学びの最前線からの洞察

 

国際布教センター作成

20134

 

 

 

 

 

1.学びの最前線のクラスター

1.1.   拡大と強化のリズムの維持

1.2.   しっかりした根拠を持った教育プロセスの出現

1.3.   共同体作りにおける前進

1.4.   効果的な組織構想

1.5.   より広範に社会生活にかかわる

 

2.現れ出る成長のプログラム

2.1. 能力開発の基礎作り

2.2. 核となる活動の範囲拡大

 

3.集中度の増加

3.1. インスティチュート・プロセスの質の向上

3.2. より複雑な状況を支えるための仕組み

3.3. 近隣や村における共同体作りの集中度を上げる

3.4. 持続的発展の障害となるものを発見し、克服する

3.5. 受容性がある住民のなかのユースへの接触

3.6. 永続する親交

 

4.クラスターの動きを支える機構の能力の強化

4.1.  トレーニング・インスティチュート

4.2. ジュニアユース精神性強化プログラムの学習拠点

4.3. 地域バハイ協議会

 

5.信教が有する社会建設の力

 

 

学びの最前線からの洞察

 

(1) 5年計画開始にあたり、万国正義院が、前の5年間に達した並外れた業績の上に打ちたてるようバハイ世界に呼び掛けた時、共同体は数的目標を超えただけでなく、文化により深いレベルの質的進歩を遂げたと述べました。それ以来、ますます多くのクラスターで、友らは共同体づくりのプロセスに増え続ける参加者の集団を包み込む活動を拡大しました。現五年計画の2年目の終わりに、すでに、今後の行動に重要な含蓄がある豊かな経験があります。この文書の目的は、この経験について検討し、いくつかのアプローチを述べることです。これらのアプローチは、友らが自分たちの状況に適したやり方で適応すれば、進行中の進展を加速させるでしょう。検討は、まず、世界中の学びの最前線にあるクラスターについて考え、それから、成長のプログラムを定着し始めているクラスター、そして最後に、強度を増す活動をしているクラスターを取り上げます。さらに、クラスターの動きを支える、地域及び全国レベルの行政的構造について少し取り上げます。

 

1. 学びの最前線のクラスター

(2) 今日、世界中の3600以上のクラスターで、友らは、成長の新しいプログラムを設定するか、あるいは既存のプログラムを前進させようと努めています。これらのうち、最も進歩している200余、この内、特に最強の20クラスターの発展を検証すると、成長のための効果的戦略についての示唆と、一貫性ある行動計画追求の効力が見えます。万国正義院は今年のレズワン・メッセージで、「最先端を行くクラスターを特徴づける顕著で突出した特色の多くはまた、もっと初期の成長段階にある共同体にも見ることができる」1と述べておられます。したがって、学びの最前線にあるクラスターを特徴づける行動パターンを注意深く調べることは、成長の初期段階にあるクラスターにおいても、友らの活動を助けると期待されます。

 

3) 進歩したクラスターは通常、かなりの規模のバハイ共同体を有しており、もっと意味あることは、そこではかなりの期間、多くの人を大業や社会への奉仕に動員することに成果を上げているという点です。歴史的に大規模な共同体を持っているクラスターもあれば、つい最近、大幅な成長を遂げたところもあります。しかし、最も強固なクラスターのすべてで、この五年計画の様々な活動を支える人々の数は何百人にもなり、参加者の数は何千にも上ります。これらの献身的な友らの一部は、クラスター形成のプロセスに、完全に精通し、地域コーディネーター、地域布教委員会メンバー、地方精神行政会メンバー、顧問補佐アシスタントといったような、計画の行政的局面に携わります。子供クラスの教師、ジュニアユースグループのアニメーター、スタディ・サークルのチューターとして奉仕し、クラスターレベルのティーチング・キャンペーンに参加している友らの数も増えています。また多くの友が、ティーチングや行政の分野で他の多数の活動を主催し、共同体生活の様々な局面を豊かにすることに才能を発揮しています。誰もが、19日毎のフィーストへの参加や聖なる日のお祝いは義務であることを忘れていませんし、お祈りの会の重要性や、共同体の敬虔(けいけん)な生活の質に気付いています。この、人材の効果的活用に加えての喜ばしい動きは、核となる献身的な友ら、通常はユースが、さらに多くの近隣や村での集中的な活動に焦点を合わせていることです。

 

4) これからのセクションで説明されるように、これらの進歩したクラスターに見られる顕著な特徴は、規則的な3カ月周期で成長を継続させ、進歩を推進する教育プロセスへの焦点を維持し、共同体つくりに尽力し、増え続ける複雑性に対応するための活動をまとめ、社会へのかかわりの輪を更に広げる活動を導くといった、友らの能力です。

 

1.1 拡大と強化のリズムの維持

5) 万国正義院は、活き活きした共同体生活を生み出しているクラスターで展開される行動パターンは、二つ共、同じように妥当であるという視点から見ることができると説明しておられます。ひとつは「3カ月の活動周期で、これを通して共同体が成長します−つまり、集中的な行動の結果として経験する爆発的な拡大、どんどん増える構成員を強化する...期間として必要な強化期、そして全員がリフレクションをし、計画を立てるために設定された機会」2です。

 

6) この3カ月の活動周期がある程度の期間維持されると、共同体生活に特定のリズムが生じます。新しい周期が始まる毎に、友らは定期的にビジョンを更新し、自分たちの進歩や目下の課題を査定し、行動計画を調整し、拡大・強化活動の集中期を組織します。たとえ拡大のパターンは変わっても、これらの周期は妨げられることなく展開します。時折、問題が進歩を妨げますが、信者らは障害を乗り越え、統合された行動で前進します。

 

7) 強いクラスターの友らは、状況に応じては直接ティーチングが必要ということを十分に理解していて、拡大期のアプローチをひとつに限ったりはしません。彼らは、短期間内での数の増加ということに躍起になるようなことはありません。行動の枠組みについての彼らの理解は一層深くなり、複雑な状況や勢力の分析はもっと洗練され、自分たちの業績と今後の課題に対するリフレクションはより鋭くなっていて、ある特定の時点における成長に必要な条件を満たすための健全な戦略的選択をすることができます。

 

8) 万国正義院は2013年のレズワン・メッセージに「また、友らは、成長のプログラムの各3か月周期の拡大期における主要な焦点が、必ずしも、同じ目的に向けられるべきという訳でもないことを学びました。」3 「状況によっては、たとえば、ある周期では、個人、あるいは団体として行う集中的なティーチングを通して信教を受け入れるよう人を招待することに向けられるかもしれないし、別の周期では、その焦点は特定の核となる活動の増加に置かれるかもしれない」4と述べておられます。同じように、拡大期の計画は、特定の近隣や村のニーズに応じて異なるかもしれません。実際、資源が豊富なところでは、異なるグループの人たちが、同じ拡大期に、互いに補足し合う目標でも異なった方向の活動をするかもしれないのです。このようにして、幾つもの周期をかけて、新しい信者や核となる活動や参加者の数や、また、他の友に伴われて、拡大と強化の活動の範囲と複雑性を広げることができる人たちの数が着実に増えるのです。

 

9) 学びのプロセスが進むと、「新しい取り組みが導入される時には、しばらくの間、そのことに特別の注意が求められる」5ことは当然です。しかし、「それはそれぞれの共同体建設活動の他の面の重要性を弱めることではない」6と、正義院は続けておられます。正義院から出される一連のメッセージで導入される新しい要素への資源配分の能力により、最先端を行くクラスターの友らは、五年計画に貢献する人たちの注意を移動させることなく、「信教の待望する『全員参加』という目標」7に向けて進歩を遂げることができるのです。

 

10) これらの事柄すべてを考慮することによって、活き活きとし、多様で、調整された、広範囲の活動に満ちた3カ月周期が生まれます。その周期を特徴付けているものは、対象とする人口を取り巻く状況に応じて、場所により進歩の速度は異なるかも知れませんが、クラスター全体の友らの間の和合の精神と共通の目的意識です。重要なのは、そのような有望な成長パターンは、すべての人が、たとえ自分の活動の程度はどうであれ、謙虚な学びの精神で、聖なるぶどう園で活動する人たちに言葉と行動で全面的な支援を捧げるときにのみ維持できるということを認識することです。「お互いを前進させるためには、皆が翼のごとくならねばならない」8と、バハオラは述べておられます。

 

1.2 しっかりした根拠を持った教育プロセス

11) クラスター内の行動パターンに対するもう一つの視点は、「最初は共同体の最も年少のメンバーを対象とし、二番目は挑戦的な移行期、三番目はユースと成人を対象」9とした3つの段階から成る教育プロセスです。最も進歩したクラスターは、そのような活動が有する規模とそれが伴う複雑性とを立証します。たとえば、コンゴ民主共和国のルブンバシ・クラスターでは、約3500人の子供、2200人のジュニアユース、スタディ・サークルに参加する何百人ものユースや成人を含めたおよそ6000人が、この教育プロセスの奉仕の対象となっています。そのすべてが、知識の生産と体系化、何十人ものチューターやアニメーターや子供クラス教師の活動の調整と云ったような複雑な構想によって支えられています。

 

12) 世界中多くの地で、バハイ子供クラスに一般社会からの参加をひきつけることは比較的容易です。親たちは、精神的道徳的教育が子供たちの態度や振る舞いに良い影響を及ぼすと、容易に認めています。最も進歩したクラスターのトレーニング・インスティチュートが、今、懸命に取り組んでいる課題は、子供の精神的教育の活動を体系化し、永続するシステムを創り出すことです。「すべてのトレーニング・インスティチュートが取り組んでいる様々な課題の中で最も緊急なのは、年齢に応じて連続する子供クラスのために、十分な数の教師をどう動員するか、また、その後に続くコースを学習するグループの形成に必要な数のチューターをどう動員するか」10であると、万国正義院は述べておられます。この課題の克服にかかわる挑戦がいかに大きいかは分かっています。現在、このプログラムの初等3年生までの教師訓練用の教材は既に存在し、コースが実施されています。それだけでなく、その教師たちと共に歩むために、コーディネーターと彼らのヘルパーたちのネットワークも各クラスターに徐々にできており、それにより、クラスが支えられ、子供たちは毎年、学年から学年へと進めるようになっています。たとえば、インドでは、2011年に2年生と3年生用の教材が出されるとすぐに、17の地域インスティチュートが一連のトレーニング・セミナーを組織し、この教材のヒンデイー語やその他の地方言語への翻訳が集中的に行われ、地域、及びクラスター・コーディネーターは、クラスター・エージェンシーと協議して、新しい教材のための教師を見つけ、訓練しました。最初に現れた成果はすばらしいもので、3000人近い子供たちが2学年へ、また数百名が3学年へ進みました。

 

13) ジュニアユースの精神的エンパワーメント・プログラムは、いまや、世界中の多くの先進クラスターの顕著な特徴となってきています。バハイ世界センターの社会経済開発局の指導で、40以上のクラスターがこのプログラムに関する学びを普及させるための学習拠点としてさだめられていて、それらのネットワークのお陰で幾つかの実施上の問題が克服され、それによってプログラムが実施され、維持されています。そこで蓄積された貴重な知識は、学習拠点やそれにつながるクラスターの友らが訓練の効果をあげ、アニメーターをサポートするのを助け、3年かかるこのプログラムを学ぶジュニアユースグループの数を増やし続け、両親や公人の支援を得、クラスター活動の全体的な枠の中でプログラムを実施できるよう助けています。学びを継続的に普及させるための手配によって、先進クラスターに、参加者の数を数百、場合によっては数千にまで引き上げることができました。このプログラムはジュニアユースにしっかりした目的意識を植え付けることにより、若者を変革し、彼らの精神的、物質的教育へのコミットメントを確固としたものにし、自分の地域を進歩させるための社会的活動を実行する力を付与し、社会にある破壊的で偏見に満ちた勢力に抵抗し、より良い世界の建設に貢献する能力を証明しています。

 

14) 当然、上述した2段階の教育プロセスは、人々がインスティチュートの一連のコースを進むことによってのみ可能です。最先端を行くクラスターでは、長期間にわたって継続的な参加者の流れが維持されており、一部のクラスターではその流れは2030周期にわたって続いています。時が経つにつれ、世界中で、様々なアプローチがこの継続を可能にしました。インスティチュート・プロセスの発足にあたり、信者らはコースに参加するよう励まされました。そして、バハオラのメッセージについて人々と対話するなかで、友人や家族や隣人や同僚の中に受容性のある者を見つけ、彼らの多くが喜んでスタディ・サークルに参加しました。その後、多くのクラスターの信者らは、家庭訪問やキャンペーンなどを含む直接ティーチングを通して「高い感受性をもった一般の住民グループ」11に接触することを学び、相当数の新しいバハイが生まれました。これらの住民の中のユースにますますの注意が向けられるようになると、かなりの割合で彼らがスタディ・サークルに参加するようになりました。最先端を行くクラスターでは、主にジュニアユースグループのアニメーターとして、そして他の核となる活動の参加者、または主催者としての行動分野に速かに移動させることで、数を増し続ける若者が示す迅速な応答を活かす能力を増しています。この機会を利用するチューターの数を増やすという挑戦も、現在、積極的に追及されています。

 

15) 先進クラスター内の受容性がある住民のなかのユースとの経験は、ジュニアユース・プログラムの拡大は教育プロセスの3段階すべてを大いに刺激するということを示唆しています。もっと多くのジュニアユースグループ・アニメーター・トレーニングを一般社会の若者対象に行うためには、追加のスタディ・サークルやインステイチュート・キャンペーンが必要です。そのようなキャンペーンは、ルヒ・インステイチュートのBook1Book5を集中的に学習して、すぐにジュニアユースグループを形成するというものになるかもしれませんが、アニメーターの大半は、一連のコースの全体を終了するためにスタディ・サークルに参加して、奉仕の能力を強化します。ジュニアユースの家族の間で意識が高まると、その家族の中の子供やユース、まれに大人たちといったメンバーも自分に適した教育プロセスに参加してきます。実際、大勢の参加者を巻き込むプログラムを大幅に拡大する方法に関する洞察の多くは、学習拠点が支援しているクラスターの経験から得られたものです。これらの洞察は、地域インスティチュートとも共有され、核となる活動の中の他の活動の実施を助けるために適用されています。そして、ジュニアユースグループがプログラムを完了することを長年にわたって学んだクラスターでは、多くのジュニアユースが一連の幹コースに熱意を示し、身につけた熱意と規律をもって学習や、必要とされる奉仕活動に従事しました。このような頼もしい結果は、まだあまり大きくはありませんが、一連のコースを進むにつれ、これらの若者たちが、クラスター内の子供クラスの教師やアニメーターやチューターの一団をさらに増大させることを示唆しています。ここに述べられたことは、教育プロセスを進歩させるための唯一の方式ではありません。しかし、ジュニアユース・プログラムは、精力的に遂行するに値する戦略として、何度もその効力を実証しています。

 

1.3    共同体作りにおける前進

16 クラスター内の人材が更に豊富になると、核となる活動が倍増され、参加が多くなります。共同体生活のあらゆる局面に関係する、ダイナミックで複雑な行動パターンが現れます。先進クラスターの顕著な特徴の一つは、そこに見られる理解の変化です。この理解の前進により、クラスターは単なる活動倍増という関心事を超えて、共同体づくりの持つより深い意味合いに向き合うようになります。万国正義院は2013年レズワン・メッセージにこう述べておられます。

 

      友らの経験が深まるにつれ、クラスター内に、何千何百もの人々を包み込む、豊かで複雑な生活様式を育む彼らの能力が向上しています。信者らが活動からたくさんの洞察を得ているのをみて、我々は大いに喜んでいます。例えば、友らは、クラスターレベルで徐々に展開している五年計画は、絶えず変化するプロセスであり、それは必然的に複雑で、容易に単純化できるものではないということを正しく認識しています。

 

    ...まさに友らは、各個人の努力が全体の進歩に貢献するということを認識しており、したがって、各人の事情により生じる可能性に応じて各自がなす奉仕は、すべての人に歓迎されるのです。12

 

17 より小規模で、(人々のつながりが)親密な村や近隣という設定では、核となる活動の互いに補強し合う性質と、インスティチュート・プロセスの変革力は一層明らかになり、維持可能な成長と全員参加の実現がより可能になります。万国正義院は次のように説明しておられます。

 

      このアプローチが近隣や村落で数年間推進され、友らの集中した努力が続いた所では、顕著な成果が、徐々にではあるが間違いなく明らかになってきています。ユースは、自分たちの周囲の、自分よりも年下の世代を育む責任を担う力を与えられています。より年上の世代の人たちは、共同体全体の事柄についての意義深い話し合いに対するユースの貢献を歓迎しています。老いも若きも、共同体の教育プロセスを通して育まれた規律によって協議能力を高めており、有意義な会話のための新たな空間が出現しています。しかも、変化は、バハイ、あるいは五年計画が要求する核となる活動にかかわり、やがて新たな考え方を取り入れることが当然と期待されている人たちだけに限っているのではありません。いや、その場所の精神そのものが影響を受けているのです。祈りに満ちた態度が、広く住民の間に見られます。男女の平等もより明確に表現されます。男の子と女の子両方への教育が一層の注目を得ています。何世紀もの間に形成されてきた家族内の関係の特質は明白に変化しています。自分の住む共同体や物理的環境に対する義務感が普及しています。あらゆる社会で有害な影を落としている偏見という災いも、抵抗し難い和合の力に屈し始めています。要するに、友らが従事している共同体建設は、文化の面にまで影響を及ぼしているのです。13 

 

18) もちろん、すべての近隣が、集中的活動の中心になるのに必要な受容性を示すわけではありませんが、どんな所に住んでいても、バハイたちは人々とつながりを付け、クラスター内の知り合いの中に参加者を見つけ、核となる活動を実施することができます。先進クラスターには、同時に進行する二つの推進力があります。一つはクラスター内の一つの地域に集中する深みのある力で、もう一つはクラスター全体に広がる幅のある力です。友らはこの二つの力の共通性を認識し、共同体づくりという共同の事業に自分たちが携わっていることを容易に理解します。多様な行動の中から統一した方向性が出現し、すべての信者は、五年計画の枠組みに規定されている行動のなかに役割を見つけることができるのです。各人が各様の活動に携わるけれど、全員が共通の目的を持っており、共同体生活のある面への参加者数が徐々に増加して、他の人の貢献をありがたく受け入れます。

 

1.4  効果的な組織構想

19 ますます多くの人々の奉仕能力が増すにつれ、クラスターは進化し、各人は、相互に依存する活動を自ら開始し、この数も増していきますし、これらの活動もまた、より多くの参加者を巻き込んでいきます。時が経つにつれ、この能力開発のプロセスは、もっと精巧な調整とサポートのシステムによって補足されます。「人数が大きいだけ組織の体制はより複雑になる」14と、万国正義院は説明しておられます。近隣やクラスター内に活動の数的、また地理的分布の拡大が進むにつれ、初めは成長のための集中プログラム確立に使われていた調整のための基本的な組織はさらなる発展を求められます。先進クラスターにおける経験は、万国正義院の次の言葉で証明されています−「クラスター段階におけるこの組織の働きは...、構造とプロセス、関係と活動にますます複雑な形態に成長しても、それに対応できる能力が体系の中に仕組まれている」15と。世界中の先進クラスターに現れつつある多様な、始まったばかりの努力から、全般的に用いるべき一つのアプローチを引き出すことは不可能ですが、現時点では、少なくとも3つの局面が注目に値します。

 

20 最先端を行くクラスターでは、増大する複雑性のため、クラスターをセクターに分割し、また、共同体づくりを学ぶことに焦点を置いた活動のための近隣や村を選択する必要も出ました。一つの地方精神行政会の管轄下にある大都会のセンターは複数のセクターとして組織され、他方、いくつかの地精会が存在する村、または都会のクラスターは、いくつかのユニットを作って分けられます。そのようなユニットの例としては、コロンビアのノルテ・デル・カウカ・クラスターで、そこは特定のバス路線に基づいた5つのルートがあり、また、ケニヤのチリキ・ウエストには72の共同体を2025の隣り合う近隣をグループ分けした3つの地域があります。近隣や村では、何を持って小規模単位を設定するか、それぞれのケースによって容易ではありません。ザンビアの、人口密度の低いペンバ・クラスターでは、隣り合ういくつかの小さな村を合併して、学びを実現するに十分な規模の区割りをつくりました。逆に、マレーシアのカヤング・クラスターでは、友らは当初、大きな地方自治体範囲で活動し始めましたが、徐々に、共同体づくりにより適した、もっと小規模の地域を見つけていきました。

 

21 クラスター内に複数のユニットを指定することにより、より小規模な地域で友らの活動を支援する新しい調整の形が生み出されました。調整やサポートに関わる個人の数は、これらの小規模設定地域での参加の拡大次第です。最先端を行くクラスターでは、最低、3種類のコーディネーターが任命され、それらはインスティチュートの3つの行動分野に対応します。様々な小規模ユニットが確認されると、もっと経験豊かな友らが、追加のインスティチュート・コーディネーター、あるいはコーディネーターのヘルパーとして奉仕を依頼されるようになります。時には、セクターのティーチングまたは成長委員会が同じように作られます。その場合、一人の個人が、地域布教委員会の下で機能する、セクター成長ファシリテーターとして任命されます。近隣レベルにおいても、たとえば、協議、計画、参加促進をする核グループなどといった、略式の組織が形作られます。活動の数が多いところは、コーディネーターや成長ファシリテーターは、しばしば、より正式な調整組織の一部として、フルタイムで奉仕する必要があります。いずれにせよ、多くの最前線クラスターには、多くのコーディネーターや彼らを助けるヘルパーたちを巻き込む強力な行政ネットワークが出現しています。たとえば、カナダのトロントのようなクラスターでは、現在、全体で約10名が、チリキ・ウエストとルブンバシでは5060名もの人がこれに関与しています。インドのデリーでは、ハーケシュ・ナガーという近隣だけで、26名の人が、1200人近くを巻き込む200の核となる活動を支えています。

 

22 もうひとつの、重要で将来性のある発展は、地精会の参加の度合いが増していることです。万国正義院の20101228日付けメッセージにある地精会の責任に関するガイダンスを意識し、また、「各個人が核となる活動に直接関わること」16によって強化された地精会は、総体的な活動への貢献について定期的に確認しています。行政会の代表者は、しばしば、クラスターの計画作りの会議に定期的に参加し、自分たちの行政会はどのようにその周期の活動を支援できるか、他のメンバーらと考えを分かち合います。行政会はまた、共同体のメンバー全員について考え、励ましと支援を提供し、各人が拡大と強化に意義のある役割を演じられるようにします。

 

1.5  より広範に社会的生活にかかわる

23 先進クラスターの友らが家族らともっと親密に交わり、真の交友関係を築くにつれ、彼らは、一層緊密に社会生活に引き寄せられていきました。彼らの活動は、当然、会話や一般的関心事から生じますが、通常、「相互に連結し、互いに補強し合う二つの分野での活動」17から構成されます。つまり、社会の至るところにある談話や活動に参加することです。どちらの場面でも、最初のステップは単純で日常的な行動で、いくつかは、やがてもっと複雑で継続的な活動へと発展します。

 

24 村や近隣で友らがもたらす最初の影響は、しばしば、子供や若者の精神的・道徳的・物質的教育に関する認識や価値観に関するものです。子供クラスやジュニアユースグループの質が向上するにつれ、信者らの、若者たちの教育や道徳観強化に関して意義深い会話をする能力も高められました。その結果、バハイの(教育)プログラムに参加する子供を持つ親たちは、子供たちの学業の発展の重要性と、それに力を注ぐことをより深く理解するようになりました。

 

25 近隣や村に住む家族との温かい交友や継続的会話は、地元のニーズをより深く把握することにもつながりました。リフレクション・ミーティングやジュニアユースグループ、近隣での19日毎のフィーストなどは、信教の教えをどのように、「それがいかに慎ましやかなものであれ、....人々の社会経済生活の、ある側面の改善に適用する」18かについて共同体が考える空間を提供しています。小規模で始まったいくつかの活動が、有機的に発展し、村や近隣の住民によって実行されています。たとえば、ヴァヌアツのタンナ・クラスターでは、そこにある小川を横切って主要な交差点につながる道路は、特に高齢者にとって困難であるということから、ひとつのジュニアユースグループは簡単な橋と休憩所を作りました。長距離を歩いて旅する人はここで休憩し、大雨の時は雨宿りができます。

 

26 先進クラスターでますます目立ってきたもう一つの特徴は、女性の能力向上と参加の増大で、これはインスティチュート・プロセスのお陰です。女性は今や、しばしば、ティーチングと行政の最前線で活動しています。女の子や女性は、核となる活動を自ら始めることで自信をつけ、リフレクション・ミーティングやその他の会合に参加して共同体の業務についてもっと発言するようになりました。親たちは、自分の娘が子供クラスの教師やジュニアユースグループのアニメーター、スタディ・サークルのチューターとして進んで奉仕していることに感銘を受け、女の子にも男の子と同等の教育を与えることの重要性を理解するようになりました。そして、伝統的に女性の進歩を妨げるような文化の中でも、若い男性と女性が変化を歓迎する思慮深い主唱者となっています。たとえば、パプアニューギニアのダガ・クラスターでは、通常は家事と育児に追いやられている若い女性たちが、地方精神行政会メンバーに選ばれるだけでなく、書記や議長にもなっているのです。これは、つい数年前までは想像すらできなかった進歩です。

 

27 これら草の根レベルでの動きに加え、あるクラスターでは、バハイに影響を受けたエージェンシーの社会経済開発活動を通して、友らの活動が強化されています。たとえば、ザンビアのムイニルンガ・イースト・クラスターのカトウヨラ村では、インシンド財団が提供する社会活動計画の準備に参加する若者らが、伝統的な焼き畑農業による森林伐採の悪化を押さえるために、いくつかのジュニアユースグループの若者たちと共に、植樹プロジェクトを開始しました。この活動は、村人たちを巻き込む事業に発展し、現在、地域の首長や自治体の当局者や政府の森林課の支援を得るに至っています。

 

2.現れ出る成長のプログラム

28) 1228日のメッセージで万国正義院は述べておられます。成長のプログラムの出現を意味する第1一里塚は、活動の現場に人材の流れ込みが始まることで特徴づけられると。

 

すなわち、祈りの会、子供クラス、ジュニアユースグループといった、核となる活動が、規模は小さくても、また、組み合わせがどのようであっても、それらの活動を支えているのは、一連のインスティチュート・コースを進み、これらのコースには個人、および社会を変革させる力があると確信する人々であるべきです。19  

 

29) 新しい成長のプログラムは、二つの初期段階の能力開発で始まります。ひとつは、クラスター内の一人か、もっと多くの友が、インスティチュートの一連のコースを通過する人たちを助け、その人たちが核となる活動を開始するのに付き添うことができるようになります。そうして、これらの人たちが、他の人たちを核となる活動参加に導けるようにならなければなりません。この線に沿った努力が世界各地で実を結んでいます。ですから、諸機構は、成長のプログラムが始まっていないのに、この達成について大げさな期待をするというようなことはしません。

 

30) 現在、およそ1200のクラスターの友らが、成長におけるこの最初の幾つかの一里塚を通過しようと活動しています。正義院が設定された5,000という目標達成のためには、次の3年間でこのような努力がさらに1500から2000クラスターに広がらなくてはなりません。

 

2.1.能力開発の基礎作り

31) 系統的に配慮するクラスターとして選ばれているとか、いないとかに関係なく、クラスター内の友らは、成長のプログラムを確立するための独自の活動開始をためらうべきではありません。一つの近隣や村で熱心な数名の友らが小さな行動を起こすことで始まったことでも、健全なインスティチュート・プロセスを通して、やがて、最初の閃光は、統合した努力へとより多くの人々を引き寄せる炎に成長します。そういった率先性の他に、地元の信者を支えたり、新しい地域を開拓したりするために、単純ではあっても効果的な幾つかの戦略が生まれています。

 

パイオニアに出ること

32) 万国正義院は、2011523日付の世界中のバハイ宛てメッセージで、成長のプログラム開始にための戦略の一つについて言及されています。

 

次期5年計画の成功には、数千人もの献身的な魂の奉仕が必要となります。「祝福された美」への愛に掻き立てられたそれらの魂は、成長のプログラムを持つクラスターの数を5000に引き上げるために、家を離れ、村や町や都市に定住するでしょう。20

 

すでに何百人もの信者らが、国際および国内の目標クラスターに定住し、有機的な成長のプロセス開始に向けて努力するという呼びかけに応えています。通常、それらの多くはスタディ・サークルのチューター、ジュニアユースグループのアニメーター、子供クラスの先生の経験がある若い人たちです。彼らは、自分たちが在籍した、より進んだクラスターで一般社会の人たちと自然に交わることを学びました。大部分は短期パイオニアとして立ち上がり、12年間フルタイムで活動できたので、成長と共同体作りは急速に進みました。

 

訪問チーム

33) 万国正義院は、成長のプログラムがどのように生まれ出るかを説明して、「動き始めたばかりの活動を勢いづかせるために、他所から訪問のチームに援助を求めるかもしれない」21と述べています。最初からパイオニアを送り出すのは困難と機構が認めたところ、あるいは援助が追加されることによってパイオニアや地元の信者らが益を得られるところでは、顧問補佐があてがったアシスタントなどといった個人、あるいはしっかりした経験、協調的態度を持った信者らから構成されるティーチング・チームが目標クラスターへ送り出され、インスティチュート・プロセスを確立するために援助しました。この支援は、しばしば次のようにして強化されました。つまり、成長プログラムのないクラスターの友らが、十分発展したクラスターでしばらく時を過ごし、成長のプロセスをどのように進めるか直接体験することを通して理解を深めるのです。

 

34) モーリシャスの沖にある島のロドリゲス・クラスターでは、短期国内パイオニア定着が何度も試みられましたが、いつも、パイオニアが離れると成長のプロセスは止まってしまいました。ジュニアユースグループを結成し、住民の中に人材を開発する目的で、本土から4人の経験豊かなアニメーターから成るチームが来て、3週間滞在しました。一週目、チームは二人の地元アニメーターの助けで20人のジュニアユースにコンタクトを取り、プログラムの説明をするために保護者を訪問しました。2週目、チームは、1週間の昼間キャンプを開催。キャンプには15人のジュニアユースが参加しました。3週目、アニメーターは、プログラムの効果を評価するために保護者訪問を続けました。参加したジュニアユースの弟や妹からも、自分たちが参加できる活動が欲しいとの要望がありました。プログラムに参加しているジュニアユースの中から3人はもうすぐ15歳になり、Book1のスタディ・サークル参加を希望しています。モーリシャスから来たこのチームは、次の訪問時に、ジュニアユースグループの援助と同時に、Book5の学習の提供を計画しました。

 

機構による支援

35) 5年計画の開始時、各全国共同体は、関連する諸機構と協議して、新しく成長のプログラムを開始することについて学べる少数のクラスターを選びました。多くの国で、これまでの経験と最初の成功に支えられて、計画終了までに第1一里塚の通過を目標としていた全てのクラスターで活動のプロセスがすでに始まっていますが、他の国では、この一年でインスティチュート・プロセスが根をおろし、全ての目標クラスターで盛んになるよう努力を拡大する必要があります。

 

36) 「いま進行中の、連続する地球規模計画の目標を促進する機構やエージェンシーは、それほどダイナミックなプロセスを創り出すためそれ相当の機動性を発揮しなければならない」22と万国正義院は述べておられます。この目的達成のための戦略がいかなるものであれ、機構による支援は不可欠です。マダガスカルのフィアナランツオア・クラスターに定住した国内パイオニアは、高い受容性を見出しました。このパイオニアは、お祈りの会の主催と子供クラスの実施から活動を始めました。子供の母親を数名スタディ・サークルに誘うことができましたが、しばらくはクラスターの更なる成長はありませんでした。トレーニング・インスティチュートからの援助が状況を変えました。地域コーディネーターが訪問した時、ジュニアユースグループでアニメーターを務めることに関心を示すユースを見つけだし、一緒に、成長のプロセスを刺激することができました。彼らは協力して、ユースやその家族と会い、ジュニアユースの精神性強化プログラムの目標を共有し、彼らの支援を得る努力をしました。これらのユースは、近くの都市のセンターでインスティチュート・コースを学習し、後に信教を受け入れました。今では100人の参加者をもつ9つのジュニアユースグループがあります。地元の友らの積極的な奉仕によって、クラスターはたった9カ月で第1一里塚を通過しました。

 

2.2. 核となる活動の範囲拡大

37) 過去2年間に成長のプログラムを確立する努力が開始された新しいクラスターでは、友らは「置かれている状況」23を活用し、日常生活で出会う人々と会話をしました。隣近所の人たち、子供の通う学校で会った親たち、店員、学生、公の場で出会った人々と、自分たちが住む地域の精神的・物質的状態に関する話をしました。これらの多彩な出会いに関する報告は、信者らの、「いろいろな職業を背景とする人々と精神的に重要な話題について有意義な会話を始める」24能力が向上しており、核となる活動の中のどれでもが、「成長を刺激するうえで役に立つ」25という正義院の所見を裏付けています。

 

38) ベラルーシの、ある母親が自分の子供二人と開始した子供クラスの参加者は9人にまで増えました。すぐに1214歳のジュニアユースが関心を示したので、その母親と夫はジュニアユースグループのアニメーターについて学ぶためにトレーニング・インスティチュートの集中コースに参加しました。この二つ目の核となる活動が進み始めると、子供の親たちの関心が増し、それに応えるためにスタディ・サークルが追加されました。米国のあるクラスターでは、お祈りの会が成長の動きに最初の刺激を与えました。徐々に、お祈りの会の参加者の中からスタディ・サークルが結成され、また、すぐに子供クラスが、そしてジュニアユースグループが始まりました。フィジーの、最近成長してきた一クラスターでは、最初のステップとして、ユースにアプローチし、ジュニアユースグループ結成と維持のためのアニメーターとして奉仕するよう誘いました。この自主的活動を助けるために、地元の地方精神行政会は自分たちも全員がBook5を修了することにしました。この最初の努力によって、広く一般社会のユースの関心を引き寄せ、巻き込むことができました。ユースがインスティチュート・コースに参加したことで、人材が開発され、ジュニアユースグループが増えただけでなく、子供クラスを作ることもできました。

 

39) 世界中の多くのクラスターで、様々な方法で繰り返されているこれらの経験は、最初の人材の流れが系統だった活動分野へ向かうことにより、いかに、急速にクラスターの成長を加速化し、連続する成長のプロセスの第1一里塚を通過させているかを物語っています。

 

3.集中度の増加

40) 核となる活動の範囲が広がるにつれ、様々な取り組みを調整するためのより高いレベルの組織が出現し、拡大と強化の周期に明確なリズムが見られるようになります。友らの熱意は高まり、計画の道具や方法を一層容易に活用することができ、彼らを取り巻く特有の社会情勢に反応する能力が向上します。活動が増すにつれ、彼らは、自分たちのエネルギーを方向付け、より複雑な状況に対応するに必要な制度を確立します。時間の経過とともに、彼らは第二の一里塚となる、集中的な成長プログラムの確立に向けて前進します。

 

41) 最初の一里塚を通過するにはかなりの努力が必要かも知れませんが、それは活動の集中度を常に高め、成長のプロセスと共同体の発展を維持するために取組まなければならない多くの挑戦の最初のものに過ぎません。実際、友らは、エネルギーを衰えさせ、努力の範囲を狭めるような誤解や障害に、しばらくの間、遭遇する場合もあります。しかし、経験を積むにつれ、課題を克服することは自分たちの旅路の本質的な要素であるということに気づくに至りました。

 

42) こうして見ると、クラスターの連続的な発展のため、集中度を増すに当たって、次のようなことが諸機構の課題となります。一方では、巣立ったばかりの成長のプログラムの健全な力学をどのようにして維持、拡大するか、他方では、活動のレベルや人材開発が頭打ちになっているように見えるクラスターにおいて、集中的な成長のプログラムをいかに再活性化するかということです。これについて、友らが「自分たちが置かれている現状を分析し、可能性を見いだし、資源を活用し、来るべき大規模な拡大と強化の緊急性に対する対応を学ぶ」26うえで役立ついくつかの洞察やアプローチが出現しています。

 

3.1 インスティチュート・プロセスの質の向上

43) 万国正義院は、2010年レズワン・メッセージと20111212日付けメッセージの中で、インスティチュート・プロセスの目的と性質、およびその質的向上の重要性を説明しておられます。これらのメッセージを深く学習することにより、バハイたちと機構は、人材開発の系統的で活き活きしたプロセスを作りあげることは、引き続き、最大の課題であることに気づきました。彼らは「数的な増加の維持は、最終的には質の向上に依存する」27ということを認識します。友らは、核となる活動、参加者、入信者などについて、それらの「数」ということに対する不安や心配を捨て、代わりに、インスティチュート・プロセスはより多くの人に力をつけるうえで有効であるという点に自信をもつようになっています。それにより友らは、あらゆるレベルでの教育プロセスの質、特にスタディ・サークルの質を改めて重視するようになりました。万国正義院は2010年レズワン・メッセージで「チューターとして奉仕する人たちに多くの責任がかかります」28と述べられました。チューターの責任は下記のとおりです。

各人に精神的な力を付与するに適した環境を創りだすことです。参加者は常に、自らの学びに責任を負い、習得した知識を個人と社会の変革に適用する努力を続ける主役として自分を位置づける。29

 

44) 世界各地のトレーニング・インスティチュートでは、チューター、アニメーター、子供クラスの教師として奉仕する人々の能力向上を目指して次のような方法をとりました。つまり、チューター、アニメーター、子供クラスの教師と共に歩む責任は、主にクラスター・インスティチュート・コーディネータにかかっているため、彼らの任務の強化により多くの注意を払うようになったのです。過去二年間、もっと多くのコーディネーターがより多くの時間を提供できるよう、様々な、特別な仕組みを導入し、数多くのコーディネーターがフルタイムで奉仕するようになりました。さらに、多くの地域や国では、活動現場の訪問に並行して、インスティチュートに係わる資料を深く学習し、そこに含まれる重要な概念について検討するというクラスター・コーディネーターのための集まりが催されました。これにより、インスティチュート・コーディネーターは、理解力を育む方法によって資料の学習を行い、奉仕の道における自信を増進するやり方で実践的要素を取り込む能力を向上させました。このような深い熟考がトレーニング・インスティチュートとその日々の運用の仕組みに組み込まれた場所では質的な前進が見られました。

 

3.2 より複雑な状況を支えるための仕組み

45) 拡大と強化のプロセスを維持させるための初期段階のプログラムが見えるようになった」30レベルに到達したクラスターでは、時間の経過と共に、自然な形で、行政的仕組みの必要性が起こります。これを予め定められた何らかの計画に則って急がすことはできません。当初、友らの努力は、一般的に顧問補佐やアシスタントによって導かれ支えられました。参加者の数が増え、活動のレベルが高まると、より高度な調整のパターンが必要となります。核となる活動の中の一つの活動が、他の活動のレベルを大きく超えて成長している場合、まずはその活動を担当するコーディネーターが任命されることはごく自然な展開です。例えば、ジュニアユースグループを増やすことに最初に集中したクラスターでは、最初に任命されたのはジュニアユース・コーディネーターでした。

 

46) 「インスティチュート・プロセスを支える手段の確立と並行して」31その他の行政機構も次第に整えられて」32くると、万国正義院は説明されています。 地区布教委員会(クラスター成長委員会)をいつ任命するのが適切かという課題は各クラスターの状況によります。最初の一里塚を通過したばかりのクラスターでは、その活動の数や人材が増えている場合でも、普通、クラスター開発ファシリテーターを任命するだけでバハイや信教の友らが取組むホーム・ビジット、祈りの会、その他のティーチング活動を支えるに十分ということが立証されています。一般的に、地区布教委員会の構成は、奉仕の道において他の人々と共に歩む能力を発揮した、核をなす活発な信者たちの中から自然に発生します。

 

47) 計画作りとリフレクションの手段も、クラスターの他の仕組みと同様、有機的に発達してきました。状況がより複雑になるにつれ、これらの手段は組織化され、系統化され、より多様なものとなりました。顧問補佐やアシスタントによって主催された初期段階での日常的な交流は、やがてクラスター・リフレクション・ミーティングやその他のリフレクションのための公式・非公式な機会に代わっていきました。つまり、コーディネーター、チューター、アニメーター、子供クラス教師のための集まり、ティーチング・チーム、そして、クラスターの特定の地域、近隣や村で働く参加者のための会合などです。

 

3.3 近隣や村における共同体作りの集中度を上げる

48) ほとんどのクラスターには、既にいくつかのバハイ共同体が存在します。ですから、自然に、共同体作りに向けた努力が生まれます。核となる活動の参加者は、広範囲なコンタクトの輪や、同じクラスター内の他の区域からでてきます。友らの数が少ない所では、特別な柔軟な対応が求められ、近隣の共同体に住む友らの協力が必要となるかもしれません。規模の大きい共同体では、地域のセンターで開かれる集会を催して、多くの人が集まり、信教を特徴付ける精神を示す機会を提供します。また、それはもっと少人数で活動する人々をも強化します。友達の輪、たとえば、大学生や若い母親と云ったような人たちを核となる活動に巻き込むことによって、進行中の共同体づくりのプロセスに貴重な貢献ができます。友らがクラスター内のもっともっと多くの所で自分たちの周りにある可能性を独創的に探究するようになるにつれ、新しい信者が迎え入れられ、人材が育ち、核となる活動を通じて芽生えた共同体生活のパターンが次第に拡大して、やがてすべての信者と彼らの仲間たちを包含するようになります。これらの努力は必須のものではありますが、やがてその自然のペースや規模に達します。すると、このような努力だけでは大規模な拡大と強化に必要な突破力を発揮するには不十分のように思えます。

 

49) セクション1.3で論じたように、次のような場合、特に有望な発展が起こります。つまり、万国正義院が説明されているように、何人かの友ら、多くの場合、それは若い信者ですが、彼らが「近隣でまとまって、特に受容性の高いグループの精神的発展の道を援助することに献身し、それが集中的活動の中心となっている」33場合です。この種の取り組みは、最先端を行くクラスターを特徴づけるものですが、友らが集中度を増そうと努力しているすべてのクラスターにおいてもとても有益です。近隣や村での取り組みは、組織された直接ティーチング活動や、特定の核となる活動の拡大を目指したキャンペーンによって動きだすこともあれば、パイオニアがこの目的のためにその地に移り住むことによって始動することもあります。さらに、クラスター・エージェンシーが地元の信者と共に歩むことによって、地元の信者が近所の人へのティーチング活動の集中度を上げることもあります。共同体づくりの決定的な要素として、当初からジュニアユース・プログラムを選んだクラスターでは、クラスター・エージェンシーが大勢のユースやジュニアユースのいる近隣を特定します。活動を集中させる近隣や村を選ぶうえで、一度に多くの場所で活動を育てようとするとエネルギーが無駄に分散されることが見られます。これら多様な経験は、友らが、特定の近隣や村の現状、つまり、そこに存在する資源、課題、住民がバハイたちと肩を並べて「集団的変革のプロセスを開始する」34可能性について深く検討することの重要性を示唆しています。

 

50) 献身的な信者のグループが、ある近隣や村に集中して活動を育てようとするとき、彼らには、展開しつつある有機的プロセスに合致した範囲で行動する自由が与えられ、機構から適切なサポートがなされるべきです。友らが、受容性のある住民の中の成長の条件にどのように対応すべきか、真の友情をどのように育むか、どのようなティーチング活動が有効か、持続する成長のプロセスを維持するためにどのようにして資源を導入するかについて学ぶには時間を要します。クラスターの全員が同じ近隣に集中する必要はなく、また、建設的でもありません。逆に、ある特定の近隣や村での前進が、そのクラスター全域での取り組みに新たなエネルギーと希望を注入するということはよく見られる現象です。それはクラスターの前進と、クラスター全域で行われている共同体作りのプロセスに新鮮な勢いを付与します。

 

51) 近隣や村の中の比較的狭い、人口の密集した地区に複数の活動が集中すると、一般住民は、活動に内在する精神的・社会的エネルギーの変革力を容易に認めることができます。親は自分たちの子供やユースの発展を目の当たりにし、自分たちの共同体の社会関係に新しい精神が吹き込まれていることを認識します。そうすると、家族全員がバハイ共同体の生活に惹かれて参加し、バハイの教えを受け入れることが多々あります。そして、やがてそれらの取り組みは、「その近隣や村の住民たち、つまり自分の周りの物質的、精神的状態の改善を願う男性と女性たちによって支えられます。」35

 

3.4 持続的発展の障害となるものを発見し、克服する

52) 前の五年計画で成長のための集中プログラムを開始した何百もの先進クラスターでは、信者たちは順調な進歩を遂げ、それによって第2の一里塚を越えて、学びの最前線に向けて進むことができました。しかし、他の何百ものクラスターでは、進歩の継続を妨げる障害に遭遇し、参加や活動のレベルが低下したところもありました。これらの困難を克服する方法を学ぶために、友らはそれまの方法を再検討し、修正することを余儀なくされました。このようなクラスターで起こった課題や、誤解について考えることは、同じような問題に直面しているクラスターを助けることになり、自分たちの置かれている現状を彼らが正しく評価し、適宜、必要な調整を加える手助けとなります。

 

53) あるケースでは、行動の枠組みに不可欠な側面の一つ、もしくは複数のことが設立されなかったために課題が持ち上がりました。例えば、あるクラスターでは、インスティチュート・プロセスがしっかり根付いていなかったため、インスティチュート・コースに本来備わっている学習と奉仕の関係をきちんと把握できませんでした。そのため、たくさんの活動を多くの人が実施するという有機的なプロセスをつくるよりも、むしろ、少数の信者が増える一方の責任に圧倒させられるようなことになってしまいました。人材開発という課題が解決されて初めて、活動範囲が拡大されました。他のクラスターでは、新加入者の獲得は容易でも、彼らに一連のインスティチュート・コースを学習し、奉仕の道に入るよう導くのに苦労しました。他のケースでは、バハイの間にたくさんの核となる活動を始めたものの、一般社会の人々にティーチングし、自分たちが実施している核となる活動に誘うことに適切な注意を払いませんでした。リフレクション・ミーティングを、経験から学び、それに沿って行動を修正する機会にするよりも、むしろし、計画作りと指導ばかりに集中したケースもありました。

 

54) 成長のプログラムの進化と共に現れる新しい局面に取組むときに誤解が表面化したケースや、その新しい取組みに気を取られて、他の面を疎かにするケースも時々ありました。たとえば、すべてのティーチング活動はが示された聖なる計画に対する共同体からの応答であるにも係わらず、あるところでは、集団で行うティーチング・キャンペーンと、個人で行うティーチングの責任を対立的な概念に二分して考える向きが見られました。また、近隣に焦点を合わせるという意味を、他所からの参加者を引き込んでの核となる活動は止めるべきであると解釈するケースも、時に見られました。時には、「この集中性を、画一性や排他性と取り違える傾向」36が見られ、それにより、一つの固定したアプローチに固執するとか、逆に、各人が思い通りの活動を進めてもよいのだという考えがでてきました。

 

55) 万国正義院が繰り返し指摘されたように、拡大と強化の活動において、間違いは必然的に起こり、新しい課題は必ず持ち上がります。それらの障害は、最終的には、忍耐と更なる経験を通して克服されます。無益な議論、個人的見解への固執、実体のない二分化、「複雑な変革のプロセスをマニュアルのように単純化してしまう傾向」37は、慎重さによって回避、あるいは英知で克服することができます。「障害を、進歩の足がかりに変える」38うえで必要な洞察は、共に学ぶことから得られます。

 

3.5  受容性がある住民のなかのユースへの接近

56) セクション1.2で検討したように、最先端を行くクラスターの多くで得られた経験は、共同体作りのプロセスに一般社会のユースの奉仕を駆り出すことに焦点を置いた戦略は有効ということを立証しています。この同じアプローチは、成長のための集中プログラムの設置や、強化のも有効です。万国正義院の代理による手紙に次のように記されています。

 

活気に満ちたジュニアユースグループの数を増やすことによって、共同体はたくさんのことを学ぶことができます。たとえば、有能な人材をどのようにして増やし、活用するか、仲間たちの中に奉仕の能力をどのようにして高めるか、拡大し続けるプログラムの効果的調整のあり方、どのようにして最初の一つの活動から、他の活動の自然な出現を導き出すか、です。そして、教育的プロセスと、参加者のなかに進む精神的、道徳的な発展の有機的な広がりの結果、時の経過と共に、成長のためのプログラムのすべての局面は拡大し、向上します。」39

 

57) イタリアの北西トスカーナ・クラスターでは、活動があるレベルにまで達したところで停滞し、ベテランの信者たちは、受容性のあるユースとの接触に困難を感じていました。そこで、ジュニアユース・コーディネーターと地区布教委員会の援助のもとに、受容性の高い住民たちと信者たちとの交流があったリボルノ市のいくつかの近隣で、ジュニアユース・プログラムの拡大に焦点をおいたキャンペーンを開始しました。イタリア全土から10人のユースが三週間、リボルノ市に結集し、共に祈り、学習し、ジュニアユース・プログラムについてどのように伝えるかについて準備しました。このキャンペーンの結果、一般社会から12人の若者がブック1とブック5の、二週間集中トレーニングに参加し、アニメーターとして奉仕する準備を整えました。受容性のある近隣の特定の年齢層に集中したこの経験により、核となる活動への参加者を増やすことに苦労していた共同体の展望は一変しました。二人の成人バハイは次のように書いています。「我々全員が、リボルノは以前とは違うと感じています。この共同体には新しい意識、新しいエネルギー、新しいビジョンが見られます。」と。今や共同体のほぼ全員が五年計画に関する活動に係わっています。ある者は地区布教委員会のメンバーとして、また、他の者は新しい信者や探求者のために自宅を祈りの会に提供し、ほとんどの人がユースと接触する努力をしています。同じような経験が、すべての大陸で見られます。

 

58) ジュニアユースグループはクラスターの中の特定の近隣や村に遍在することが多く、無論、すべての信者がその活動に直接携わることはできません。しかし、五年計画の活動に携わるすべての人が、そのプログラムについて十分知っていることはとても有益と証明されています。何故なら、そこで得られた洞察は、世の改善に貢献するという信教の使命について一般社会の人々と論議する助けとなるからです。アメリカのイースト・バレー・クラスターでは次のようなことがありました。つまり、ティーチング・チームやアニメーターとして活動する友らが、受容性の高い近隣の若者やその家族を、効果的に、ジュニアユース・プログラムに関する崇高かつ有効な対話に引き入れる方法について、ある一定期間、集中的に学習したのです。時の経過と共に彼らの努力は成果を生み、この対話は、ジュニアユースグループに関係したことだけでなく、クラスターの全域で活動する友らに広まり始めました。それはグループの数を増加させただけでなく、友らにより広い視野を与え、自分たちの努力を、共同体作りや社会変革という視点から見るようにしたため、成長のためのプログラム全体を高める結果となりました。

 

3.6 永続する親交

59) 励まし合いや助け合いの気持ちが、奉仕の道を共に歩むという固い決意のなかに表現されているクラスターでは、インスティチュート・プロセスが育む「愛情あふれる奉仕の精神」40がクラスターを活気付ける精神となります。これは、出現しつつあるバハイ文化の重要な要素であり、この要素は、友らの間の関わり合いの質に現われます。心を一つにして働き、互いの喜びや苦闘を共有し合うことによって、永続する友愛の基礎となる愛と友情の絆が築かれるのです。愛に満ちた友愛の精神が欠落しているところでは、どのような仕組みやプロセスもそれを補足することはできません。

 

60) 他の人々の能力を信頼すること、謙虚な学びの姿勢をもつこと、互いを支え合い、支援すること、忍耐と寛容、柔軟性と寛大さ、愛に満ちた友愛と激励、これらが存在するところでは、行動のための枠組みのすべての要素が互いに融合して前進します。万国正義院が言われているように、「奉仕の分野における精神的な力の影響はますます明白になり、健全な成長過程に不可欠の人と人との友情の絆は継続的に強化されます。」41

 

4.クラスターの動きを支える機構の能力を強化する

61) 行政的な措置に関するセクション1.4、および3.2では、活動の枠組みの成長と拡大によってクラスターの構造はどう進化し、更なる複雑化にどのように適応するかという側面に焦点をあてました。当セクションでは地方と全国レベルの構造とプロセスに焦点を当てます。これらのレベルでは、機構が「そのためにクラスターレベルで展開している成長のパターンとそれに関連する学びのプロセスを進める手立てを講じ、また、完成させること42に力を入れています。

 

62) 現五年計画の最初の二年間で調整ための体系はかなり進化しましたが、クラスターが学びの最前線に向かって進むときすべてのクラスターに適用される特定のパターンを限定するには早すぎます。もっと多くの経験を要し、時が経つにつれ、万国正義院からの更なるガイダンスが必要です。しかしながら、このセクションに提示する行政的構造やプロセスについての洞察は、予備的なものではありますが、各国や各地方の機構が、発展を続けるますます多くのクラスターの動きに伴う複雑化の速度に後れを取らずに進むうえで役立つでしょう。

 

4.1 トレーニング・インスティチュート

63) 世界中に300のトレーニング・インスティチュートがあり、その3分の1は地域レベルで動いています。それらのある機構はすでにかなり大きく、幾つかの部分からなっており、数十人のフルタイムやパートタイムのコーディネーターとアシスタントのもとに、何千人もの参加者をもつ数百の活動があります。長年、インスティチュートの仕事の大部分は、行政的事柄とプログラム開発を含め、全国と地域コーディネーターに委ねられていました。これらコーディネーターの責任は引き続き重要で、インスティチュート活動の範囲が何千ものクラスターに拡大されるにつれてさらに複雑になる一方、インスティチュート理事会の機能も一層強化する必要が出てきました。

 

(64) 全国精神行政会と地域協議会は大陸顧問と協議して、インスティチュート理事会メンバーを任命します。メンバーはチューター、アニメーター、子供クラスの教師や元コーディネーターとして直接奉仕したことがあり、インスティチュートの構造に精通している人たちで、人材開発と持続する成長の関係についてのしっかりした理解も必要です。そのような経験の蓄えをもって理事会は、年間計画や予算を組み立て、コーディネーターとの定期的なリフレクション集会を組織し、基金の流れを容易にし、他の機構と共同して働くという責任を背負います。更に、大陸顧問やその補佐たちと定期的に関わり合いを持ち、地域協議会、またそれがない場合は、全国行政会との頻繁な交信、時折の合同会議を通して、緊密に連携する必要があります。

 

(65) インスティチュートをサポートするすべての機構と理事会が考慮すべき重要な点は、調整の仕組み、そして各レベルで活動するコーディネーターが奉仕するにあたり、彼らとどのように共に歩むかということです。全国や地域コーディネーターは、どんどん数が増えていくクラスター・コーディネーターをサポートします。その方法は、経験を共有するために彼らを定期的に集め、日々の業務を現場で支援するために訪問したりすることです。更に全国や地域コーディネーターは、資金や必要な資料が滞りなくクラスターへ届くことを保障し、クラスター・コーディネーターが他のエージェンシーや機構と協力関係にあることを確実にします。一つの地域で数多くのクラスターで活動が進んでいる場合、コーディネーターの仕事を小さな区域に分けた体制をとる必要があるかもしれません。しかし、地域の状況に適した構造がいかなるものであれ、コーディネーターとして奉仕する友らは、お互いの経験から学び、新しく届いたガイダンスを一緒に探究し、自分たちの活動計画について反省と調整をするために、様々な機会をとらえて共に集うことが肝心です。

 

(66) 全国、地域、クラスターなどのレベルで活動しているコーディネーターが育むべき態度と資質があります。すなわち、トレーニング・インスティチュートの本質、目的と手段に対する深い理解と評価、共同体づくりのプロセスに対するコミットメント、他人の能力を育てる必要性についての認識、学びに専念すること、協力の精神、バハイらしく生きようとする人を支え、自分も他の人からのサポートを喜んで受け入れること。コーディネーターとして必要な能力を育てるためにはその仕事を数年続ける必要があるということが近年の経験から明らかになりました。そのため、この分野で数年間の奉仕ができるように、創造的な手段を作り出す必要があり、ユースの場合は、自分自身の教育の継続との両立についても考える必要があるでしょう。

 

4.2 ジュニアユース精神性強化プログラムの学習拠点

67) 前に述べたように、ジュニアユースの精神性強化プログラムについての系統だった学びのプロセスは、成長と共同体づくり全般に勢いをつけました。先の五年計画中に、ジュニアユース・プログラムの実施に著しい進歩を見せたいくつかのクラスターを、学びの普及のための拠点として指定したことによって、この学びのプロセスに本格的な構造が現れ始めました。異なった発展段階で、今や学習拠点の数は40となり、それら各拠点とそれにかかわるリソースパーソンらは約10のクラスターのネットワークをサポートしています。これら400近いクラスターのほとんどすべては世界で最先端を行くクラスターです。共同体づくり前進のための、機構の骨組みにおける重要な要素である系統だった学びの構造は、今、大陸顧問や顧問補佐、全国行政会、地域協議会、トレーニング・インスティチュートにとって貴重な資源となっています。万国正義院は説明しておられます。

 

これらの学習拠点、およびその関連クラスターで得た学びはアニメーターの能力、ジュニアユースグループの力学、多様な住民の間でこのプログラムの発展を支える調整の仕組みという分野が含まれ、ここでの学びはトレーニング・インスティチュートと共有されています。学習拠点で奉仕するリソースパーソンらがとトレーニングのためのセミナーを実施し、アニメーターとジュニアユースグループの数を増やすためにクラスター・コーディネーターと緊密に協力するときこのプログラムの効果は大いに高められます。43

 

4.3 地域バハイ協議会

68 この時点に、「自分たちの管轄地域での五年計画の達成を監督する」44という重要な責任を担っている地域協議会の包括的任務は成長のプロセスの最初の動きが見えたクラスターのサポートから、学びの最先端にあるクラスターの更なる前進を強めている、各クラスターにおける、豊かでダイナミックな連続性のある発展を確実にすることです。これはトレーニング・インスティチュートとの協力に加えて、クラスターレベルの機構、エージェンシーと信者に対する援助によって達成します。

 

69「機を得た地域布教委員会の設立と、その活き活きとした働き」45を確実にすることは、地域協議会の責任の一部です。先の五年計画で協議会は、説明会や協議と企画の集会、あるいは、布教委員会の働きやクラスターの進展をフォローする協議会書記やその立場にある他の友らの訪問を通して、効果的に機能する地区布教委員会の育て方についてたくさんの経験を得ました。このような交流の目的は、各クラスターが持つ強みと課題について査定することの他に、布教委員会、特に書記の能力を高めることにありました。もう一つの有益な実践は、その地域の活動の鍵となる人たちが実施した3か月、もしくは6か月毎の定期的なリフレクション・ミーティングです。そこでは地区布教委員会はどう支援され、どのようにクラスター成長に貢献しているかを評価しました。このような定期集会には、協議会の書記、大陸顧問や補佐、インスティチュートの地域コーディネーターやその他、クラスターの動きをフォローする役にある協議会メンバーやスタッフが参加します。

 

70) 地域協議会は現場での責任の他に、多岐にわたる行政的任務を遂行しています。協議会は、資金、情報、学び、パイオニアといったような人材、それらの流れを保障するため、効率的な組織や手順を備えようとしています。協議会書記の仕事の範囲は、行政的な仕事と現場での業務、場合によっては資産管理の監督をも含むもので、多くの人のフルタイムでの仕事に要するほどの時間が必要です。広範囲にわたる任務をこなすために、サポートスタッフをもって効率的に機能する事務局ができてきました。

 

5.信教が有する社会建設の力

71) 何十年もの間、何世代ものバハイたちはバハオラの教えを個人的、集団的生活に適用するために努力してきました。信者らは常に、新しい世界秩序と聖なる文明という遠い未来のビジョンに鼓舞され、一連の地球規模計画の目標達成に向けて努力し、身を捧げてきました。世界文明に関するこのビジョンは、ショーギ・エフェンディが書かれているように、「かつて誰も見たことも、考え付いたこともなかった」46ものです。バハオラの従者らはその当時は少なかったのですが、ショーギ・エフェンディは彼らの努力についてこう言及しておられます。

 

最大名の共同体は、自らの使命を認識し、信教が有する社会建設の力に自信を持ち、萌芽期にあるバハオラの世界秩序の成熟、発展に必要な手段を編み出し、完成させるために、思い止まることも落胆することもなく努力し、万難を排して前進しています。47

 

72) 信教に備わる変革と建設の力は、先進クラスターに徐々に明らかになってきています。そこでは、バハイたちは、集団的進展の中で近隣の人たちと一緒になって活動しています。そして、核となる活動に集中的に関わるなかで自然に生じる社会的意識の高まりに、社会的な活動、あるいは数々の会話を通して応えることを学んでいます。万国正義院は、次のように述べておられます。

 

過去12カ月の特記すべき特徴は、バハイ共同体は、広範囲な分野において、同じ考えを持つ人々と共同で社会改善に努めているということが公に認められる状況がいっそう頻繁に起こっているということです。国際的な舞台から村落の草の根に至るまで、あらゆる状況での思想的リーダーたちはこう述べています。つまり、バハイは全人類の福祉を心に止めるだけでなく、何をどうすべきか、および、その志を実現するうえでの効果的な手段について非常に明確な概念を持っていると。48

 

73) いまバハイ共同体には、「文明建設の多種多様な側面」49を前進させる力が前よりももっとあります。このプロセスの複雑性、そして、前途に立ちはだかる、再発する課題について熟考するとき、が「真の文明」50を確立する作業について述べておられるように、「尽力、たゆまぬ尽力が求められる」51ことは疑う余地もありません。同時に、バハオラの聖なる愛に関する数々の言葉と、友らの生活のなかにみられるすべてを制するバハオラの力の証拠を念頭に、友らは前進し、どこに住んでいようとも、自分たちの才能と精力とを「世界の再生と地上の諸民族や諸親族の救済のためになる」53 活動に捧げるために「冷静に、自信を持って、また絶え間なく」52 努力するのです。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


参考文献

 

1.       RM 2013 3段落

2.       UHJ 20111212

3.       RM 2013 4

4.      

5.      

6.      

7.       〃   第6段落

8.       バハオラの未翻訳の書簡より

9.       UHJ 20111212

10.  

11.   UHJ 20051227

12.   RM 2013 45段落

13.   〃  第6段落

14.   UHJ 20101028 17段落

15.   RM 2010 21段落

16.   UHJ 20101228日 第21段落

17.   RM 2010 第27段落

18.   〃  第29段落

19.   UHJ 20101228 4段落

20.   UHJ 2011523日 第2段落

21.   UHJ 20101228 4段落

22.〃   第5段落

23. 〃   第4段落)

24. RM 2010 19段落

25. UHJ  20101228 4段落

26.〃   第10段落

27RM 2010 第12段落

28.〃   第11段落

29.〃   第11段落

30UHJ  20101228 4段落

31.〃   第7段落

32.〃   第7段落

33UHJの代理より米NSA宛て 2012 89

34RM 2010 第6段落

35. 〃   第5段落

36UHJよりCBC 20051227日 第16段落

37UHJ 20101228日 第8段落

38.〃      第5段落

39UHJの代理より米NSA2012 1114

40UHJ 20101228日第30段落

41.〃   第8段落

42.〃   第18段落

43UHJの代理よりドイツNSA201287

44. UHJ代理より仏の2LSA宛て2011123

45UHJの代理より米NSA宛て 2012 89

46.ショーギ・エフェンディ「世界文明の展開」-『世界的和合の目標』第9段落

47.〃   『最大名の共同体』第2段落  

48RM 2013 第8段落

49RM 2010 第26段落

50.アブドル・バハ「聖なる文明の秘訣」

51.〃

52RM 1996  42段落

53.バハオラの書簡-ケタベ・アグダス後に啓示 「アードの書」第14段落