遺体の掘り起こしと再埋葬に関する編纂書

 

万国正義院のために書かれた手紙からの抜粋

 

 

一般原則

 

[1]  一度埋葬された遺体を掘り起こさないことが望ましいです。しかし、やむを得ない事情があれば、バハイの掟では、遺体を掘り出し、埋葬し直すことは許されています。これは通常、不可抗力による事情により絶対的な必要に迫られた場合、例えば、法律上で義務付けられているなどの場合のみに行われます。今回の問い合わせはそういった例ではないようです。今回、故人の家族は、30年近く埋葬されている母親の遺体を、公営墓地のアルコーブ(壁の窪み)から、私営墓地へ移動したいということですが、このような場合においては、万国正義院は、ご提案のように遺体を掘り出し、移動することを避けるべきであると考えます。

2012年、923日付ある全国精神行政会宛の手紙からの抜粋)

 

[2]  親愛なる守護者の代理で、彼の秘書が書いた手紙にこうあります−「魂は肉体から去った後、肉体との関係はなくなりますが、肉体はかつて魂が宿っていた聖堂であるので、バハイは肉体が敬意を持って扱われるべきであると教えらっています」。これらの言葉は、なぜ、原則として一度埋葬された遺体を掘り起こさないことが好ましいかを示しています。しかし、やむを得ない事情があれば、あるいは、民法上で義務付けられている場合は、バハイの掟によると、遺体を掘り出し、埋葬しなおすことはできます。しかし、その場合、友らは、なるべく故人が亡くなった場所から、できる限り一時間以上の場所へ移動しないようにするべきです。つまり、亡くなった場所の近くに埋葬するといったバハオラの掟の精神を順守することを念頭に置くべきです。

(201425日付のある個人宛の手紙からの抜粋)

 

[3]  万国正義院は、「死亡した場所」というのは、故人が亡くなった市や町であると理解し、一時間以内の場所で埋葬するにあたっては、その市の境界から計算してよいと助言しています。

1985年、224日付ある全国精神行政会宛の手紙からの抜粋)

 

 

重層の墓・納体堂・小型の棺を使うこと

 

[4]  バハイの掟では、死骸を尊重に扱うよう配慮さえされていれば、再埋葬のために、より小さい棺に入れ替えることを禁じていません。

1996年、229日付ある全国精神行政会への手紙からの抜粋)

 

[5]  地下室または納体堂は一つの解決策かもしれません。さらに、同じ墓の中に何段かの墓を重ねる可能性を検討する価値があるかもしれません。

1997811日付ある全国精神行政会への手紙の抜粋)

 

[6]  守護者は、「各故人に専用の墓を作ることがより好ましく、よりふさわしい」と述べておられますが、万国正義院は、この言葉は、より好ましい選択についての陳述であり、絶対的な決まりではないと助言しています。さらに、万国正義院は「墓」に伴う必須条件について法律を制定しておりません。また、棺を壁龕(へきがん)や、棺を何層にも重ねてある霊廟に納めることについて、現時点では、法律を制定することも考えてはいません。したがって、この問題は貴国の精神行政会の判断に委ねられます。

2003428日付ある全国精神行政会への手紙からの抜粋)

 

[7]  バハイの掟では、何段かの墓に埋葬をすることや、土地が硬質の岩からなっている国などの習慣にあるように、地上の納体堂を使用することを禁じてはいません。1986年、729日付の個人あての手紙からの抜粋)

 

 

[8]  まず貴国の全国精神行政会がするべきことは、問題の地域、あるいは、その近くに、地上に埋葬することを含めて、民法にかなう埋葬の手段があるかどうかを調べることです。例えば、墓地に使用できる土地が非常に限られている国の全国精神行政会が出した問いに対して、万国正義院は次のことを勧めています。つまり、墓地を必要とする各地域に、小さい土地を購入し、そこに、多数の個人用納体室から成る霊廟を建てるということです。なお、それらの個人用納体室が何層かに重ねられることに問題はなく、また、その建物の周り、あるいはその前か中に、小さい魅力的な庭園を作ることができるとの指摘もありました。故人が亡くなった場所から一時間以内の場所で埋葬する掟は、死亡した市や町の境界から計算できますし、移動する手段が制限されないことも念頭に置くとよいでしょう。

2008615日付ある全国精神行政会への手紙からの抜粋)

 

 

共同の墓

 

[9]  もし選択肢があれば、遺体を埋葬しなおす際、共同の墓ではなく、専用の墓に埋葬されることがより好ましいです。

1999110付のある全国精神行政会あてのメッセージからの抜粋)

 

[10]  もし共同の遺体安置所を使用することが唯一の選択肢ならば、また許されるならば、遺体をより小さい棺に納めてからその遺体安置所に納めることが望ましいです。

(2006620日付ある全国精神行政全国精神行政会あての手紙からの抜粋)

 

 

土地が狭い、あるいは高い国や、墓が期限つきで貸される国

 

[11] あなた方の19781211日の手紙にあった、バハイの信者の遺体を元の墓から移動することに関する問いに対して、万国正義院は次のように答える指示を出しました。つまり、バハイの掟では、遺体を掘り出して、埋葬しなおすことは許されます。しかし、万国正義院は、故人が亡くなった場所から一時間以内の場所で埋葬するというバハオラの掟を守るために最善の努力を尽くすべきであると考えます。

  において約30年の期間付きの墓地利用という習慣に関して、あなた方が予期する問題について、万国正義院は、元の墓が破壊されたり、その他の理由で掘り起こされたりする場合などに、遺体を移動することに関して原則として問題はないものの、永代使用が可能な墓地のための小さい土地を購入すること、あるいは墓地そのものが破壊される予定でなければ、墓地利用期間を延長する可能性を探ることが賢明であると提案しています。つまり、一度埋葬された遺体を掘りこさないですむような手配ができれば望ましいですが、もし不可能であれば、故人が亡くなった場所から一時間以上の場所へ移動せず、亡くなった場所の近くに埋葬するといったバハオラの掟の精神が守られるよう、できるだけのことをすべきです。

1979年、111日付、ある全国精神行政会への手紙からの抜粋)

 

[12]  私たちは、万国正義院から、次のように説明するよう指示を受けました−親愛なる守護者の代理として彼の秘書がこう書いています−「魂は、肉体から去った後は肉体との関係はありませんが、肉体はかつて魂が宿っていた聖堂であるので、バハイは肉体が敬意を持って扱われるべきだと教えられています」。この言葉が、次のバハイの態度の根拠です。つまり、遺体の埋葬後ほんの数年で遺体が掘り起こされたり、墓が完全に取り壊される可能性がある場合、平静を保って見ていられないこと、また、こうした行為が習慣である国々において、バハイの共同体は故人の遺体が敬意を持って扱われ、構成要素が徐々に分解されるまで、安眠の墓地を入手する努力をすること、です。

 人口密度が高く、地価が高い国々では、選択肢は限られていますが、それらの国の全国精神行政会は、バハイの墓を冒涜行為から守る方法があるかどうか調査し、確認する責任があります。

1979年、63日付、ある全国精神行政会への行政会への手紙からの抜粋)

 

[13]  墓地に使用できる土地が非常に限られている国の全国精神行政会から出された問いに対する返事で、万国正義院は、墓地を必要とする各地域に、小さな土地を購入し、そこに多数の個人用納体室から成る霊廟を建てることができる、と提案しています。なお、それらの納体室をいくつかの層に重ねることは問題ではなく、霊廟の周りや内部に小さいが魅力的な庭園を作ることもできます。

2004年、216日付ある全国精神行政会への手紙からの抜粋)

 

 

私有地での埋葬

 

[14]  万国正義院は、あなたの2014619日付の手紙を受け取りました。その手紙に、あなたは母親の遺体を掘り出し、私有地に埋葬することについて指導を求めました。あなたの手紙によると、現在母親が埋葬された所では、墓地は7年しか使用できず、その後、7年毎に、使用料がかかり、合計21年間しか使用できない、ということです。こうした状況で墓地が使用できなくなった場合、母親の遺体をどうすればいいのか、また、初めの7年間の使用期間が終了した時に、その遺体を掘り出し、自分の持っている私有地に再埋葬してもよいか、という質問でした。私たちは、次のように答えるように指示を受けました。

 お母様の遺体をあなたの私有地に再埋葬することは、上述の条件を満たすならば、また、国の法律がそれを禁じていなければ、問題はありません。そして、母親の遺体を現時点で掘り起こし、再埋葬しても良いか、あるいは将来そうするべきかの判断は、あなた次第です。

2014年、819日付、個人宛の手紙からの抜粋)