ローへ・カルメル(カルメルの書簡)

 

 この日に賛美あれ。この日こそは、慈悲の芳香が全創物の上を漂った日であり、過ぎ去ったいかなる時代も及ぶことのできない日、そして日の老いたる御方の御顔が彼の聖なる座へ向けられた日である。ここに全創造物の、そしてその彼方からは天上の群集の高らかに叫ぶ声が聞かれた。「急げ、おおカルメルよ。見よ、名の王国の統治者にして天の造物主なる神の御顔の光は、汝の上に投げかけられた故に。」

 歓喜に我を忘れ、カルメルは声高らかに叫んだ。「私の命があなたへの犠牲とならんことを。なぜなら、あなたは私を見つめ、あなたの恩恵を授け給い、あなたの歩みを私の方へ向け給うたが故に。おお、永遠の生命の源なる御方よ、あなたからの隔離で私はもはや焼き尽くされ、あなたのおそばから遠く離れることにより私の魂は焼き尽くされてしまいました。あなたに賛美あれ。なんとなれば、あなたの呼び声に私の耳を傾けさせ、あなたの足音で私に栄誉を授け、あなたの日から漂う生命を与える芳香と、あなたの民の間であなたのラッパの音と定め給うたあなたのペンのかん高い声により、私の魂を活気づけ給いました故に。そして、あなたの抵抗できない信教の啓示の時がやって来ると、あなたはあなたの精神の息吹をそのペンに吹き込まれました。すると、見よ、全創造はまさにその基盤より揺り動かされ、全創造物の所有者なる御方の宝庫に隠されていた神秘は人類に明かされたのです」。

 カルメルの声がその最も崇高なる場所へ届くやいなや、我はこう応えた。「汝の主に感謝せよ、おおカルメルよ。わが存在の海が汝の面前でうねり、汝の眼と全創造の眼を慰め、全ての見えるものと見えないものを喜びで満たした時、我よりの隔離の炎は汝を焼き尽くしつつあった。この日、神は汝の上に神の玉座を確立し、汝を神の印の黎明の場となし、神の啓示の証拠の曙となし給うた。それ故、大いに喜べ。汝の周りを巡り、汝の栄光の啓示を宣言し、汝の主なる神より汝に与えられた、溢れんばかりの恩恵について述べる者は幸いである。栄光に満ち給う汝の主の名において不滅の聖杯をつかみ、主に感謝せよ。なぜなら、主は汝への慈悲の印として汝の悲しみを喜びに変え、汝の嘆きを転じて至上の歓喜へとなし給うたのであるから。まことに主は、御自身の玉座を据え、主の足が踏み入れられ、主の来訪によって栄誉を与えられ、主が呼び声をとどろかせ、主が涙を流し給いしこの地を愛される。

 「おお、カルメルよ、シオン[1]に呼びかけ、吉報を告げよ。人類の目から隠されていた御方は、今や出現した!すべてを征服する彼の主権は現され、すべてを包みこむ彼の光輝は明示された。ためらったり、立ち止まったりすることなきよう注意せよ。急ぎ行きて、天より降りてきた神の都の周りを駆け巡れ。この神の都とは、神の寵愛を受けた人々、心清き人々、そして最も崇高なる天使の集合が崇敬にその周囲をかけ巡った天のカーバである。おお、この啓示の吉報を地上のあらゆる場で告げ、その一つ一つの都市にあまねく伝えることを我は切に願う。この啓示にシナイ[2]の心は魅惑され、この啓示の名において、燃える柴[3]はこう叫んでいる。「天と地の王国は、主の中の主におわす神に属す。」まことに、この日こそは地と海とがこの吉報に歓喜する日である。そして、人間の知性や心の理解力を超える恩恵をもって神が啓示のために定め給うたものは、この日のために蓄えられてきたのである。やがて神は、汝の上に神の箱舟[4]を走らせ、名称の書で述べられたバハの人々[5]を現されるであろう」。

 全人類の主は神聖なり。主の名が述べられるやいなや、地上のすべての原子は震動し、壮大なる舌は、主の知識に包まれ、主の威力の宝庫に隠されていたものを明かされたのである。まことに彼こそは、強大にして力に満ち、最も高遠なるその御名の力によって、天と地にある全てのものを統治し給う御方なり。

 

 

 



[1] イスラエルのエルサレムにある丘。エルサレムの神殿がここにあった。(訳注)

[2] シナイ山はモーセが十戒を受けたといわれる山。シナイ半島はエジプト北島部、紅海の北端にあるが、ここがその山のあったところと考えられている。正確な位置は確認されていない。(訳注)

[3] モーゼはシナイ山に登り、燃える柴を見、神と会話したとされる。(訳注)

[4]象徴的な意味で、神の法律を指す。(訳注)

[5]万国正義院のメンバー(訳注)