メッカのシャリーフに宛てられた言葉が含まれた書簡よりの抜粋

 

 おおシャリーフよ!……汝はこれまで生涯を通じてわれを崇拝してきたにもかかわらず、われを汝に顕示した途端、汝は「わが記念」の証人として立つことも、そして彼こそは最も崇高なる御方、至高の真理であり、栄光に満ち給う御方であると確言することもしなかった。このようにして汝の主は復活の日に汝を試されたのである。誠に彼こそは全知にして聡明なる御方である。

われが啓典を汝に遣わしたときに汝が「われここにあり」と述べさえしていれば、我は、われを実際に信ずるわがしもべらの仲間内に汝が入ることを認め、すべての者が審判を受けるためにわが面前にて立つまで、わが啓典のなかにて恩寵深く讃えていたことであろう。これは汝の主のために汝が生涯を通じて行ってきた崇拝よりも、否、それが始まりのない始めから行ってきたものであっても、汝にとってはるかに有益なことである。現にこれこそは汝の最良の利益のためになったこと、また永遠にそうなることである。誠にわれはすべてのことを認識している。われは汝が復活の日にわが御前に到達するために汝を存在するに呼び起こしたにもかかわらず、汝はなんらの理由も、また明確な聖句を示すこともなく汝自らわれを締め出してしまった。しかし、もし汝がバヤンの知識を授かった者の内であったならば、汝はその書が目に映ったとたん、危難の中の御救いに在し、御自力にて存在し給う御方である彼の他に神はいまさずと直ちに証言し、またコーランの啓示者が同じくこの書を啓示し、その全ての言葉は神からのものであり、われらすべてがそれに忠誠を誓うものであると認めていたであろう。

 しかし、 定められたことは既に起こってしまった。もしわれを通じてこの啓示が続く間に汝がわれの下に戻れば、われは汝の火を光に変えよう。誠にわれはすべてのものに優る力を持つ。しかし、汝がこの勤めを果たすことができなければ、汝は神の大業に奉じ、汝の忠誠が神の顕わし給う御方に伝えらえることを懇願する以外に道は開かれていないことに気づくであろう。それは、神が顕わし給うであろう御方がその恩寵により汝が繁栄することを可能とし、汝の火を光に変えるためである。これはわれに下されたことである。また、このことが果たされなければ、われが記した全てのことは、効力が永続され、危難の中の御救いに在し、御自力にて存在し給う御方である神により、取り消されることなく命令されるであろう。よって、われはわが正義の証として、汝を我が面前から追放することになろう。誠にわれは判決において公正なり。