友だち作り
沖縄の暖かい春の日の午後でした。お母さんは長男のアスマが学校から帰って来るのが重い足取りなのを見ました。その足で台所のテーブルにゆっくり歩いて来て、アスマはため息をついて座りました。お母さんはアスマのとても悲しそうな顔が気になりました。「一体どうしたの?アスマ?」とお母さんが聞くと、アスマがさびしそうに答えて、「どうしておれには友だちができないんだ?リアズはあんなにたくさんの友だちがいるのに!どうして誰もおれの友だちになろうとしないんだ?」
「かわいそうに、アスマ!あなたの気持ち、よくわかるわ。私も子供のころ友だち作りが苦手だったのよ。あなたみたいに恥ずかしがり屋で、おとなしかったからだと思うわ。」
アスマが驚いて、「まさか!だって、いつも誰にでも話しかけているじゃないか!お母さんは全く知らない人にもまるで昔からの友だちのように話しかけるものだから、おれたちいつも恥ずかしい思いをしているんだよ。」
お母さんが笑って、「そうね、今はね。大人になるまで気づかなかったんだけど、私が恥ずかしがり屋だったのは自分中心の考えだったからなのよ。私のことを他の人が何と思うだろうかと心配していたのね。相手の人のことよりいつも自分のことしか考えていなかったのよ。」
ちょうど、そのとき他の3人の子たちが冗談を言って笑いながら、学校から帰って来ました。末っ子のアニサが動物のぬいぐるみで遊んでいた子供部屋から飛んで出てきました。きょうだいが揃ったので喜んでいたのです。
リアズがお母さんとアスマを見つけて聞きました、「二人ともまじめな顔して何を話していたの?」
アスマがリアズの方に向かって、「リアズ、お前はどうやって友だちができたんだ?みんなお前と友だちになろうとして、お前に近づいて来たんだよな。だって、おれと同じ年の友だちまでいるじゃないか!」
リアズが少し考えてから、「ちがうよ。おれが友だちがいないような奴を見つけるんだ。そうして、こちらからそいつと友だちになるようにするんだ!それで、おれと
友だちになったんだ。」
お母さんが手を叩いて笑って、「リアズ、あなたがそんな哲学者のような問題解決の方法でするなんて、知らなかったわ!」
アニサが不思議そうに、「てつがどうとか?それってなあーに?」 モナが答えて、「てつがくしゃとは問題を解く方法を自分で探して見つける賢い人のことよ。」
「リアズはどちらかというと賢い人より人を笑わすピエロだよ。」と友だちがいなくて、さびしそうにしていたアスマがやっと笑顔に戻って、リアズをからかいました。
「ピエロだったら、いつも意地悪したり馬鹿な仕草をしたりして、人を笑わすサーカスなんかによく出てくる人ね。」とモナが説明しました。
「それだったら、リアズは本当に賢いピエロだね。」とアニサが答えたのでみんな笑ってしまいました。
モナがまじめな顔をしてアスマに言いました、「私も友だちを作るのはダメだったのよ、アスマ。だから、私も、ときどきリアズみたいになりたいと思うわ。」
「そう言えば、おれたちがグアムの北にあるロタ島に住んでいるころのことをおぼえているかい?」とアスマが続けて、「リアズはまだ幼稚園生だった。お母さんがおれたちみんなを病院に連れて行ったとき、新しいお医者さんが来ていただろう?ピエロみたいなリアズがとつぜん姿勢を正してその医者の前に進み出ると、握手する手をさし出して、『ようこそロタへ!僕の名前はリアズだよ!よろしく!』とあいさつしたのがおかしくて。この医者はこのあいさつがとても気に入って、リアズのおかげで医者の家族とおれたちの家族が友だちになったじゃないか!おれたちが沖縄に引っ越してからも付き合いを続けて、沖縄に訪ねてくることまで約束したんだぞ。」
お母さんが続けて、「それと、もう一つ思い出すのは、リアズが着ていたTシャツも気に入ったのよね。『坊や、そのTシャツに何と書かれているか知っているかい?』とこの医者が聞くと、『世界は一つ、人類も一つ。お願いしまーす!』と、リアズが自信たっぷりに答えたのがとても気に入ったようね。」
アスマが、「そう言われても、おれは人に話しかけるのはやっぱり苦手だ!特に、知らない人だったら。」と言うと、モナも賛成してうなずきました。
「でも、バハオラの言葉に『どの人の顔にもバハオラの顔が見える』と言われているのよ。」とお母さんが説明を続けて、「これはね、人の目を見ると、その人の魂から神様の反射が見えるからなのよ。神様が人を一つの家族として創られたのだから、私たちは人を愛するのよ。」
モナが言いました、「そうよね。そうするように頑張らなくちゃ!バハオラの長男のアブドル・バハを手本にしてね。アブドル・バハは、出会う人誰とでも友だちになったんだから。貧しい人、お金持ち、ホームレス、病人、若い人、子ども。」
すると、アニサがもどかしそうに声を上げて言いました。「どうぶつもよ!!だって、アブドル・バハは、かわいいネズミとも友だちになったでしょ。」
「アブドル・バハの部屋で秘書が罠にかかったネズミを見つけたときのことかな?秘書がそのネズミを処理しようとしたところ、それはダメだ、そのネズミは私の友だちになるんだからと言って、アブドル・バハはお客さんからもらったチーズを、そのネズミにあげたくらいだからな。」とアスマが説明すると、モナが続けて、
「それから何日か過ぎた、ある日、その友だちをケガさせないように捕まえて、優しく外に放してやるようにとアブドル・バハが言われたのね。実は彼女に、まもなく赤ちゃんが生まれる予定だったの。だから彼女は外で赤ちゃんを育てる必要があったのよ。」
「ところで、アスマ、あなたとモナが友だちを作るのが苦手なのをどうしたらいいかの話に戻りましょう。」とお母さんが言って続けました。「あなたたちと友だちになる人がやって来るというのでなく、リアズのように、あなたたちがそういう人を探すことね。たとえば自分の周りで一人ぼっちで寂しそうな人、悲しそうな人を自分で探すのよ。そしてその人と友だちになるようにするのよ。」
シャラが立ち上がって言いました、「私たち、きょうだいで遊んでいるとき、モナか誰かが私に怒ると、全員が私に怒るのよね。そして、みんなで私と遊ばなくするでしょ。そんなとき、お母さんが私にみんなのおやつを運ばせると、仲間に入れてくれるじゃない?今度友だちを作るとき、そのようにしたら?」
リアズが笑みを浮かべて言いました、「そうだな、シャラみたいにすぐ怒ったり、引っかいたりしなければ、仲間はずれにならないと思うよ!」リアズは何度もシャラに顔を引っかかれた傷がありました。みんなで笑ってしまいました。
シャラが傷ついたのを知って、モナはシャラを抱き寄せました。
「ところで、みんなに、なぞ解きがあるんだけど!」とリアズが声を上げて言いました。
みんながリアズに注目しました。
「乗りたくなるような一番いい乗り物とは何でしょう?」
みんなが考えているとき、アスマが「おれはバイクに乗りたいな!」アスマはちいさいころからバイクが大好きでした。
「私は一輪車がいいわ!」モナは一輪車に乗るのが上手でした。
「ローラー・スケートとかアイス・スケートがいい!」シャラはどちらも上手でした。
「やっぱり馬ね!若いときによく乗って楽しかったから。」と、お母さんが続けました。
「メリーゴーランドよ!今すぐみんなで遊園地へ行こう!」とアニサがうれしそうに立ち上がって叫びました。
「みんなどれも楽しそうな乗り物だけど、」とリアズが笑いながら続けて、「しかし、自分でも誰にとっても、一度でも乗りたい乗り物は、何と言っても英語でシップという船だよ!それでは何というシップでしょう?答えは、乗ったら友だちになるフレンド・シップだよ!FRIENDSHIP!」
みんな驚いて笑い始めました。
そのときモナが言いました、「やっぱり、リアズはピエロだね!」
みんな大笑いしました。
言葉だけで友情を示すことに満足してはならない。あなたが出会う人すべてに対して
あなたの心を優しい愛情で燃え立たせなさい。 アブドル・バハ
クイズ
- アスマが悲しかったのはなぜですか? ____________________________________________________________________________
- 簡単に友だちをつくるのは、子供たちのうちの誰ですか? ___________________________________________________________________________
- その子は、どのようにして友だちをつくるのですか?
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- リアズが幼いころ、住んでいたロタ島で友だちになったのは、誰ですか?
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- 友だちを作る手本となるのは、誰だとバハオラが言われたのですか?
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- アブドル・バハと友だちになった、アニサが好きな動物は何ですか?
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- シャラが提案した、友だちを作る方法は何ですか? ____________________________________________________________________________
- 友だちを作る一番いい方法は何ですか?
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- リアズのなぞ解きで、一番いい乗り物とは何でしたか?
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上の質問にいくつ答こたえられましたか? 答こたえは保護者ほごしゃのページに
あります。
紙皿で作る星
材料
*紙皿
*はさみ、穴あけパンチ
*かどが直角の下敷きか三角定規、ものさし、分度器
*直線や目じるしにXを書く鉛筆
*いろいろな色の毛糸
*ギラギラのり
*100円ショップにある宝石のような飾り物
作り方
*紙皿の裏で、底の円の内側に下敷きのかどを当て、直角の二辺が円と交わる2点を線で結んで、円の直径を書く。真ん中に中心点をしるす。分度器の直径と中心点を重ねて、分度器の周りを時計の針のように0度から40度ずつの間隔に、320度まで九つの、しるしを書く。円の中心点とこのしるしとを結ぶ線を皿の円の内側1㎝まで延ばして、そこに穴あけパンチで穴をあける。1から9まで穴に番号を書く。
*右の写真のように紙皿の底の部分は、はさみでくり抜く。
*次の手順で毛糸を穴に通していって、紙皿の表と裏に三角形を作る。1本目は裏から穴1に、1表4裏7表1裏4表7裏1… 通す番号の穴と穴との間にある二つの穴は飛ばす。表、裏は紙皿に出る三角形の三辺になる。2本目は穴2に裏から、3本目は穴3に裏から… 九つとんがりのお星さまは、3本目で完成!毛糸を3色にして、お皿にきらきら光るおもちゃの宝石とか金銀ののり付けをすると、美しい飾り物になるよ!
点つなぎの絵
1から34までの点をつないでみよう!どんな友情を描いた絵になるかな?その絵に気持ちを込めた色をぬってみよう!
保護者のページ
次のバハオラの引用文から、「友達作り」とはどういうことかを考察してみましょう。
そして、我が名のために、また、燦然(さんぜん)と輝くわが明白なる大業への汝らの愛の証しとして、互いの欠点に目をつぶれ。わが御心の楽園に汝らが常に融和と一致をもって交わるのを見、汝らの行動より親愛と和合、慈愛と友情の芳香を感知することを我は愛す。すべてを知り、忠実なる者は汝らにこのように忠告する。我は常に汝らと共にある。汝らの友好の芳香を嗅ぐことによりわが心は必ず喜びに満たされよう。また、それ以外に我を満足させ得るものは何もない。真の理解力を有する者はすべてこのことを証言する。 落穂集(146)
おお、バハの人々よ。親愛と友情の精神をもって万人と交われ。もし汝がある真理を把握し、他人の知らない宝石を有するならば、最高の親切と善意の言葉をもってそれを彼らと分かち合え。もしそれが受け入れられ、その目的を果たしたならば、汝の目的も果たされたことになる。
落穂集(132)
神の言葉はともし火であり、次の聖句こそがこのともし火から放射される光である。汝らはみな一つの樹の果実であり、一つの枝の葉である。互いに最高の愛と調和、親愛と友情をもってふるまえ。真理の昼の星なる者こそわが証人なり。和合の光は非常に強力であり、それは地球上をすべて照らし得るほどである。 落穂集(132)
今日こそは、神の慈悲の大海が人類に顕あらわされた日であり、神の慈愛の昼の星がその輝きを彼らに注いだ日であり、神の惜しみない恩寵の雲が全人類を覆った日である。今こそは、愛と親善の精気みなぎる微風と、友情と慈善の活水とにより励まし、活気づけるときである。 落穂集(5)
クイズ: 1)友だちを作るのが苦手だったから。2)リアズ 3)友だちが必要な人を探して、友達になる。4)お医者さん 5)アブドル・バハ 6)ネズミ 7)おやつを配る。8)必要な人には誰にでも友達になる。9)FRIENDSHIP(乗ったら友だちになるフレンドシップ、SHIP は英語で船という意味)