美しさ
晴れわたった沖縄の、ある日の午後のことでした。お母さんは次女のシャラが近所の仲良しのチヒロちゃんと学校から帰って来る声を耳にしました。何だかこうふんしているような、その声が家に近づいてきてシャラが、「お母さん、ただいま!チヒロちゃんがいっしょなのよ!」」続いてチヒロちゃんが「こんにちは!」と玄関先で叫びました。
「どうぞ!」とお母さんがこたえたので、二人は畳の部屋に入っていきました。しばらくしてお母さんがちょうどおやつに焼いていた、焼きたてのクッキーを持って来てくれました。
「お母さん!素晴らしい絵本よ!見て!チヒロちゃんが図書館で見つけたのよ!」シャラがこうふんして言いました。
その時、チヒロちゃんが来ているのを知ってか、クッキーのにおいがしたからなのかアスマとリアズが部屋に入ってきました。二人はおもむろにクッキーをつかんで口に入れました。リアズが口をクッキーでいっぱいにしながら、「それ、何の本?」とぶっきらぼうにたずねました。
「斎藤隆介と言う人が書いたお話で、『花さき山』と言う絵本なのよ!」とチヒロちゃんが答えました。
「あれ?それなら私、その本を知っているわ。」と次にモナがやって来て言いました。 「去年、私たちの先生が読んでくれた絵本なのよ!」
最後にやって来た末っ子のアニサは、きょうだいたちが学校から帰って来たのに気づき大喜びでした。「シャリー!一人で寂しかった!」と言ってシャラに抱きつきました。まだ学校に行けない幼いアニサは、お母さんがいるけど独りぼっちでした。
お母さんはアメリカ人なので、その本を見て、「日本語なのね!シャラ!それのどこが素晴らしいのか説明してくれる?」と頼みました。 待っていましたというように、シャラが英語で説明し始めました。 「村の小さな女の子が、村の山のいたるところで、美しい花をたくさん見つけたの。そのあまりの美しさに山の中を歩きまわっているうちに迷子になってしまったの。すると、山のお年寄りの魔女の山姥が現れて、自分は人に害じゃなくて親切にする山姥だと言って女の子をなぐさめて、その花の美しさの秘密も話したの。」
アニサが、「シャリー、その秘密は何だったの?早く教えて!」とせかすように言いました。絵本の中の挿し絵で、色とりどりの花々が美しいのを見たからでした。アスマとリアズでさえも、この絵本の中を見ようとして絵本の近くに寄って来るくらいでした。
「その秘密とは、村の誰かが親切なことか、自分を忘れて何か善いことをするたびに、美しい花が現れると山姥が言うのよ。そして、大きな犠牲が払われれば、そのときは、山全体が美しい花々で飾られるでしょうとね!」
「ワオ!すごい!」子供たちからため息が出ました。モナが、
「私なんか、この話を聞いてから、ときどき、花を見ると誰が何をしたのだろうと思ってしまうのよ!」と思い出すように言いました。
「まあ‼そんなにも。」とお母さんもため息をついて、「美しさというのは神様の属性なのよ。だから、自然にある美しいものは、すべて神のしるしです。」
ここでお母さんは何か思いついて、「私がアメリカに住んでいた若い頃、アメリカ・インディアンのナバホ、ラコタ、その他多くの部族が自然の美しさを神に感謝するお祈りを聞いたことがあるわ。そのうちの一つはこんな感じ…私の目の前にある自然の美しさ、私の後ろにもある、私の下に見える、私の上にもある美しい自然を神に感謝します....といった具合にね。」 ちょっと考えていたアスマが言いました、「美しい自然は神が創られたという、しるしだから、彼らは神が創られたものの美しさを見て、お祈りで神に感謝していると思うな。」
お母さんがこたえて言いました、「さすがアスマ!それと、そのお祈りの中で、彼らが美しいことをするようにと、神の偉大なお力にお願いしているのよ。」 突然チヒロちゃんが声を上げて言いました、 「沖縄の文化にも、美しさのことのお祈りや物語があるよ!」みんなが驚いて彼女を見ました。いつも、みんなの前では彼女はとても静かなので、みんな彼女がそこにいたことも忘れてしまったようでした。 「喜納昌吉さんの『花』という有名な歌があるよ。うちのお母さんはよく歌っているよ。」 https://www.youtube.com/watch?v=cYmhmOs5uPk
「そう言えば、おれたちはこの人を知っているだろう!?おれたちのバハイ・キャンプに来て、この歌を歌ってくれたよ!」リアズがこうふんして言いました。
「そうだったね!」とシャラが言って、「メロディーがとてもきれいだった!それに終わりの方で『人として花を咲かそうよー』と歌うところがよかった。今でも思い出すよ!!」
「そうだね!美しさを考えるのは、どこの土地へ行ってもあると思うよ。」とモナが言って、「自然の美しさに感動して、それを誰かに伝えようとするのが、芸術になるのかな?!バハオラが『芸術は神を崇拝していることと同じである』と言われているからね!」
「あっ、そうだ!」とシャラが言って、「どこの国のお話か忘れてしまったけど、いつも誰にでも、やさしく話して礼儀正しい少女のお話を覚えている?…それで、
魔法使いのおばあさんが少女の口から美しい花や宝石などを出してみせたでしょ!」
「そうだったなー!」とリアズが思い出すように言って、「それにひきかえ、お姉さんは意地悪で、ひどい言葉も言うから、その口からクモやゴキブリなどが出てきたんだよな!」
「そう言えば、あんたの口からもゴキブリが出てくるのを、私、見たことがあるよ、リアズ!」とモナがからかって言ったから、みんなが、リアズでさえも、笑ってしまいました。
「とういうことで、私たちも美しく行動して、話すのも美しくすれば、私たちの周りにその美しさを作り出すようになるのよ!」とお母さんが励ますように言いました。
「それは他の人々にも『話すのを美しくすれば、行動するのも美しくしたい』と思わせるよな!」とアスマが続けました。
「バハオラが祝福された美とか古代の美と呼ばれているのは、神の美しさを完全にあらわされているからなんでしょう?!お母さん!」とモナが言いました。「そうよ、モナ!そのとおり!」とお母さんが感心して、 「バハオラが古代の美と呼ばれるわけは、古代から仏様、モーゼ、 キリスト、モハメッドなどの神の顕示者が神の属性を少しずつ明らかにし、今ではバハオラが、そのすべてを完全に明らかにされているからなの。そのすべてが世界中に伝わって、世界中の人がすべての美徳を習うチャンスがいただけるように。バブとバハオラのお祈りに、神の美のお祈りがたくさんがあるのよ、アブドル・バハにもね。さて、それでは誰かそれを見つけられるかしら?」お母さんが言いました。
みんながそれを探そうと散らばって行きました。だけど、ただリアズだけは、ニヤッとして座ったままでした。
まもなくして、アニサがモナに手伝ってもらって短いのを見つけました。アスマとシャラもそれぞれ見つけてきました。
お客さんとしてシャラに勧められて、チヒロちゃんがシャラより先に発表しました。「沖縄に有名な名言で、『花笑み』というのがあるのよね。花が咲くような美しいほほ笑みという意味でした!」とチヒロちゃんがはずかしそうにほほ笑んで言いました。続いてシャラが、「自分たちの行動が美しい祈りとなるよう、みんな日々努力しましょう!」次にアスマが、「 おお友らよ! 消滅せねばならぬ美のために永遠の美を捨てるな。またこの滅ぶべき塵の世に愛着を持つな。」
アニサは、モナが手伝って見つけた短い祈りで、「わが美を愛するがために、わが命令に従え。」
最後にモナが読みました。「おお、わが主よ。あなたの美をわが糧となし、あなたの存在を飲み物に、あなたのお喜びをわが希望になし給え。」
彼らはすべて終わって、リアズを見ました。
「リアズ、美しさの引用文は見つからなかったのか?」アスマが心配してたずねました。
リアズはにっこりして誇らしげに言いました。「バハイの3か月目は「ジャラル」という、美しさの意味だよ。」
みんな驚いてリアズを見て笑い出しました。
「答えを見つけるのはリアズに任せて!どうせリアズのことだから、できるだけ努力なしで見つけようとするんだから。」とモナが言うと、みんなドッと笑ってしまいました。
モナは、チヒロちゃんの絵本を読むのを提案しました。みんなモナを囲んで話を聞きました。
その夜、お父さんに美しさで分かったことをみんな興奮して話しました。
お父さんが言いました、「花の美しさのことを歌った歌をひとつ知っているんだが。『世界に一つだけの花』と言うのを。作詞、作曲は槇原敬之さん。私たち一人一人が世界で一つだけの花のようだと歌った歌なんだ。私たちが花の種のようであり、それぞれが才能が異なり、美しく花開くという歌なんだ。」
「お父さん歌ってみて、歌ってみて!」アニサが叫んだ。そして、子供たちはみんな「やったー!」と叫んだ。
お父さんがはずかしそうに、頭をかきながら歌いだしました。そのあとみんな拍手して、走っていってお父さんを抱きしめました。 「私も知っている歌があるよ!」とアニサが飛び上がって歌い始めました。「みんなが、庭の花、一つの木の、葉っぱ、。。」家族全員でその子供の歌を、アニサについて一緒に楽しそうに歌い出しました。「みんなで行こう、平和と愛を探しに、これは平和の道。」歌いながら、みんなで夕食が待っている台所へと向かって行きました。
世界に一つだけの花 SMAP https://www.youtube.com/watch?v=qZq-q75KeMw
https://www.youtube.com/watch?v=DQ7_Qgg7MVc 二か国語 Hiromi De Young, Nelson Babin Coy, Rebecca Butler Watanabe
クイズ
- チヒロちゃんが見つけてきた絵本「花さき山」の秘密は何でしたか。
______________________________ - 美しさは誰の属性ですか。
______________________________ - 私の目の前の自然は他にもありますか。
___________________________________________________________________________ - 美しい自然は誰が創られましたか。
______________________________ - 美しさはどこの土地にもありますか
______________________________ - 姉妹のお話で、意地悪でひどい言葉を言うお姉さんの口からは何が出てきましたか。
___________________________________________________________________________ - 私たちが美しく行動して、話すのも美しくするとどうなりますか。
______________________________ - シャラはみんなに日々どんな努力をしましょうと言いましたか。
______________________________ - バハイの3ケ月目の「ジャラル」はどういう意味ですか。
______________________________ - 世界中の人は何を学ぶチャンスをもらっていますか。
______________________________
全部答えましたか?
どうですか?答えは保護者のページにあります。
ぬり絵
おお、わが主よ。あなたの美をわが糧となし、あなたの存在を飲みものに、あなたのお喜びをわが希望になし給え。
ステンドグラスの花
用意するもの
*花の絵または写真
*プラスチック・フォルダーを小さく四角に何枚か切り取ったもの
*黒の油性マーカーと、そのほかの色のマーカー
*色が混じったギラギラのり(100円ショップにあります)
*アルミホイルまたは色模造紙
*テープ
作り方
*花の絵の上に四角のプラスチックをのせて固定させる
*黒のマーカーで花の輪郭線を描いて、これを表にする
*四角のプラスチックを裏返して、表の輪郭線から外にはみ出さないように、裏の花に自分の好きな色に色づけする
*もう一度裏返して、表の花にギラギラのりで、のりづけしたら、花を囲む飾りを描く 花の絵、できあがり!
*裏にテープで模造紙かアルミホイル、または窓ガラスにそのまま貼り付けるとステンドグラスの花、できあがり!
保護者のページ
バハイの引用文から神を賛美する言葉をいくつか紹介します。お祈りの書にもたくさんあります。お子様と一緒に探してみてはいかがでしょうか? そして、言葉の意味を一緒に考えてみてくださいね。
おお地の子よ! 汝われを得んと欲せば、われ以外の誰をも求むるな。また汝わが美を見つめんと欲せば、世界とその中にあるすべてのものに汝の目を閉じよ。わが意志とわれ以外のものの意志とは、火と水の如く一つの心の中に住むことを得ざれば。バハオラ かくされたる言葉 ペルシャ編31
おお神よ。この子らを養い給え。この子らは、あなたの果樹園の若木であり、あなたの牧場の花であり、あなたの庭園のバラであります。あなたの雨をこの子らの上に降らせ給え。あなたの愛で、彼らの上に真理の太陽を輝かせ給え。そしてこの子らが訓練され、成長し、進歩し、最高の美しさを現すことができますよう、あなたの微風を送り給え。あなたは与え給う御方、憐れみ深き御方におわします。 アブドル・バハ
おおわが主よ。あなたの美を私の糧となし、あなたの存在を私の飲み物とし、あなたのお喜びを私の希望となし給え。また、あなたの賛美を私の行動に、あなたの記憶を私の伴侶に、あなたのご主権の力を私の救いに、そしてあなたのお住まいを私の住まいになし給え。 バハオラ
すべての名称の主におわし、天界の創造者にまします神よ。最も崇高にして、栄光に満ち給うあなたの不可視の本質の曙なる御方らにより嘆願いたします。私のこの祈りをして、あなたの美から私をさえぎる諸々の暗幕を焼き尽くす炎となし、あなたの御前の大海へわたしを導く光となし給え。 バハオラ
クイズの答え
1)誰かに親切とか、何か良いことをすると美しい花が咲くこと 2)神さまの属性 3)はい、後ろにも、下にも、上にも 4)神さま 5)はい、世界中のどこにも 6)クモやゴキブリなど 7)私たちの周りの人々も、美しく話したり、美しく行動したりしたくなると思います。 8)自分たちの行動が美しい祈りとなるようにしましょうと言いました。 9)美しさ 10)美徳を習うチャンス