人類に奉仕
子ども5人の家族で4番目の子 シャラが仲良しのチヒロちゃんと、お母さんから貝殻で何か作るのを習っているようです。お母さんがオーブントースターから貝殻を取り出しているところでした。そのとき長女のモナがその部屋に入って来ました。二人の女の子は熱くなった貝殻にクレヨンで色付けを始めました。
モナがその様子を眺めながら感動して声を上げました。
「わあー!すごーい!きれいねー!何を作っているの?」シャラが自慢でもしているように答えました。
「きれいでしょう!私たち、貝殻のネックレスを作っているのよ!」
「誰にあげるの?」とモナが聞くと、思いがけない質問にシャラとチヒロの二人は、驚いてモナの方を見上げました。シャラがはっきり、強い声で答えました。
「もちろん、私たち二人のネックレスよ!」
今度はモナの方がその答えに驚いて、お母さんに助けを求めるように言いました。
「シャラ!普通、手作りの作品は誰かにあげるために心を込めて作るのよ!そうよね?!お母さん?」
お母さんがモナを助ける説明をしました。
「そうね、絵描きが自分の気持ちを絵に描くのは、それを誰に伝えようとしているのか考えてみるといいわね。音楽家だって、そうでしょう?自分のために曲を作ったり、演奏したりするわけではないでしょう?人間が誰かのために何か作るのは、神様から習うのよね。だから,神様がされるように、私たちも気前よく誰かにあげるのよ。これは、私たち人間が人類に奉仕できる方法の一つね。」
そのとき長男のアスマと次男のリアズが部屋に入ってきました。
アスマがつけ加えて言いました。「人類に奉仕することは、われわれがこの世にいる主な理由の一つになるんだろう?お母さん?」
リアズがさらにつけ加えて言いました。「そうだよな、奉仕をすれば、おれたちも成長するし!!心が成長するのが、おれたちがこの世にいるもう一つの理由でもあるんだよね?お母さん?」リアズが続けました、「おれたちはバハイ子どもクラスで習ったんだ!」
お母さんが感心して言いました。「えらい!二人とも、やっぱり私の子ね!」お母さんが続けて、「小さい子でも、アニサくらいか、もっとちっちゃい子でも、奉仕することの大切さを知っているのよ!」さらに続けて、「どんなに小さい子でも、お父さん、お母さんのお手伝いをしたいのよ。たとえば、お菓子作りとか、おそうじ、お庭の手入れとか、とにかく、お手伝いが好きなのよね。お父さん、お母さんと親しみやすくなって、新しいことを習っていくのが、楽しくなるみたいね。」ここでお母さんは、ちょっと考えて言いました、「私たちだって、同じね。誰かにお手伝いするとき、やっぱり楽しくなるでしょ。誰かが喜ぶことをするうちに、その人と親しくなって、私たちはお手伝いの方法を習っていくのよ。そうして、私たちの魂は成長していくのね!」
「だから、奉仕することは大切なのね!わかった !!」なるほどとモナが賛成して続けました、「私の先生でね、子どもが好きだから先生になったのがわかるような、とっても生徒に親切な先生がいたわ。そうかというと、ただ仕事だから仕方がない、一日が終わるのが待ち遠しい、というような先生もいたわ!」
アスマがつけ加えて、「お医者さんでも、看護師、料理する人、給仕する人、どんな仕事をする人でも、同じことが言えるなー!」と言って、アスマはさらに続けました、
「ただお金のためにしている仕事なのか、お金のためもあるけど、お手伝いしたくてやっている仕事なのか、わかるよな。」
すると、みんなの後ろにいた末っ子のアニサが言いました。「わたしはね、お母さんのお手伝いをしたいから、手伝ったのよ!」
みんなの話しを理解しているアニサに、みんなが驚きました。お母さんはうれしそうにアニサを見て、
「バハオラの教えに、『奉仕をしていると大きな喜びになり、神様からの恵みがある』というのがあるの。」と言って、続けました。「実際、奉仕とは、どうするのか?アブドル・バハが説明されているのが、『暗い部屋を灯火で明るくしているロウソクのようになりなさい』なの。」
「ちょっと待てよ!」と、リアズが大声を上げました。「火のついたロウソクは、どうすればいいんだ?!溶けてしまうじゃないか?!」
「その通り!」とお母さんが笑いながら答えたので、みんなも、どう答えるのか心配していたのを忘れて笑い出しました。「私たちの人生で出会う人すべてに、自分を忘れて奉仕するのを心がけることね。バハオラの教えと、お祈りのすべてで、アブドル・バハがこれを説明されているのよね。」
「バブもだよ!」と言って、アスマが続けました、「バブが言われたのは、仕事でも、奉仕でも、何をするにしても、特別な人だけのためではない。その人を好きか嫌いかも関係ない。とにかく自分を忘れて神様の決められたことに従ってするんだ。だから、おれは何かする前は、バブのお祈りで、
『天と地の主、目に見えるもの、見えないものの主、すべての創造主である神様が決められたことに従って、私はこれをします。』これを唱えるんだ。」
「ワーオ!」とつぜんシャラが声を上げました。
みんなが話していても口を開かず、ただ黙って貝殻のネックレス作りに夢中になっていたシャラが言いました。「私、子どもはただ楽しいことをして、大人の言うことを聞いてさえいればいいと思っていたけど、いい人になるには何かもっとすることがあるのね。驚いた!」シャラがそう言うだろうと思っていたリアズが笑いながら、
「今ごろ何を言ってるんだ!」と言って、続けました、
「お父さん、お母さんを見てみろよ、おれたち子どものために、いろいろな奉仕をしているだろ!お母さんはお料理、お父さんはお仕事!なーんでもだ!」シャラもなるほどと納得して言いました。
「そーか、そうだよね、お父さんもお母さんも、子どもの頃にいろいろな奉仕をするのを習ったのね。」
お母さんが聞きました。
「そうよ。ところで、みんなは、どんな奉仕ができるかしら?」
誰にでもよくお手伝いするモナが答えました。
「子どもの私たちでできる奉仕があるわ。友だちや、うちの家族のお手伝いとか、お手伝いが必要な人で私たちが知らない人でも。」
「そうだわ!私たち、奉仕する計画を立ててボランティアができるでしょ!」とシャラが提案しました、「ほら!老人ホームであやつり人形のお芝居をやって見せたじゃないの。」
続いてモナが思い出して言いました。
「それから、先月そこでダンス・ワークショップもやったでしょ!」
次にアスマが続いて、つけ加えて言いました。
「アヤミハは奉仕をするのと,プレゼントをあげるのに集中できる、とってもいいチャンスだね。アヤミハの時期はこれが目的だもんな!もらうんではなく!そうだよね!お母さん!」
リアズが遠くを見つめるようにして言いました。
「おれは大人になったら、消防士の資格を取って消火のボランティアがしたいな!」
続いてアスマが、
「おれは警察のボランティアがしたいな!」と言ったので、
モナが笑いながら、「アスマ、そんなボランティアなんてないと思うよ。でも本物の警察官なら、なれるかもよ。」
最後にお母さんが締めくくって言いました。
「みんなが人生で何をするにしても、それがボランティアでも、仕事でも、人類に奉仕するためにしているなら、神様からみると、お祈りをしているのと同じになるのよ!そして、それがみんなの喜びになるのよ!」
するとシャラが、「わかった、わかった。私のネックレスは私の先生にあげることにしたわ。」と言いました。
続いてチヒロちゃんが、
「私のは私のお母さんにあげることにするの。」と言いました。そう言って、二人は顔を見合わせてほほ笑みました。
二人はこれまでの話が理解できて自分で決めたことがうれしかったみたいでした。お母さんが貝殻にキラキラ光るのりをつけるのをやって見せました。それから真ん中に小さな真珠を、外側に小さなリングをのりでつけました。そして二人にそのリングにゴムひもを通すように言いました。他の子どもたちは、こうして貝殻のネックレスができあがるのを興味深く見ていました。そしてアヤミハも近いことでもあるし、自分たちも誰かにあげるのに、このネックレスを作ってみることにしました。
クイズ
- シャラとチヒロちゃんは何を作っていたのですか?
_________________________________________________________________________ - モナは二人に何を聞いたのですか?
_____________________________________________________________________________ - 工作や音楽などを創り出す目的は、何だとお母さんは説明しましたか?
_________________________________________________________________________ - 誰かのお手伝いをしたとき、どんな気分になるのでしょうか?それはなぜ?
_________________________________________________________________________ - バハオラが言われた、大きな喜びとなるのは、何をしたときでしょうか?
________________________________________________________________________ - 奉仕とか仕事などをする前に唱えるバブのお祈りは何ですか?
________________________________________________________________________ - リアズが大人になったら、したいボランティアは何ですか?
______________________________________________________________________ - アスマがしたいボランティアは何ですか?
_________________________________________________________________________ - ボランティア活動、仕事、お手伝い、手作り工作、音楽などが、なぜお祈りと同じになるのですか?
__________________________________________________________________________ - お話の終わりに、子どもたち、みんなで何をしてみることにしたのですか?
__________________________________________________________________________
いくつえられましたか? 答えはのページにあります。
貝殻のネックレス
用意するもの:
*ネックレス一つに貝殻一つ
*クレヨン3色、3色で貝殻に色付けする
*貝殻一つに真珠一つ.
*リング、貝殻にのりづけして、ゴムひもを通す
*のりづけ用の接着剤(セメダイン木工用、速乾!!)
*ゴムひも
* アルミホイルまたはクッキングペーパー
*金皿、オーブントースター用
*オーブントースター
*厚手の手袋(クッキング用手袋)
作り方
クレヨン3色を決める
金皿にアルミホイルかクッキングペーパーを敷いて貝殻をのせる
その金皿をオーブントースターに入れる
貝殻を1分か2分熱くする
熱くなった貝殻を急いで取り出して、貝殻が冷めないうちに表と裏の両方にクレヨンで色付けする 色付けが終わらないうちに冷めてしまったら、もう一度オーブントースターで熱くする
色付けが終わったら、貝殻が冷めるのを待つ
冷めた貝殻の表と裏にキラキラ光るのり付けをする
貝殻の内側に真珠をのり付けする
貝殻の一番上にリングをのり付けする
リングにゴムひもを通して貝殻のネックレス完成!
SHELL NECKLACE!! (to give away)
ぬりえ
保護者のページ
お話のテーマになった、「人類に奉仕」に関するバハオラの教えからの引用文を、いくつか次に
紹介します。これらを参考にして、このテーマについて今一度お子様とご一緒にご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか
バハオラは、「人間の価値は奉仕や美徳にあるのであり、物質的財産の華美や富にあるのではない」と断言され、さらに「汝の貴重な人生の豊かさを邪悪で堕落した虚飾の追求に浪費することなかれ」と述べておられます。
人は他者への奉仕に献身することによって、人生の意味と目的を見いだし、社会の改善に貢献することができます。アブドル・バハは「聖なる文明の秘密」と題する書物の冒頭にこう述べておられます。
他者に奉仕するバハイをロウソクにたとえることができます。ロウソクは燃えながら周辺の人々に光を注ぎます。ロウソクが到達し得る最高の地位は、自らを燃やしながら暗い部屋を明るく照らすことです。同様に、わたしたちは奉仕によって進歩と完成の頂点に到達することができるのです。 アブドル・バハ
神聖なる教えにならって万人に接しなければなりません。つまり、神が人間を優しさをもって扱うのと同じように人に親切でありなさい。これこそは人の世にあって達成し得る最高の到達点なのです。 アブドル・バハ
人類のあらゆる構成員に対しどのように奉仕できるか、この問いを常に念頭におきなさい。相手が示す嫌悪感、拒絶、軽蔑、敵意、不公平などを意に留めてはなりません。あなたはその逆を行きなさい。うわべではなく、心の底から親切でありなさい。神に愛されし人々はつぎのことに集中しなければなりません。人に対し主の慈悲でありなさい、主の恩寵でありなさい。出会うすべての人に対し善を行い、その人のためになることを実行しなさい。 アブドル・バハ
自分のことのみに没頭する人は、無思慮と後悔の砂漠をさまよう人です。自己を忘れることこそが自己に勝利する鍵なのです。自己滅却の道こそが人生の宮殿に行き着く街道なのです。 アブドル・バハ
クイズの答え
1)貝殻のネックレス 2)誰にあげるのか 3)人を喜ばせる 4)喜びになる、神から祝福される 5)奉仕6)天と地の主、目に見えるもの、目に見えないものの主、すべての創造主である神の定めに従って、わたしはこれをします7)消防士8)警察官9)神の定めに従って、奉仕するのは神の目から見れば、お祈りになるから 10)貝殻のネックレスを創る