2005年12月27日
大陸顧問団会議に宛て
親愛なる友らへ
過去4年半、世界各地のバハイは集団加入のプロセス促進に努力してきましたが、その間、次のことが次第に明らかになってきました。つまり、現在の5年計画の終了では、最大名のもとにある共同体が取り組んでいる歴史的事業の発展上、決定的な瞬間を迎えることになります。バハオラの啓示の精神を世界のすべての地域に浸透させるのに必要な諸要素は、行動の枠組みの中に具体化され、いまや残された課題はその枠組みを活用することのみです。
バハイ世界の焦点を信教の持続的で急速な成長に関する集中的学習の道にあわせた1995年12月26日付けの我々のメッセージは、来るべき課題に対応するための努力を概略的に説明するものでした。第一歩として、世界中のバハイ共同体は、トレーニング・インスティチュートのネットワークを構築することによって大業の人材開発に系統的に取り組むよう求められました。各国共同体は、この極めて重要な機能を果たすのに必要な機構の設置に乗り出しました。しかし、トレーニングのためのよく練られたプログラムの真価がようやく広く認識されたのは、5年計画の始まりのころでした。クラスターの概念の導入により、友らは共同体の加速的成長を管理しやすい規模で考え、加速的成長を補足・補強し合う二つの流れとしてとらえることができるようになりました。つまり、それは、連続性を持つインスティチュート・コースを通過する個々の人々の途切れない流れと、各クラスター自体が発展のより高い段階に進む流れです。この構想によって、実地体験で学んだことをより簡単に分析することができ、友らが自分たちの様々な発見を表現するとき共通の用語で語れるようになりました。拡大と強化の対をなすプロセスに同等の重きをおく活動のパターンを確立する手段が、これほどはっきりと理解されたことはかつてありませんでした。この理解に基づき、様々なクラスターにおいて実施された成長のための集中プログラムから得られた経験は見事に一致するものです。したがって、最早ためらう余地はありません。前進のための道は明白です。万国正義院は2006年レズワン、すべてのバハイに対し、決意を固め、全力で、いまや確定したこの道を前進するよう呼びかけます。
皆さんが出席しているこの大会は、来るべき5年計画について協議するためのものです。この5年計画の特徴を提示するに当たり、我々は最近のバハイ世界の様々な達成を検討し、現在のアプローチや方法や手段がこれからの段階にどのように用いられるべきかを示します。この分析は、5年前に出された指導に対して個人、共同体、機構が熱心に応えた結果、彼らの能力は新たなレベルに引き上げられたということを明らかにするでしょう。この能力の更なる発展は、集団加入のプロセスを促進するという目的に今後とも欠くことのできないものであり、また、集団加入のプロセス促進こそが形成時代の最初の一世紀の終わりまで、ずっと、バハイ世界の焦点となる課題です。
個人
個人のレベルでのバハイの達成については、世界のバハイに宛てた2003年1月17日の万国正義院のメッセージですでに述べているので、ここに詳しく述べる必要はありません。そのメッセージの中で我々は、世界各地のバハイは、より高い率先性、工夫と機智に富む対応、そして勇気と大胆さによって特徴づけられているということを強調しました。彼らの献身、熱意、確信、粘り強さといったような資質は、彼らの信仰心がますます活き活きしていることを証明しています。同様に、我々は、世界各地に見られる活動レベルの高まりを支えた率先性を育てるうえでトレーニング・インスティチュートが果たしてきた役割についても認めました。まさに、活動レベルの高まりは活気づいた信仰心の具体的な表現なのです。
そのメッセージ以降の展開は、一連のコースの効果をよりはっきりと立証するものです。これらのコースの目的は、聖典の深遠な学習を通して得られた精神的洞察を応用することに集中し、それによって奉仕への能力を高めることにあります。これらのコースは、参加者が関連した一定の習慣、態度、性質を養う知識体系に身を浸し、奉仕の活動を実行するのに必要な特定の技能や能力を磨くのを助けます。スタディ・サークルでは神の創造力に満ちた言葉に中心をおいたディスカションが、真剣で、意気を高める雰囲気の中で行われ、それが大業に対する各人の義務の意識を高め、布教し、信教の発展に寄与することから得られる喜びを自覚させます。ある特定の行いについて精神的性質を理解することは、それらの行いにより深い意味をもたらします。段階的に、一層複雑で困難な奉仕活動に取り組むことで、友らの自信は少しずつ築き上げられます。しかし、なににも増して彼らの努力を支えるのは神への信頼です。いかに多くのバハイが、心に不安を抱きつつティーチングの舞台に立って、結果的にあらゆる方角から自分を支えてくれる確証を実感したことでしょう。目前に広がる可能性や機会を新しい目で目撃したとき、彼らは神の援助の威力を身をもって経験するのです。そして、学んだことを実行に移そうと努力するとき、彼らは期待を遥かに超える結果に到達するのです。神の言葉との親密な交わりによって生じる信仰の精神が人々の魂にこのような影響をおよぼすということは決して新しい現象ではありません。しかしながら、インスティチュート・プロセスがこれほど多くの人々に信教の変革の威力を経験させているということに我々は勇気づけられます。これからの5年間の努力目標は、この啓発的効果をさらに何十万人もの人々に届けるということです。
能力開発を強調することによって、個人の率先力が次第に増大しているという、目に見える成果が得られました。そしてそれは、集団加入のプロセス促進のための系統的活動を十分認識しての率先力です。5年計画によって規定された枠組みの中でさまざまな努力が学びの謙虚な姿勢をもって行われます。その結果、多様な能力を表現する各種の個人活動が同じ方向性をもった動きとして調和し、同時に、個人の好みに基づいた方法論の違いについて長々と議論することによって起きる停滞が避けられます。また、長期的な行動に対する決意が深められ、その長期的展望は個人の信者たちがその都度行う行動に脈絡を与えます。
個人の率先力の向上が最も顕著に現れているのはティーチングの分野です。ファイア・サイドという形であれ、あるいはスタディ・サークルの形であれ、個人によるティーチング活動は議論の余地なく増加しています。有効で、誰にでも利用できる技能や方法を身につけた彼らは、自分たちの行動に対する反応に勇気づけられ、様々な世界に生きる人々とより親密に交流し、精神的なテーマについて真面目な対話を行っています。より鋭く研ぎすまされた精神的洞察力をもった彼らは、人々の中に存在する感受性や、バハオラの再生の清水を求める人々の渇きを発見することができます。彼らは、近所の子供たちの両親、学校での同輩、仕事場での同僚、偶然知り合った人など、日々多くの人々と出会い、その人々の中から、バハオラがご慈悲により人類に授け給うたものの一部を分かち合うことができる人を探し出すのです。彼らは、経験を積むことによって探求者のニーズに応じて紹介の仕方を調整し、聖典を活用する直接的なティーチングの手法を用いて率直、かつ魅力的にバハイのメッセージを提供することができるようになります。
このことに関連して最も注目すべき点は、奉仕の道を歩もうとする他の信者を助けるために立ち上がるバハイが示す率先性です。彼らは自分がインスティチュート・コースのファシリテーターとなる技能を修得すると、次には初めて奉仕活動を試みようとするコース参加者に付き添い、これらの初心者が自分のスタディ・サークルを始め、他の人を同じように指導できるようになるまで援助を続けます。このようにしてインスティチュートが及ぼす影響の範囲は拡大をつづけ、関心を持つ人々を神の言葉のもとへと導きます。インスティチュート・プロセスのこの独特な側面は信教を積極的に支援する人の数を持続的に増幅させる役割を果たします。この側面には大きな期待がかかっており、我々は次期5年計画でその可能性が大いに発揮されるよう望んでいます。守護者は大業の布教者のそれぞれに言及して次のように述べておられます。「自分の精神的子供が、自ら立ち上がるほどの熱意をその者に注入し、その者らもまた他の人々の魂の活性化にエネルギーを注ぎ、その者が自分の受け入れた信教の法律や原則を守るようになるまで、決して満足してはならない」。
共同体
個々の信者を特徴つけている、その高まった活力はバハイ共同体生活にも明らかです。もちろん、この活力がどの程度現れるかはクラスターの発展段階に応じて違います。友らが計画の戦略を実行するのに苦労しているまだあまり発展していないクラスターと比べれば、成長が進んでいるクラスターは達成の可能性をより明確に示しています。従って、共同体の達成を分析するときこれらの発展したクラスターに焦点をあわせるべきです。なぜなら、他のクラスターはその進歩を見習って成長できると確信しているからです。
スタディ・サークル、祈りの会、子供クラスの設立によって、成長のプロセスに一貫性がもたらされるということについては前にも何回か述べました。トレーニング・インスティチュートに後おしされて核活動が着実に増加し、それが維持可能な拡大と強化のパターンを生み出します。そのパターンは組織的であり、同時に有機的でもあります。探求者がこれらの活動に参加し、信仰を宣言すると、個人的、また集団でのティーチングの努力に勢いがつきます。新しい信者のある割合がインスティチュート・コースに参加できるよう努力することによって、信教の仕事に必要な人材が増えます。クラスター内で精力的にこれらの活動に従事すれば、早晩、集中的成長プログラムを展開できる状態が生み出されます。
この段階に達したクラスターを緻密に分析して分かったことには、こうして達成された一貫性は共同体生活のさまざまな面にまで及ぶということです。教えの学習と応用は共同体に浸透し習慣となり、祈りの会によってかもし出された共同の礼拝精神は共同体の集団的活動にも浸透します。種々の活動に芸術を優雅に取りいれることで、信者を稼動させるエネルギーの高まりを強めます。子供やジュニア・ユースの精神的教育のクラスは地元の人々のなかに信教を定着させるうえで大いに役立ちます。太平洋の島の村であれ、あるいはロンドンのような大都会であれ、新しい信者の家庭を訪問するといったような単純な奉仕活動でさえも、共同体のメンバー間の友情の絆を強めるものになります。信教の原理に信者を触れさせる手段として考え出された「家庭訪問」は様々な個人的、あるいは集団的ディープニング活動を生み出し、それらによって友らが聖なる書を探求し、自分の生活での応用についても探求しています。
共同体の精神的な基盤がこの方法によって強められると、集団的な対話のレベルがあがり、友らの間の社交的な関係に新たな意味が生まれ、共通の目的がその関わり合いに息を吹き込みます。その結果、国際布教センターによって実施された調査で、50幾つかの先進クラスターにおいて、19日ごとのフィーストの質が良くなったことを示しています。また、献金の精神的な意味に対する認識と物質的な手段の必要性がよりよく理解されて、基金に対する献金が増えたことも報告されています。クラスター・レベルでのレフレクション・ミーティングはニーズと計画について相談する場となりつつあり、集団としてのアイデンティティーを形成し、集団の意志を強化しつつあります。そのような先進クラスターが活躍しているところでは、それらの境界を越えて、サマー・スクールやウインター・スクールのような地域レベルの催しを豊かにするといったような影響を及ぼし始めています。
個人の場合と同じように、この段階の共同体の発展の顕著な特徴は学習です。今後は大陸顧問とその補佐たちはますます多くのクラスターにおいて、物事決定の枠組みの中に学習が織り込まれるようあらゆる力を注いでください。
皆さんの主要な課題の一つは、すでに大きな成功を収めている系統だった行動への理解を深めることです。つまり、可能性と資源に対する現実的な分析に基づいた、成長についての一致したビジョンに達し、成長に骨組みをつける戦略を展開し、能力に釣り合った行動計画を作り、実施すること、継続中に必要な修正をすること、達成を踏み台にして更に前進すること、などは系統的成長の必要条件であり、すべての共同体が習得し自分のものとしなければならないことです。
同じように、共同体生活のある部分をより広く一般の人々に開放しようというような希望と意欲は、人々を引き付け、彼らの信念を固めるような行動パターンと結び付けられるべきです。友らが集団的に新しい考えと行動をとり入れることによってたくさんの達成がありました。大勢の人を受け入れるなかで、共同体は人々の中に潜在する可能性をもっと容易に見つけることや、先入観に基づいた、人為的な障害を避けることを学びました。各人がいわれのない期待によってプレッシャーをかけられることなく、彼、または彼女自身のペースで進歩するよう励ます中に育つ教育的な環境ができつつあります。そのような発展は信教の普遍性と包括性に対するよりいっそう深い理解に基づいています。集団での行動は、バハオラのメッセージが自由に、そして無条件に人類に与えられるべきという原則に基づいて実施されるようになりつつあります。信教の教えを受け入れる能力が特に高いグループに対する努力はとりわけ喜ばしいことです。容赦のない社会的、政治的力が人々を故郷から追いたて続け、大陸の至る所で彼らを追い払うにつれて、背景の多様性やそれが全体的にもたらす強みをきちんと認識することは共同体の拡大と強化にとって決定的であるということが証明されるでしょう。
おそらく、焦点を維持する努力において共同体を援助するという任務は、他の何よりも特に、カウンセラーとその補佐たちの注意を要することでしょう。連続する計画を通してゆっくりと取得された、この、焦点をしぼった努力は共同体の最も貴重な財産の一つです。この能力は規律と決意と先見力を通して、また友らと彼らの機構が集団加入のプロセスを促進するという一つの目的を追求することを通して学びとったものです。一方で、この集中性を画一性や排他性ととり違える傾向に注意すべきです。焦点を保つということは特別なニーズや関心事を無視するということではありません。ましてや、新しいことをするために不可欠な活動を止めることでもありません。確かに、バハイ共同体生活を構成する多数の要素は何十年もかかって形作られたもので、それらは更に洗練され、発達させられるべきです。しかし一方で、あなた方は、あらゆる機会を得て、活動に優先順位をつけるよう共同体を励ますべきでしょう。つまり、ある成長の段階ですべての活動が 同じ重要性を持つわけではなく、あるものは必然的に、他のことより優先されるべきですし、また善意な提案でも面倒を起こし、エネルギーを浪費させ、進歩を遅らせる場合もあるからです。すべての共同体で、友らが信教に奉仕するために費やす時間には限りがあるということをはっきり認識すべきです。ならば、この限りある資源の大部分が五年計画の目標を達成するために費やすべきであるというのはきわめて当然でしょう。
機構
個人や共同体の業績は、この計画のもうひとつの参加要素である機構の導きと励ましと支持がなければ維持できません。個人の率先性を助け、布教活動にエネルギーを向けさせ、系統立った行動の価値を強調し、共同体の精神的生活を促進し、人々を暖かく包み込む環境を育んでいる諸機構の尽力には心を打たれます。活動の焦点を常に五年計画の目標におくよう共同体を援助しながら、諸機構は、友らの間に統一したビジョンを保持することの意味を学び、友らの努力を促進する手段を作り、賢明な優先順位に応じて資源を配分する方法を具体的に学びつつあります。もちろん、これらの優先事項には個人の専門的な技能を要する活動も含まれています。この分野で特筆すべきものに、現在、諸全国精神行政会が熱心に行っている外務活動、そして社会経済発展プロジェクト、たとえばバハイに刺激されてできた組織が取り組んでいるようなプロジェクトなどがあります。機構はこのようなニーズに応える一方で、一般信者の活動力を五年計画の主要な任務の遂行にむけて指揮する技量をますます高めてきました。
また、クラスター・レベルでの大規模な成長がもたらす行政的な課題に対し、全国精神行政会が大陸顧問と協力しながら断固とした対応をしているということも励みになります。現在、トレーニング・インシテイチュートによって指名されたひとり、または複数の人が幹となる学習コースや子供、およびジュニア・ユースのための教育プログラムの実施を調整する方法が採られつつあります。拡大と強化の活動を加速させる系統的活動における他の局面を管理するために地域協議会、または全国精神行政会が任命した地域布教委員会も必要です。顧問補佐は、成長のプロセスを問題なく進めるために必要なこの二つの動きを確実にするために両方の前線で活動しています。これらの様々な要素は各クラスターで次々に確立されていますが、それぞれの要素が果たす機能や相互関係についてはまだたくさん学ぶ点が残されています。必要に応じて新たな手段を作り出すことができるようになっている現在の柔軟性が損なわれないよう注意しなければなりません。つまり、行政のあり方は成長のニーズに応えるものであるべきです。我々は、この学びのプロセスを導くようあなた方と全国精神行政会に期待しております。
この五年計画を通して、我々はこれらの発展が地方精神行政会の機能にもたらした影響について強い関心をもって見守ってきました。喜ばしいことに、この点について、二種類の進歩が遂げられています。地方行政会が極めて貧弱であったクラスターは、管轄区域内の五年計画の活動を導く責任を果たすことを徐々に学びつつあります。同時に、古くからあった地方行政会は、クラスター・レベルで発生した新しい実態を把握するのにやや苦心しながらも、再調整をし、系統的成長というビジョンを持つようになるにつれ、さらに力をつけてきたようです。
我々は特に、世界中で展開している成長のプロセスが都会と田舎の両方で加速化していることに喜びを感じます。現五年計画の初期に、多くの大都市で地域を小さなセクターに分けるという重要なステップがとられました。これは継続的成長を計画する上不可欠であるということが判明しました。共同体が拡大するにつれ、都市を小さな地域に分ける必要が出てくると考えるのはもっともなことです。最終的には集落といった区域に分けられ、それぞれの区域で19日毎のフィーストが開かれるようになるでしょう。将来の共同体の規模についてのビジョンは、地方行政会のさらなる発展に不可欠です。数千名ものメンバーをもつような共同体の業務を管理するために、また「人々の間で慈悲深き御方から信託を受けた者」としての役目を果たすために、精神行政会で奉仕する人たちは、これからの数年に、集中的な学習期間を余儀なくされるでしょう。次の五年計画で我々は地方精神行政会の発展を注意深く見守る予定です。その中で、バハイ人口の大きさやその他の条件に応じてケース・バイ・ケースの原則で、守護者の時代にテヘランで展開したパターンにならい、二段階の選挙を許可することになるでしょう。
成長のための集中プログラム
クラスター内のインスティチュート・プロセスを加速させるために個人、共同体、機構が行う継続的な努力は、十分に実績ある手段をもって共同体の成長を一つの段階から次の段階へと成長させ、最終的には成長のための集中プログラムに取り組むことになります。実際、現五年計画で学んだ最も際立った成果は、200あまりものクラスターがそのようなプログラムを実施したことによって得られたものです。 そこで学んだことはいまやすべての大陸に系統的に広げることができると我々は確信します。それで2006年のレズワンに、我々は、次期五年計画の間に少なくとも1500のクラスターに成長のための集中プログラムを築くよう世界中のバハイに呼びかけることになります。
今現在の捉え方では、成長のための集中プログラムは簡単で、単純、効果的なものですが、その実践は友らの決意を試すほどの努力を要します。我々が五年前に提示したビジョンにうまく応じたもので、大規模な拡大と強化に不可欠ということが証明されてきた二、三の戦略を含んでいます。それは、通常は三ヶ月単位で、拡大、強化、調整、計画という明確な段階にそって進められる活動のサイクルから構成されます。
拡大の段階は普通2週間で、最大限の労力の結集が求められます。その目標は信教に関心を持つ人の輪を広げ、受け入れ能力のある人を見つけ、彼らに布教することです。この段階は宣布の要素を含むかもしれませんが、宣布のために二、三のイベントを催したり、単に情報を伝える一連の活動をしたりする時期とみなされるべきではありません。経験からして、ティーチングのアプローチや手段は、インスティチュート・コースの学習で習得した能力に沿ったものであればあるほど、より良い結果が得られるといえます。
この段階のための計画には、必ず、慎重に練られたティーチング・プロジェクトの実施、家庭訪問キャンペーン、ファイヤ・サイドが含まれ、これらの活動は多くの場合ティーチング・チームを使って実施されます。展開される拡大のパターンはクラスター毎に異なり、これまでに信教を受け入れ易い人々が多いところでは新しい信者が急激に流れ込んでくることが予想されます。この種のクラスターの一つに、ある地において3週間で50人の入信を得る目標を二日目に達成したため、強化のための活動を見越して、チームが賢明にも拡大のための活動を終えたという例があります。そして、次の段階の主な目標の一つは新しい信者の何割かをインスティチュート・プロセスに参加させることです。そうすれば、将来のサイクルにおいて成長を継続させるための人材を十分確保することができます。スタディ・サークルに参加しない人たちは家庭訪問で育てられ、すべての人がお祈り会や19日毎のフィースト、聖なる日の催しに招かれ、徐々に共同体生活のパターンに馴染ませます。強化の段階で更なる加入が起こるということは珍しくありません。と言うのは、新しく加入した信者の家族や友人達が信教を受け入れるからです。
他のクラスターでは、特に初めのころの幾つかのサイクルにおける拡大段階の加入者の数は少ないかもしれません。その場合は、核活動に参加する人の数を増やすということが目標になります。そして必然的にその強化の段階では探求者の関心を育て、信仰を受け入れるまで彼らの精神的探求に付き添うということが行われます。この活動が勢力的に実行すればするほど、この強化の時期にかなりの数の加入を生み出すこともあります。しかし注目すべき点として、いろいろなことを学び、経験が積まれると、敏感な人たちに布教するだけでなく、高い感受性をもったグループを見出す能力が発達し、新しい信者の総数はサイクルを重ねるたびに大きくなります。
クラスターの性格がどうであれ、どこにおいても、子供、およびジュニア・ユースに対する細かい配慮は極めて重要です。若い人たちの道徳的、精神的教育に対する人類の関心は高まっており、共同体作りにおいてこれを無視することは許されません。現五年計画で、ジュニア・ユースの精神性の強化を目的とした教育プログラムの効力が特に明らかになりました。彼らの精神的理解力を深めるプログラムを三年間行い、15歳でインスティチュート・コースの幹のコースに入るよう励ませば、彼らは、精神的、物質的文明の発展に貢献するエネルギーと才能の巨大な宝庫となります。我々はすでに達成された結果に大いに感動し、またそのニーズのあまりの大きさから、トレーニング・インスティチュートが実施するプログラムを通じて作られたジュニア・ユースのグループを四つ目の核活動とし、それを増幅するよう、すべての全国精神行政会に促します。
成長のための集中プログラムの進展の鍵は調整の部分です。ここでは活動から学んだことが発表され、それらは次のサイクルの活動の計画に取り入れられます。その基本的な形がリフレクション・ミーティングです。それは、真剣な協議と同時に楽しい祝賀会でもあります。過度に複雑で、込み入ったプレゼンテーションよりも、むしろ参加型のディスカッションによる経験の綿密な分析の方が統一したビジョンを維持し、思考を鋭敏にし、熱意を高めるのに役立ちます。そのような分析の中心となるものは、次に掲げるべき目標を示唆する基礎的な統計の見直しです。一方で、さまざまな任務を果たせる人材がサイクルの終わりにどれだけ増えているか、またもう一方で、人々の受容性とティーチングの方法について蓄積された情報を計算にいれた計画が作られます。サイクルを繰り返すなかで人材の増加が全体的バハイ人口の増加に釣り合っていれば、成長は維持されるばかりでなく、加速させることもできます。
そのような集中プログラムを1500設定するという野心的なゴールを達成するため、バハイ世界は過去10年間で得た経験と積み上げた能力のすべてを発揮しなければなりません。あなた方は聖地を離れると直ぐに、全国精神行政会や地域協議会との徹底した協議に入り、一緒になって、集中的に配慮されるべきクラスターを見極め、精密な戦略的な計画を作るために、それぞれの国の共同体の状況を注意深く査定する必要があります。
これらの計画は、2006年のレズワン以降、できるだけ早く実行に移すべきです。クラスターがひとつの段階から次の段階へ移行する経験は、今では広範囲に広まっているので、その方法論や手段についてはよく理解されています。相当な数の友らが幹コースを通過できるように、インステイチュートのプロセスを強化しなければなりません。この意味では、実践部分を十分に考慮した、集中インステイチュート・キャンペーンが不可欠です。核活動の数は着実に倍増し、一般社会からの参加も系統的に拡大しなくてはなりません。進歩を見守り、友らの思考の統一を維持し、彼らのエネルギーを活性化するためには、リフレクション・ミーティングが定期的に開かれるべきです。また、成長過程を管理する構想も、状況に応じて、徐々に構築しなくてはなりません。クラスター・レベルで成長を維持する能力は今後の最も重要な課題ですが、現場からの、または現場への情報と資源の流れを円滑にする地方および全国組織の継続的な発達も無視することはできません。
同じく重要なのは、パイオニアを送り込むことによってクラスターを援助することです。パイオニアになろうという願望は、聖なる呼びかけに対する反応として個々の信者の心から自然に出てくるものです。大業を教えるために家を捨て去る者は誰であれ、過去数十年間にその業績でバハイ・パイオニア活動の年代記を輝かしいものにした高貴な魂たちと同列に加えられます。我々は、次の五年計画で数多くの人々がこの賞賛されるべき奉仕に立ち上がるという希望をもっています。それが国内であれ、あるいは国際的な舞台での奉仕であれ、それ自体、計り知れない祝福をひきつける行為です。一方で、機構の側は、そのような友らが戦略的に配置されるように健全な判断を下すべきでしょう。短期、または長期パイオニアは、成長過程を加速させる土台強化の手段として、あるいは進行中の活動のサイクルを安定化させる手段として、集中的活動の焦点となるクラスターに優先的に配置すべきです。このように強いクラスターを中心に力を集中させれば、ゆくゆくはそこから将来勝利の舞台となる新しいところにパイオニアを送り出せるようになるということは十分考えられるでしょう。
親愛なる友らよ。向こうの数週間、あるいは数ヶ月、あるいは残りの計画の間、あなた方と顧問補佐のみなさんは、信者たちが目前にあるチャレンジに向かって立ち上がるにつれ、彼らを常に励ます源となるでしょう。そして、その道において必ずや現れる障害物を乗り越える能力が彼らにあるということをわれわれが確信していることをあらゆる機会を通して伝えてください。過去10年間、信者達は、自分たちがバハオラの継続する御恵みによって成し遂げたことがいかに大規模なものであるかを見落としてはなりません。最初の4年間、彼らは、ますます多くの信者に精神的な教育を施すため、世界中にインスティチュートの体制を創りあげました。そして、この業績を基盤として、徹底的な学習のプロセスに従事しました。それによって偉大であるが達成可能な展望が彼らの面前に広げられたのです。バハイ世界が、この5年の間に祈りの会の数を6倍に増やしたこと、子供とジュニア・ユースのためのクラスの数が同時期に3倍以上に増えたこと、そして世界中のスタデイ・サークルの数が11000を超えるほどに成長したこと−−これらは信者たちが自分たちに委ねられた任務を背負うとき出すことができる並々ならぬ力の度合いを示しています。
友らは、何よりもまず、自分たちが活用できるすばらしい精神的な力の強さを常に意識しておかねばなりません。彼らは「世界の諸機構、それが世俗的なものであれ、宗教的なものであれ、そのほとんどが消滅しつつある」中で、「その活動こそは、地球を包み込む、常に強化される唯一の統合を促進するプロセスをなしている」共同体のメンバーなのです。世界中のもろもろの民族の中で、「彼らのみが、この騒乱の時代で、その時代の進路を描き、その運命を統制する聖なる救済者の御手を認識できるのです。また、彼らのみが、自らが作り上げている秩序ある世界的行政組織の静かなる成長に気づいているのです。」さらに、彼らが確立するように呼びかけられているその諸機構こそは「やがては、この時代を印す栄光あるものとして見なされる」ものであり、彼らが献身的に身を注いでいる「建設のプロセス」こそは「打ちひしがれた社会の唯一の望み」なのです。なぜなら、そのプロセスは、「神の変わることなき目的の生成力により動かされており、神の信教の行政秩序という枠組みの中で進化している」からです。また、友らには、彼らこそが、アブドル・バハにより次の祈りで描かれている、啓発を受けた魂たちであることを思い起こしましょう。「おお、わが主よ。彼らは英雄であります。彼らを戦場へと導きたまえ。彼らは案内人です。論拠と証拠をもって彼らに発言させ給え。彼らは人を助ける僕(しもべ)であります。彼らに、確信の美酒にあふれる杯を酌み交わさせ給え。おお、わが神よ。彼らを麗しき庭園で歌う鳴鳥(めいちょう)となし、茂みに横たわる獅子となし、広大なる海に深く潜る鯨となし給え。
万国正義院 (印)