281 人類に奉仕

281 人類に奉仕

    人類に奉仕 子ども5人の家族で4番目の子 シャラが仲良しのチヒロちゃんと、お母さんから貝殻で何か作るのを習っているようです。お母さんがオーブントースターから貝殻を取り出しているところでした。そのとき長女のモナがその部屋に入って来ました。二人の女の子は熱くなった貝殻にクレヨンで色付けを始めました。   モナがその様子を眺めながら感動して声を上げました。 「わあー!すごーい!きれいねー!何を作っているの?」シャラが自慢でもしているように答えました。...

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280 双子の神の顕示者

280 双子の神の顕示者

  我は、我は、我は 約束された者である... バブ   双子の神の顕示者  シャラが学校から家に走って帰ってきました。ランドセルを床に脱ぎ捨てると、たたみの部屋のテーブルに向かって息を切らしながら座りました。そのテーブルでは、お母さんが絵を描いていて、幼いアニサはぬり絵をしていました。 「お母さん!聞いて!今日、私たちのクラスに二人の新しい子が入ってきたのよ。なんと、その二人は双子の女の子だったの!」 そこへリアズとアスマがちょうど帰ってきて、台所からおやつを食べながら部屋に入って来ました。...

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279 尊敬/謙虚

279 尊敬/謙虚

「謙虚の木の果実に……なりなさい」  バハオラ 本土は秋でも、まだまだ夏の陽射しが残る、沖縄の土曜日の昼下がりのことでした。5人のきょうだいで、モナ、シャラ、アニサ3人の女の子が、台所でクッキーを焼いているお母さんのお手伝いをしていました。長男のアスマが、台所に入ってきました。 「お母さん!リアズがおれの漫画の本の『ドラゴン・ボールZ』を外のベランダに置きっぱなしにしていたんだ!雨でぬれるか、汚れるかもしれないのに!おれの本を尊敬する気持ちがまったくないんだ!!!」...

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278 親切

278 親切

親切               沖縄の夏も近い、太陽がいっぱいの日のことでした。リアズが学校から帰って来て、大声をあげました。「お母さん!聞いて!おれ見ちゃったんだ!帰り道、モナが何をしていたと思う!?」すると、 「リアズ!」と、後ろにいたシャラが強い声で、「告げ口しちゃ、ダメよ!かげ口は、お母さん、大嫌いなんだから!」  と、たしなめるように言いました。 「そんなんじゃない!これはいいことなんだよ!」とリアズがも...

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277 友だち作り

277 友だち作り

友だち作り 沖縄の暖かい春の日の午後でした。お母さんは長男のアスマが学校から帰って来るのが重い足取りなのを見ました。その足で台所のテーブルにゆっくり歩いて来て、アスマはため息をついて座りました。お母さんはアスマのとても悲しそうな顔が気になりました。「一体どうしたの?アスマ?」とお母さんが聞くと、アスマがさびしそうに答えて、「どうしておれには友だちができないんだ?リアズはあんなにたくさんの友だちがいるのに!どうして誰もおれの友だちになろうとしないんだ?」...

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276 許し

276 許し

許し 涼しくなった沖縄の秋のある日、二女のシャラが学校から走って帰ってきました。 急いでランドセルを背中から脱ぎ捨てて、家の奥に向かって叫びました。 「お母さん!見て!学校で男の子に一発やられて鼻血が出ちゃった!」 お母さんは驚いて飛び上がりました。そして、シャラの顔を注意深く見ました。5人きょうだいの末っ子のアニサも、シャラの鼻が心配で急いで走ってきました。 おてんばのシャラの相手だから、わんぱくで大きな子を、お母さんは想像して、   「一体どうしたの?」とシャラに聞きました。...

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