機構から成る文明の総合的単位であり、それらは共同体の領域の内外の人々の福利という共通の目的のために活動する組織や団体や機関を創設するものであり、奨励するものです。共同体とは、多様性に富む人々が互いに作用しながら、精神的、社会的進歩を追求するために和合を達成し、維持するものです。どこにおいても、バハイたちは共同体建設のプロセスに入ったばかりですから、手中の仕事には膨大な努力が求められます。

 

26  先に送ったメッセージでも述べたように、共同体の繁栄は、特に地方レベルでは、行動パターンをどれだけ高めることができるかにかかっています。ここで言う行動パターンとは、共同体内の和合と友愛、そして、共同体の活動と成長の精力の中に示されるものを指します。それらは、精神行政会の機能と、共同体の個々のメンバーの美徳が結集されたものとして表現されます。そのため、大人、ユース、子どもといった構成員は、精神的、社会的、教育的、行政的活動のなかで融け合うよう求められ、また、それぞれが地域の布教および発展計画にかかわっていくよう求められています。それは、毎年行われる選挙を通して精神行政会を永続させようとする全体の意志と、目的意識に示されます。共同体が一体となって神を崇拝するということも含まれます。そこで、信者の家や地区のバハイセンター、その他可能な場所で定期的に祈りの会を持つことは、その共同体の精神生活にとって欠くことのできないものです。

 

27  集団加入が意味する拡大と強化の可能性をもたらすには、人材開発のための断固とした、世界的な活動が必要です。バハイたちが個人の家で行う勉強会とか、諸機構が時折、提供する授業、あるいは共同体が行う気軽な活動などは重要ではありますが、急速に拡大する共同体の教育や訓練のためには不十分です。したがって、信教の根本となる真理を多数の信者に教え、また神が彼らに与えられた能力を大業のために捧げるよう訓練し、援助する方法を考案することに組織的に取り組むことは非常に重要なことです。定期な日程に基づいた、よく練られた、正式な行事としての訓練課程を企画、作成するために、早急に常設の機関を設立しなければなりません。当然、研修を実際に行う場所が必要ですが、必ずしも専用の建造物を持たなくてもよいのです。

 

28  このため、大陸顧問と全国精神行政会との共同作業が一層強化される必要があります。と言うのも、これらの研修機関の成功は、大陸顧問および顧問補佐がどれほど積極的にその運営にかかわるかによって多いに左右されるからです。特に、各顧問補佐はそれら研修機関および、当然の結果その研修課程の恩恵にあずかる共同体の地方精神行政会と、密接に協力する必要があります。研修機関は学識の中心と見なされるものであり、またその特徴は顧問補佐の教育という任務と調和するものであり、その実践の機会を与えるものであるため、この機関の運営に深くかかわることは、顧問補佐の担う役割の更なる進化の一部と考えられます。信者数が増えるなかで、信者らの持つ技能や能力を引き出すこともまた、研修課程の発展と実施においてきわめて重要なこととなるでしょう。

 

29  研修という言葉は、バハイ共同体内でいろいろな意味に使われているため、その意味をはっきりさせておく必要があります。今後の四年間は、我々の信教の歴史上でも特別な期間となり、劇的な時代の転換期となります。世界中の友らには、これまで全くなかった規模で、訓練機関のネットワークを発展させることに自らが持つ物的資源、能力と時間をつぎ込むということを決意するよう望まれています。これらバハイ学習のためのセンターは、きわめて実際的な結果を得ることを唯一の目標としています。つまり、それは効率と愛を持って集団加入のプロセスを促進するため、訓練された多数の信者を育成することです。

 

30  「神の信教を広めることに汝の精力を集中せよ。」バハオラはその僕らにこう指示されています。「このような高尚な召喚に値する者は誰であれ、自ら立ち上がり、それを推進せよ。それができない者は、自分の代わりにこの啓示を宣言する者を指名する義務がある・・・。」自分の代わりに他の人を布教に送るため、パイオニアや布教旅行のための費用を出すことができるように、研修所で奉仕する教師を自分の代理にすることもできます。この教師とは、教師を養成するための教師です。そのためには、大陸顧問基金、また地区・全国・国際基金に、この目的のためであることを明記して献金することができます。

 

31  友らはまた、四年計画の目標達成の努力において、宣布のためだけでなく拡大・強化のためにも芸術を利用することに、もっと注目するよう求められます。美術やパフォーマンスや文学は、大業の影響を広げるのに大きな役割を果たしてきましたし、今後も果たすことができます。民芸の活用に関しては、村や町、都市にかかわらず世界中でその可能性を追求することができます。ショーギ・エフェンディは、バハイの教えに関心を喚起するための方法として芸術に大きな期待を寄せられました。守護者が代理を通して書かれた個人への手紙ではその見解を次のように伝えています。「大業の精神や教えが舞台で、また芸術や文学一般で披露され、大業が燎原の火のように広まる日がやがて来る。芸術は冷たい合理的論証よりも、特に大衆の間に、高貴な感傷を呼び覚ますことができる。」

 

32  友らと機構が各地で四年計画の目標達成に励んでいる間、カルメル山上では、大プロジェクトで世紀末までに完成を予定されている工事が続けられます。四年計画完了の2000年のレズワンまでには聖典研究センターの建物と国際資料館増築部分が既に使えるようになり、国際布教センターの建物も最終仕上げの段階に入っているでしょう。バブの廟の上方に続くテラスの一部が入り込んでいる公道の部分は、その時までには地下を通るようになり、テラスに付随する庭園をつなぐ広い橋が建てられます。バブの廟の上方のテラスのうち、五つが完成している予定です。上方の残りの四つのテラスと、山のふもとの二つのテラスは開発の最終段階に入っているでしょう。それ以外にも、世界本部では特別な努力が進められます。ケタベ・アグダスの法のうち、まだ世界的に適用されていないものの新たな適用、バハオラの書の選集の新しい英語版の準備、国際布教センターの機能の一層の発展、巡礼者や、世界本部への訪問者をより多く受け入れるための対策を考案する、などに注意が向けられるでしょう。

 

33  バハイ世界共同体は、社会経済発展と渉外・広報活動の両方の作業を発展させ、世界の秩序を確立するために活動する諸団体と直接に協力を続けます。社会・経済開発局は、その調整能力を高めることにより、資源と機会が許す限り、世界中の何百もの開発プロジェクトが達成した成果を積み重ねるための支援をします。渉外活動の面では、特に人権、女性の地位、地球全体の繁栄、モラルの向上促進に共同体を巻き込むことによって、世界平和へのプロセスに影響を与えることを目指します。これらの課題を追求するにあたり、バハイ国際共同体・国連局は、バハイと国連の結びつきを一層強める方法を探っていきます。同様に広報局は、信教のより広範な宣布のためにこれらの課題を取り上げるよう、バハイの諸組織を援助していきます。我々が各政府および非政府団体と接触するにあたり、イランのバハイたちの権利擁護と、イラン、その他信教の活動が禁じられている国々における信教解放の努力を強化することはきわめて重要な部分です。これら全ての面でバハイの友らと諸機構は、渉外活動の重要性を認識すること、またそれに対する注意を新たにするよう促されます。

 

34  このレズワンに二つの新しい全国精神行政会が設立されることは、四年計画の開始にとって幸先良いことであります。それらの初回全国年次大会への代表として、モルドバへ大業の翼成者、アマトル・バハ・ルヒヤ・カヌーンを、そして、サントメ・プリンシペへは国際布教センターの顧問、フレッド・シェクター氏を送ることを、ここに喜びをもって発表いたします。残念ながら、私達にはどうすることもできない状況で、ブルンジ、およびルワンダの全国精神行政会は、今年は選出することはできません。この結果、世界中のこれらの組織(全国精神行政会)の数は174のままです。

 

35  四年計画が完了する2000年のレズワンは、二十世紀の終幕よりも何ヶ月か前にやってきます。この時点でバハイ世界は、アブドル・バハが「光の世紀」と呼ばれた、成果に満ちたこの期間にバハオラの大業の歴史を飾った驚くべき発展と、眩いばかりの偉業の数々を、感謝の念を持って振り返るでしょう。その時決して忘れてならない素晴らしい業績の一つとして挙げられるものが、カルメル山上に現在進行中のプロジェクトの完成です。それは聖なる山の他のすべての建造物とあわせて、形成時代のその時点までに行政秩序が達成した進歩の記念碑となるものです。そしてそれを感謝して行われる行事で最大のものは————もしそれが神の御心ならば————、弧を描いて配置された建造物と、バブの廟のテラスを一般に公開するために世界本部で開催される大規模な行事です。

 

36  最愛なる友らよ、我々は世界情勢の動乱を伴うこの激烈な過渡期に四年計画にとりかかります。バハオラの啓示の衝撃によって引き起こされた世界の二つのプロセスは迅速に働いており、さらに勢いを増しつつあります。それは、ショーギ・エフェンディによって「我々の星(地球)の表面を作り変える諸勢力が頂点に達する。」と言われたものです。一方は人類をひとつに結びつけるプロセスで、もう一方は崩壊のプロセスです。これらのプロセスが作り出す「普遍的な激動の発酵」の結果、平和は徐々に現れ、それを通して、育ちつつある世界市民という意識がもつ統一の力が明らかになってきます。

 

37  その中で、昨今の世界情勢は驚愕をもたらすと同時に安心感を与えるものでもあるという対照的な両面を持っています。一方で社会の動乱は感覚を麻痺させ、戦慄をおぼえさせる恐怖を日常茶飯事とし、また一方では、世界の諸問題解決へ向けて国をあげて取り組むために各国の指導者らがしばしば共に行動したのをバハイは見ています。例えば、国連創設50周年記念で国家元首および政府最高責任者がそれぞれ、世界平和への決意を表明した事など、四年前の聖なる年以来、これら指導者が世界的な場に集まる頻度が非常に高まったことを考えてみてください。さらに、世界の多くの地域に起こった様々な危機に対し、これら政府指導者らがとった共同行動の機敏さと自発性もまた注目に値します。この傾向と同時に、なんらかの形の世界的秩序を実現しようとする啓蒙家らの声がさらに高まっています。我々はまさに、これらの急激な発展の波の中に神の摂理の御手の働きを見、我々に与えられた聖典中に予言されている歴史的機会の前触れそのものを見ないわけにはいかないでしょう。

 

38  小平和の確立はバハイの計画や行動によって起こるのではなく、またそれは人類が到達する運命にある究極の目標、つまり黄金時代を表すものでもありませんが、バハイ共同体はその平和へのプロセスを精神的に促進する責任があります。今、この時点で必要なのは、バハイの体制を構築する諸活動をより一層強化し、我々がバハオラの確証を引きつけるほどになることです。そうすることによって、これらのプロセスを力づける精神的環境を呼び起こすことができます。我々には二つの課題があります。その一つは、熱心に、系統的に、個人的に行うティーチング・キャンペーンを、バハイ共同体の大部分のメンバーが開始することです。そのキャンペーンで広範囲な研修を実施することは、大量の人材開発を確実にします。もうひとつの課題はカルメル山上の建築プロジェクトを完成させることです。そのためにあらゆる犠牲を払って、豊富な財政的資源を提供しなければなりません。すべてのことの中心点にあるこの二つの目標を我々が断固として追求するならば、地球上の全人類の方向性を変えるに足りる、鬱積されてきた力が放出される状況を生み出すことができるのです。

 

39  平和への道のりがどんなに短いものであろうとも、それは困難を伴うものになりましょう。平和への方向を決定づけると予告されている出来事がいかに希望に満ちたものであろうとも、平和は長期間の進化を経て成熟するものであり、それが神の信教の直接的影響の下で最大平和として出現するまでは多くの試練や後退や紛争に見舞われるでしょう。その過渡期に生きる世界中の人々は、この大変革の意義を理解するまで何度も絶望や当惑を経験することになるでしょう。この新しい啓示に啓発された我々には、確信をもたらす聖なる言葉、導いてくれる聖なる計画、励ましてくれる勇気に満ちた歴史があります。ですから皆さん、我々が大切にする聖典からだけでなく、我々の大業の発祥地に今日もなお光り輝く英雄的・犠牲的模範からも勇気を得ようではありませんか。

 

40   17年もの間イランにいる我々の兄弟たちは、迫害の嵐の中で信仰と勇気を具現し続けました。それにより信教が大々的に宣布され、信教の名が世界に知れ渡るようになりました。つまりここに、我々の時代における危機と勝利の機序の生きた証拠を見ることができるのです。神よ、イランにいる我々の兄弟たちが抑圧のくびきから解放され、唯一祝福された美(バハオラ)からのみ与えられる勝利の栄光と驚嘆に向けて導かれる時の遠からんことを。彼らの経験は、どの地に住む者にとっても警告となり、模範となるものです。というのも、師(アブドル・バハ)が述べられたように、やがてバハイに敵対する勢力は全大陸に台頭するからです。それは場所によって性質は異なるかもしれませんが、厳しいものであることは疑う余地もありません。しかし我々は、バハオラのお力添えと、これら高潔な友らの示した不動の信仰の模範のおかげで、いかにすれば恐れることなく敵の矢に向かうことができるかを知っています。まことに万軍の主は、彼に従う人々に決定的で明らかな勝利をもたらすことを約束されました。

 

41  コントロールを失った文明がもたらした荒廃によって、人類は翻弄され、苦しめられますが、我々は目前に置かれた神聖なる業務に理性と精神を集中させましょう。というのも、この騒動の中で機会は豊富にあるからです。それらは、「バハオラの信教の救済力の知識をあまねく広めるために、また、増大し続ける信徒の軍団へ新たな参入者を徴収するために」利用されなければなりません。我々が今取り組もうとしているこの計画は、この地球の生命における最も危機的な時期のひとつに設定されたものです。この計画は、我々の周辺で起こっている急激な変化に対処できるよう、我々の共同体を準備します。そして、その共同体は進化に伴う試練と課題の重みに耐え、激烈な変革の中で世界が模範と援助を求める場に置かれることを目的としています。このように、この計画はバハイ、および世界の歴史の輪郭において特別な位置を占めます。信教のヴィジョンに敏感な者には、このプロセスを刺激し、ひいてはそれを強化する活動に意識的に関わるという、大いなる特権が与えられます。

 

42  皆さんの全てが、このきわめて重要な時期の業務をこなすために立ち上がるよう願っています。人類全体にとってこれほどの可能性と希望にあふれたこの短い期間に、各自それぞれに自分の印を刻み込んでほしいのです。この時代の変革がもたらす激烈な出来事によって自分を見失ったり、それに巻き込まれてしまうことがないよう、決して誤ることのない指導者ショーギ・エフェンディの忠告をしっかりと心に留めようではありませんか。「取るに足らない死すべき運命にある我々は、長く、波乱にとんだ人類の歴史のこのような危機的時期において、卑しくも自らの神を忘れ、バハオラを無視してきた、血まみれの人類を苦難の経験から最終的復活まで継続して導く方法について、明確かつ充分理解することはできない・・・。むしろ我々の義務は、目前の光景がいかに混乱したものであろうとも、前途がいかに暗かろうとも、いかに我々の資源が限られていようとも、人類を悲惨と不名誉の淵から力と栄光の最も高い頂に導くバハオラの指揮に従って、落ち着きと自信と根気強さをもって、自らの置かれた状況のもとで自分に課された役割を十分に果たすことにあるのである。」

 

                             [署名:万国正義院]