バハイ埋葬の手引き

「王国こそが真の世界であり、この下界はその影にすぎない。」アブドル・バハ

 

 

 

目次

 

序文  1

全精会への届け出  1

一般行政機関への届け出 5

バハイの埋葬に関する法 7

埋葬 7

埋葬場所の準備 8

棺 8

遺体の準備 8

医学研究のための献体 9

葬儀社 9

遺体の搬送 9

葬儀 10

墓の方角 12

墓石 12

日本のバハイ墓地 13

墓地の予約 13

遺言 14

ホゴゴラ 14

注釈 15


 

序文

 バハイが守るように現在義務付けられている『アグダスの書』の法令は、バハイの日常生活の一部であり、またそうでなくてはならないものです。この中に埋葬に関する法が含まれており、その一部は万国正義院によって、守るべき義務として公布されています。本書には、日本のバハイ共同体のための、埋葬に関する法、付随する決まり、そして埋葬に関連した一般自治体への手続きが説明されています。

 以前は、日本でも土葬(遺体をそのまま埋葬すること)が一般的に行われていましたが、第二次世界大戦後、火葬が普通となっています。このことが、バハイ共同体にとって、意識及び実用面の両方で支障となる場合があります。意識の面では、土葬はなじみが薄く、火葬に比べて実用的でないと思われる傾向が一般社会には広まっています。また、実用面では、土葬の可能な墓地が比較的少ないということがあげられます。

 意識面に関しては、埋葬に関するバハイの教えを学習すれば、その支障を取り除くことができます。次は、バハイの書物や手紙からの抜粋ですが、それには埋葬がいかに崇高で自然の理にかなったものであるかが示されています。

 

 「内なる存在は、それが座するところの肉体を見ているのである。故に、後者を敬意をもって扱うことは前者に敬意を払うことに等しい。また、その逆も真である。従って、遺体を最高の敬意と尊厳をもって扱うよう定められたのである。」(バブ、『Selections from the Writings of the Báb』、p. 95

 

「人間の肉体は徐々に形成されたものであり、同様に徐々に分解されてゆくべきである。これは自然の真の法則であり、神聖なる法である。死後に焼かれるべきものであれば、肉体は死後に自然に着火し、燃え尽くされて灰と化すよう、創造の始まりから計画されていたであろう。」 (アブドル・バハ、『Star of the WestVol. XI, No. 19, p. 317

 

「(埋葬場所は一時間以内で移動できる場所であることという法では)世界はひとつであることが強調されており、また肉体よりも精神の方が重要視されています。」 (万国正義院書記局、『Baháí Burial and the Baháí Funeral Service』)(訳注:「世界は一つであることが強調」されているとは、どこに埋葬されても大地に戻ることに変わりはない)

 

 全国精神行政会 は、日本各地に埋葬場所を入手し、今日まで墓地入手の問題に対応してきました。しかし、将来、埋葬場所がさらに必要となることは必至です。このことについて、個人バハイや地方の共同体は、バハイの法に応じて埋葬できる墓地が自分たちの住む地域にあるかどうか調査をすることで、援助することができることでしょう。さらに、バハイ墓地制度で収める予約金が、全国精神行政会が埋葬用の土地を今後取得するために使われているということも忘れてはなりません。(予約金については、「墓地の予約」の章を参照)

 バハイの埋葬方法や手順は、『アグダスの書』に書かれている法が基礎となっていますが、埋葬に関しての更なる規則やガイダンス及び法の解説については、ショーギ・エフェンディの代理や万国正義院書記局による手紙に書かれています。したがって、この手引きに記されている埋葬に関する情報は、『アグダスの書』の他、『Lights of Guidance』、バハイの葬儀・埋葬に関する編纂書、全国精神行政会や個人バハイ宛の手紙などが出典元であり、したがって、バハイの権限あるガイダンスに基づくものです。

 この「手引き」に記されている具体的な手順は、全国精神行政会によるガイダンスと、墓地委員会が編纂した資料及び実際の経験に基づいています。「遺言」と「ホゴゴラ」の章は、死去したバハイの事柄に関連があるという理由から、この「手引き」に加えられています。

 巻末の注釈による補足は、この手引きの本文に述べられている内容を展開、または説明するもので、本文中に括弧で括られた数字で示されています。

 「埋葬の手引き」の総合版である本書に加え、新しく二つのタイプの「手引き」が作成されました。すなわち、「埋葬の手引き」要約版(これは遺族がバハイでない方向け)、そして「芦屋バハイ霊園埋葬の手引き」(これは2010年、2013年、2015年に作成され、個人的に配布されていた手引書に替わるもの)です。この三つの「埋葬の手引き」の英語版も作成されています。

 「手引き」を読まれて、更新、訂正などのご提案、あるいは内容に関するご質問があれば、全国精神行政会へご連絡ください。

 

連絡先:日本バハイ全国精神行政会     160-0022  東京都新宿区新宿7-2-3 

メール: nsajp@bahaijp.org  Tel: (03) 3209-7521  Fax: (03) 3204-0773

 

最後に、「わが言葉の大洋に身を沈めよ」とバハオラが『アグダスの書』に述べられているように、バハイ一人一人が信教の法の理解を深めることに責任があります。そして万国正義院は、この事柄について精神行政会も共同体に対しての責任を持っていると明確にされています。

  「死者の埋葬は、非常に重要かつ厳粛な行事です。葬儀の実施や土葬の手はずは、故人の親族に委ねることができますが、地方精神行政会には、埋葬に関するバハイの法の基本的要件について信者たちを教育する責任があります。また、親族が基本的要件を守らないように思われる場合は、丁重かつ相手の気持ちに配慮しながら法の要件を指摘する責任もあります。」 (『Messages 1963-1986』、p. 489

   「正義と堅固さをもってバハオラの法を適用するだけではなく、これらの法に対する信者たちの理解と献身を高めることは、全国精神行政会及び地方精神行政会の重要かつ緊急の義務です。」 (『Lights of Guidance』、p.342

 

この「手引き」は、全国精神行政会の監修のもと、承認されるものです。埋葬と葬儀のための参考としてバハイ共同体に役立つことを心より願ってやみません。

 

 

バハイ墓地委員会

バハイ葬祭デスク

 

20175

 

 

 


 

バハイ埋葬の手引き

 

 

全国精神行政会への届け出

 

 バハイが死亡した場合、遺族や代理人は、全国精神行政会に届け出ます。故人の氏名、住所、死亡した場所等の基本情報を伝え、また次の事項を処理します。

 *埋葬場所故人がバハイ墓地への埋葬を予約している場合、そのことを全国精神行政会へ知らせなければなりません。予約をしていない場合、全国精神行政会は遺族がバハイ墓地への埋葬を希望しているかどうかを確認します。(予約については、後述の「墓地の予約」を参照)

 故人がバハイ墓地に埋葬されない場合は、どこに埋葬するのかを決め、全国精神行政会に知らせます。当然のことながら、その場合でもバハイの埋葬に関する法の規定に従います。(1)

 *墓地使用許可申請墓地予約の有無にかかわらず、バハイ墓地に埋葬するには、全国精神行政会へ、正式に墓地使用の許可を求めることが必要です。

 バハイ墓地に埋葬する場合、全国精神行政会が葬祭デスクならびに担当の墓地委員会に、故人の氏名と遺族の連絡先を知らせます。墓地使用許可書は全国精神行政会が発行し、該当する墓地委員会または遺族に直接送付します。墓地委員会または遺族は、バハイ墓地がある霊園の管理者にそれを提出します。

 

 

一般行政機関への届け出

 

 一般の行政機関へ死亡の届け出を行わなければなりません。故人が外国籍の場合、該当する大使館か領事館にも連絡が必要です。行政への届け出手順には、各区市町村によって若干違いがあるかもしれませんが、下記の手順は、その一例です。なお、国の法律では、行政への届出人には、親族だけでなく家主、管理人、後見人等も含まれていますが、本書では、手続きにおいて親族の者が故人の代理人ということにして説明します。

 *埋葬許可書故人の本籍地、届出人の所在地、死亡した場所いずれかの市町村役場で埋葬許可を得なければなりません。取得には、死亡した病院で発行される死亡診断書と死亡届(用紙は各区市町村の窓口に用意されている)が必要です。故人が外国籍の場合は、故人の在留カードを提示しなければなりません。国の法律では、行政への届出は、死亡の日から7日以内と定められています。

 窓口担当者には、故人がバハイの信者であること、火葬はしないことを伝えます(埋葬許可の申請書にその旨を記入する欄があるかもしれません)。埋葬する墓地の名前と所在地、また、その墓地の管理者を確認する必要があります。バハイ墓地が公立の霊園の中にある場合、所在する区市町村が管理者です。例えば、芦屋バハイ墓地は芦屋市霊園内にあるため、芦屋市が管理者で、担当部署は環境課となっています。死亡届け窓口では、死亡記載事項証明書が発行されますが、これは以後の法的手続き全般に必要になります。

 申請書に書かれている墓地または霊園で土葬による埋葬が認可されていることが、死亡届け窓口の担当者に確認されると、埋葬許可書は通常その場で発行されます。その後、発行された埋葬許可書は墓地管理者に提出しなければなりません。埋葬がバハイ墓地で行われる場合は、埋葬許可書は担当のバハイ墓地委員会または葬祭デスクの担当者に提出し、その担当者を通じてバハイ墓地のある霊園の管理者に提出されることとなります。

 *埋葬届埋葬届の書式は、墓地管理者(前述のように、通常は市や区のしかるべき部署)から求め、記入後、管理者に提出しなければなりません。バハイ墓地に埋葬する場合は、この埋葬届の用紙もバハイ墓地委員会が用意しますので、墓地委員会かバハイ葬祭デスクの担当者を通じて、管理者に提出することになります。

 上記の手続きには故人の代理人の印鑑が必要です。代理人が外国籍で、通常の行政手続きに印鑑を使用していない場合、署名で代用できるかどうかを確認してください。また、代理人は(死亡・埋葬等の)手続きの書類の写しを保管してください。日本在住外国人のための、有用かつ一般的な埋葬関連情報は、大使館のホームページなど、インターネットで入手できます。

 

 

バハイの埋葬に関する法

 

 下記は、『アグダスの書』における埋葬に関する法の概要です。現在、この法が例外なくすべてのバハイに義務付けられているわけではありません。現在、義務付けられているか否かの区別を記し、さらなる詳細は後述します。(2)

  遺体を五枚または一枚の、絹または木綿の布で包む。(現在は義務付けられていない)

  土葬、すなわち土に埋葬し、棺は水晶、硬く耐久性のある石材、または上質で耐久性の高い木材を使う。(一部、義務付けられている)

  死亡の場所から搬送時間が1時間を超えないところに埋葬する。(義務付けられている)

  故人が15歳以上の場合は、埋葬用の指輪をつける。(現在は義務付けられていない)

  故人が15歳以上の場合は、埋葬に先立ち「故人のための祈り」を唱える。(義務付けられている)

(注:義務付けの情報は20181月の段階のもの)

 

 

埋葬

 

 バハイの埋葬は、棺に入れ、土葬にしなければなりません(棺に関しては後述の「棺」を、墓地での棺の置き方については「墓の方角」を参照)。

 火葬は禁じられています。過去には、ある信者が亡くなり、遺言書もなく、またバハイの法に従って埋葬されるべきということも明言していなかったため、バハイではない遺族が火葬を行ったという例があります。「バハイの法に則った埋葬を望む」ということを近親者に伝えておくことは、信者一人一人の責任です(詳細は「遺言書」の章を参照)。(3)

 埋葬は、搬送手段が何であれ、死亡の場所から1時間を超えない所でなければなりません。死亡した場所と埋葬地が遠隔している場合は、埋葬地までの距離を死亡した市町村の境界から起算してもかまいません。この法を順守するのが困難あるいは不可能な場合は、全国精神行政会にご相談ください。

 埋葬までの時間に明確な期限はありませんが、『アグダスの書』の質疑応答の章において、バハオラはこう述べておられます−「埋葬は早ければ早いほどふさわしく、支持されるべきことである。」(4)

 

 

埋葬場所の準備

 

 埋葬がバハイ墓地の場合は、担当の墓地委員会が業者に依頼し、埋葬場所の準備を進めます。この作業の費用は、バハイ墓地の予約金に含まれています。(後述の「墓地の予約」をご参照ください。)

 埋葬の日時は、遺族、墓地委員会、業者の間で協議の上、決めます。業者が霊園の開園時間内に埋葬後の処理をすべて終了するために十分な時間が必要なので、埋葬はたとえば、午後の早い時間に行うのがよいでしょう。ただ、あまり早すぎても、埋葬の準備が間に合わなくなるおそれがあります。

 

 

 

 

 

 

 棺に入れて埋葬することは義務付けられていますが、棺の材質については、現在のところ義務付けられていません。しかし、『アグダスの書』の注釈には、次のよう書かれています−。「棺を作る材料については、法律の精神は、棺ができる限り耐久性のある物であるべき、ということである。」

 硬材を使った耐久性のある棺の入手は、日本では難しいかもしれません。なぜなら、日本では火葬に適した比較的柔らかく軽い材質のものが一般的だからです。これについては、全国精神行政会までお問い合わせください。

 個人で入手する場合、棺が埋葬場所に入る大きさのものにする必要があります。埋葬場所の寸法は全国精神行政会までお問い合わせください。

 

 

遺体の準備

 

 防腐処置(防腐保存)は禁じられています。(5) ただし、やむをえない埋葬の遅延や非常な暑さ等の場合は、遺体の保存にドライアイスは使用できます。ちなみに、病院や葬儀社の冷蔵施設は費用が高い可能性があります。

 故人が15歳以上の場合、特別な言葉が刻まれた指輪をはめてもかまいませんし、遺体を絹か木綿の布で包んでもかまいませんが、今の時点で義務づけられてはいません。また、遺体は予め洗い清めてもかまいません。これらの処置は、遺族でもできますが、葬儀社か病院でも行うことができるでしょう。

 遺体を洗い清めること、指輪をはめること、布で包むこと、これらの行為には規定がなく、特定のやり方はありません。指輪は葬祭デスクに在庫があります。英語かアラビア語で文字が刻まれており、価格は1,200円程度です。私服を着せての埋葬については、バハイの法では言及されていません。 これは、万国正義院書記局によって、個人のバハイに宛てて書かれた手紙の記述に基づくものです。遺体を布に包んでの埋葬は、現在全面的に義務付けられてはいないということ、そして、衣服での埋葬は規定されておらず、明確に禁じられてもいないということを踏まえるなら、埋葬に布を使わない場合は、衣服を着せることによって、遺体が何も身に着けていないという状態を回避することができます。 (6)

 バラの香油を遺体に使うといった慣行に従うこともできます。ただし、どんな慣習も、バハイの埋葬の法に沿っていなくてはなりません。さらに、慣習はあくまで慣習であり、バハイの法と一致しているとは限りません。遺体に埋葬の準備を施す際も埋葬時においても、バハイ以外の宗教の儀式的行為は避けるべきです。(7)

 

 

医学研究のための献体

 

 医学研究のために献体をしてもかまいませんが、(その後)遺体は火葬にしない、また遺体の搬送時間は埋葬場所まで一時間を超えないという規定を献体担当者に伝えるべきです。

 

 

葬儀社

 

葬儀社を利用するかどうかは遺族次第ですが、葬儀社については、死亡の発生した病院で紹介を受けてもかまいませんし、遺族が手配してもかまいません。バハイ墓地に埋葬する場合は、担当のバハイ墓地委員会が葬儀社について助言できます。遺体を空路で搬送する場合、二つの業者(死亡発生の地元の業者と墓地担当の業者)の手配が必要となることが考えられます。葬儀社には、バハイの埋葬に関しての決まり事(すべきことと禁じられていること)を理解してもらうべきです。

 

 

 

遺体の搬送

 

 死亡の場所と墓地の場所によっては、遺体を空路で搬送することになります。空輸による搬送の際、埋葬用の比較的重い棺よりも搬送用の軽い棺を使用するほうが、費用は安く抑えられます。後者は、葬儀社から調達できます。搬送用の棺は、専用の空輸用コンテナに納めて運ばれ、墓地担当の業者の施設で埋葬用の棺に移し替えられます。詳細な内容については、死亡発生の地元の業者と墓地担当の業者間での調整が必要となります。遺体に同行する遺族の航空券は、死亡発生の地元の葬儀社で手配できます。遺体搬送の費用については、葬儀社の手配よりも安い代理店もあると思われますが、そのような調査は遺族自身の責任となります。

 

 

葬儀

 

 葬儀については、「故人のための祈り」を唱えること以外に、決まりはありません。「故人のための祈り」は、故人が15歳以上の場合は唱えるべきです。その場合、一人の信者によって唱えられ、その間、他の参列者は黙して立ちます。その際、ケブレの方角に向かう必要はありません。(8)

 バハイではない参列者には、「故人のための祈り」が唱えられている間は立つという決まりがあることを理解してもらうべきです。バハイではない参列者はもちろん、「故人のための祈り」以外のバハイの祈りを唱えてもかまいません。

 バハイの書には、いくつか、故人のための祈りがありますが、下記の「故人のための祈り」は埋葬に先立ち唱えるべき必須の祈りです。「故人のための祈り」を唱える際、故人が女性の場合は「(しもべ)」を「侍女」、「(しもべ)の息子」を「侍女の娘」、「彼」を「彼女」、と言い換えます。

 

「故人のための祈り」

 

おおわが神よ、これはあなたの僕であり、あなたの僕の息子であります。彼はあなたご自身と、あなたの御しるしとを信じ、あなたに顔を向け、あなた以外のすべてのものを超越いたしました。まことに、あなたは慈悲深き者の中の最も慈悲深き御方におわします。

 

人々の罪を許し、人々の過ちを覆いかくし給う神よ。ご恵沢の天上と、ご恩寵の大海原に相応しいままにこの僕をあしらい給え。天と地の創造以前より続く崇高なるご慈悲の領土に入ることをこの僕に許し給え。あなたの他に神はいまさず、あなたは常に許し給い、最も寛大なる御方におわします。

 

(次に「アラホ・アブハ」を一回唱えるごとに、その下に続く聖句をそれぞれ十九回ずつ唱える。)

アラホ・アブハ    我らみな、まことに神を礼拝いたします。

アラホ・アブハ    我らみな、まことに神の御前に(ぬか)ずきます。

アラホ・アブハ    我らみな、まことに神に献身いたします。

アラホ・アブハ    我らみな、まことに神を讃美いたします。

アラホ・アブハ    我らみな、まことに神に感謝いたします。

アラホ・アブハ    我らみな、まことに神のもとに、耐え忍びます。

                               バハオラ

 

バハイの葬儀進行には上記以外、決まった手順はありません。日本での過去の葬儀には、様々な形のプログラムが使われてきました。墓地において決められた祈りとその他の祈りを唱えて終了するという簡単なものから、それに加えて、個人の家、会場、バハイセンター等で朗読や回想をするといった念入りなものまであり、軽食や昼食が出されることもあります。なお、墓地での葬儀が長引くほど、天候の急変による影響を受けやすくなります。バハイの法には、葬儀の際に棺を開けて遺体を見せてもよいか否かの規定はありません。

 バハイ墓地に埋葬される場合は、担当のバハイ墓地委員会が、追加プログラムや昼食のために墓地近くの会場を提案できますし、葬儀社も施設を提供、紹介できます。墓地と故人の住まいが離れている場合、墓地での祈りを済ませた後、地元へ帰ってから追悼の行事を行うことも一つの方法です。葬儀プログラムを準備する際に考えるべきことは、予想される参列者の人数です。参列者が近親者のみと予想される場合は、墓地だけに場所を限定した簡素なものでも十分でしょう。要は、葬儀には決まった内容と式次第はないのと同様に、決まったもてなしの形もないということです。決められた祈りを唱えること以外に何かを加えるとか、昼食や茶菓子を提供するといったことは、遺族で決められることであり、前例にとらわれるべきではありません。

 遺族が、式次第の内容やプログラムの作成、参列者への連絡、葬儀社や埋葬場所を整備する業者との連絡調整など、葬儀に関する一連の事柄を進めるための担当者を決めてもよいでしょう。また、「故人のための祈り」を唱える人も必要で、唱えるための準備も考慮し、事前に決めておくべきです。(9)

 墓地によっては、埋葬地は砂利や雨で柔らかくなりやすい土が使われており、参列者は足場の悪さを考えて底の高い靴を避けるといいでしょう。

 墓地内に生花店があれば、供花用の花を注文できます。ただし、墓地内の生花業者は値段が張ることも考えられますので、遺族は外の業者を求めてもよいでしょう。バハイ墓地に埋葬される場合は、担当の墓地委員会が供花について注文も含めて対応できます。

 

 

墓の方角

 

 バハイの墓は、ケブレの方角に向けてもよく、現在はそうするべきであるという決まりもありません。墓をケブレの方角に向けるなら、「大圏コース」(または「大圏航路」あるいは「大円距離」)を基準にして方向を決めることが薦められています。「大圏」による方向は、ウェブサイト (例:www.qiblih.com )などで決められます。

個人で墓地を取得した場合は、遺体の足がバージの方向に向くように埋葬されるべきです。各地のバハイ墓地はケブレに向けて整備されており、遺体はバージに足を向けて埋葬されます。(10)

 

 

墓石

 

 墓石は、設置するという決まりはありませんが、設置するのが通例となっています。墓石を設置する場合は、最大名の装飾書体や指輪の標章を彫ることはするべきでありませんが、九角形の星形や「バハイ」という言葉、書物からの引用文は使ってもかまいません。九角形の星形を用いる場合は、注釈 (11) をご参照ください。バハイ墓地に埋葬する場合は、墓地委員会が遺族に石材業者を紹介できます。埋葬後の地面が落ち着くまで最低でも数ヵ月間は墓石の設置を待つべきです。

 

 

日本のバハイ墓地

 

 現在、日本には七か所のバハイ墓地があります。−北海道余市町、秋田県潟上市、茨城県常総市、神奈川県横浜市(横浜外国人墓地内であるため、墓地の使用には制限あり)、兵庫県芦屋市、岡山県笠岡市(未整備)、沖縄県南城市。用地のさらなる取得に向けて努力が続けられています。

 上記のバハイ墓地のほとんどは市町村立の規模の大きな墓地の一角か、仏教寺院の近隣にあります。全国精神行政会がそれぞれのバハイ墓地に担当の墓地委員会を設けています。墓地に関する詳細は全国精神行政会までお問い合わせください。

 なお、バハイは必ず、バハイ墓地に埋葬されなくてはならないという決まりはありませんが、いずれの場合でも、バハイ埋葬の法は守らなければなりません。ただし、この「手引き」に書かれている手順は、(法と違って)各地域やバハイ墓地の状況により、多少異なってくることが考えられます。

 

 

墓地の予約

 

 全国精神行政会は、バハイ共同体のメンバーがバハイ墓地への埋葬を希望する場合、埋葬の予約をすることを奨励しています。バハイ墓地の埋葬予約は、義務ではないものの、予約の場合の方が料金が安くなっています。代替案として、バハイ自身が地元でバハイの法にしたがった埋葬が可能な墓地があるかどうか調べておくのがいいでしょう。

 バハイ墓地の埋葬予約金は、112万円で、支払は一括でも分割でも可能です。申込書は、全国精神行政会で入手できます。予約がない場合の埋葬料金は160万円です。茨城墓地では2体(つまり2つの棺)を同じ墓に上下にして使用することが可能です。この場合の予約金は2体で224万円です。

 バハイ墓地の埋葬料金は、様々な経費に充てられています。更なる埋葬地の取得、墓地における掘削作業(たとえば、芦屋バハイ霊園の場合、芦屋市規定の埋葬場所用コンクリート製石室の設置)、墓地における埋葬の準備、埋葬の作業(棺を墓におさめる作業)や埋葬後の墓の復旧、バハイ墓地の美化(砂利、飛び石を敷くなどの造園作業)および定期的な維持管理、全国精神行政会がバハイ墓地の入っている大規模霊園の管理者に支払う年間管理費、などに充てられています。

 なお、遺体の墓地までの搬送、葬儀、棺の購入、墓石の建立に関わる費用は遺族側の負担となります。

 バハイ墓地によっては、一つの区画に複数の遺体(つまり棺2基以上)を埋葬できます。この件についてのお問い合わせは全国精神行政会までお願いします。

 

 

遺言

 

 遺言を書いておくことは『アグダスの書』で定められており、すべてのバハイに義務づけられています。遺言書の冒頭の書き出しについては、『アグダスの書』にはっきりとした形が規定されています。本文の第109段落と注釈の137番をご参照ください。遺言はただ書くだけでは法的と見なされるとは限りません。同様に、遺言はそれを執行する人も正式に任命しておく必要があります。よって、有効な遺言の書き方については法律専門家にご相談ください。さらに、外国籍の場合は、母国の法律などについても調べた上で作成してください。米国籍の場合、州の法律による規定があります。

 遺言においては、遺言者がバハイの法に従った埋葬を望んでいるということをはっきりと述べるべきです。遺言者が医学研究のための献体を希望する場合は、そのことも遺言で明確にしておくべきです。その際、バハイでは火葬は禁じられ、また埋葬の場所までの搬送時間が一時間を超えることも禁じられていることを付け加えておくべきです。ホゴゴラの支払いが該当する場合は、それについても遺言で明確にしておくべきです(次の章の「ホゴゴラ」を参照)。

 遺言書は、全国精神行政会に預けてもよく、また、全国精神行政会は遺言者の財産の一部の受取人として指名されてもいいのですが、全国精神行政会が遺言執行人として指名されるべきではありません。

 遺言者の親族にバハイがいない場合、あるいは遺言執行人がバハイでも親族でもない場合、遺言の中でこの「手引き」に書かれている様々な決まりを説明しておけば、それらを理解し、実行する助けとなるでしょう。説明には、現行の埋葬法の概要を含めるとよいでしょう。

 日本語版の遺言例は、全国精神行政会から入手できます。(英語版は、オンラインで見ることができます。)遺言に関してのさらなる説明は、『アグダスの書』の注釈の章をご参照ください。

 遺言の作成に加えて、バハイの法に従って埋葬してほしい旨を、親族だけでなく地方精神行政会にも伝えておくべきです。地方精神行政会がない地域に居住している場合は、全国精神行政会に伝えてください。

 

 

ホゴゴラ

 

 ホゴゴラは『アグダスの書』の中に制定されており、『アグダスの書』の注釈に「ホゴゴラを捧げることは精神的義務であるが、それは、各バハイの良心に任せられている」と書かれています。信者は、自分の死後、自身の財産から債務や埋葬などの必要な経費を支払った後、その残りから、ホゴゴラの対象となる部分を献納するように、遺言で伝えておくべきです。

 もし故人となったバハイの財産の一部がホゴゴラに献納する対象となっていれば、故人の遺言にホゴゴラ献納について何も書かれていない場合でも、または遺言書自体が残されていない場合でも、それとは関わりなく遺言の執行者(または、遺言書が残されていない場合、遺産の管理者)は、その財産の一部を献納する責任があります。それ故に、遺言を書き、その中でホゴゴラへの献納について示し、遺言の執行者が義務を果たすための手助けとすることが重要なのです。

 バハイが、故人の遺言で、財産の一部の受取人になっている場合、受け取る財産の種類によっては、それがいったん受取人であるバハイの手に渡れば、ホゴゴラの算定対象になることが考えられます。もし、受け取った分が算定対象となる種類の財産である場合、遺言者が生きている間に自分でその財産のホゴゴラへの献納額を納めていたとしても、また遺言の執行者がその遺産の分与以前に献納していたとしても、それとは関係なく、バハイの受取人は(改めて)その財産のホゴゴラへの献納額を納めなければなりません。(12)

 

 

注釈

 

1.(「全国精神行政会への届け出」p. 5   万国正義院書記局が全国精神行政会に宛てた手紙には、火葬された遺体の灰が納められている(一族の墓などと)同じところにバハイを埋葬してもよいと記されています。この件についての詳細は、「NSA通信第74号」(2016.4.8)をご参照ください。ちなみに、万国正義院書記局の手紙によると、別の全国精神行政会に宛てた手紙の中では、バハイでない人の遺体をバハイ墓地に埋葬(土葬)してもよいとあり、その上で、埋葬のためのスペースがあるかどうかが一つの決定要因になると付け加えています。なお、現時点では、日本では、バハイ墓地が不足しているため、原則でバハイのみがバハイ墓地を利用できます(ただし、特別な事由により、全精会が承認する場合を除く)。

 

2.(「バハイの埋葬に関する法」、p. 7)『アグダスの書』に書かれている埋葬の法は、万国正義院によってすでに義務として施行されているもの以外は、または、施行されるまで従うことを求められてはいません。また、義務付けられていない埋葬の法に従うかどうかは自由です。

 

3.(「埋葬」、p. 7 アブドル・バハは、伝染性の強い疾病で死亡した場合は、火葬は禁止のかぎりではないと述べられています。これは、極めて稀なケースだと思われますが、そういう場合は、医療機関や一般行政機関が、当然関わってきます。(国の法律では、保健所に速やかに届け出なければなりません。)信者がそういった疾病で死亡した場合、遺族は速やかに全国精神行政会と連絡を取るべきです。万国正義院書記局が日本の全国精神行政会に宛てた手紙の中で、火葬についての問題が取り上げられています。「NSA通信第74号」(2016.4.8)の要約をご参照ください。

4.(「埋葬」、p. 7 万国正義院書記局による手紙では、1時間以内の搬送についての法を常に順守する困難に理解を示しつつも、日本のバハイはできる限りそれに従うべきである、と記されています。また、その問題の解決法は、バハイの埋葬地をさらに取得することである、と指摘しています。これに関連して、国内に、バハイの法に従った埋葬が可能な墓地が見つかった場合、速やかに全国精神行政会までお知らせください。

 埋葬までの時間に関しては、中東の国々においては、バハイの間の慣習として、遺体は可能な限り24時間以内に埋葬されています。しかし、これはバハイの決まりではありません。埋葬の期限に関して、日本の法律では、死亡後、または死産後24時間以内の埋葬または火葬の禁止が定められています。ただし、死因が感染症の場合はその限りではなく、速やかな埋葬または火葬が求められる可能性があります。いずれにせよ実際には、日本で死後24時間以内のバハイの葬儀・埋葬を準備し、実行することは、非常に難しいと思われます。

 

5.(「遺体の準備」 p. 8   万国正義院書記局によって書かれた手紙の中に、埋葬が遅延されるため、あるいは法律で定められている場合は、遺体の防腐処置をしてもよいが、遺体の分解を一時的に遅くするための短期間用の処理に限られており、自然な分解を妨げ、遺体を永く保存することを目的とする防腐処置は許されていないとされています。(処置に使用する薬品の濃度や配合、使用の手順によって、防腐の時間に違いが出ます。日本では防腐処置自体は可能ですが、法律で義務付けられていないし、通常行われてもいません。バハイが死亡し、埋葬がやむをえない理由で著しく遅れ、短期間の防腐処置が必要であると思われる場合は、事前に全国精神行政会に相談してください。ちなみに、解剖は、バハイの法の下では、義務付けられても、禁じられてもいません。日本では解剖は法律で義務付けられてはおらず、犯罪の検証や特殊な医学的理由以外で解剖が行われることは稀です。

 

6.(「遺体の準備」、p. 8   ショーギ・エフェンディの代理によって書かれた手紙によると、遺体は洗い清められるべきであり、埋葬用の布の色は白であるべきで、生地は絹がより好ましい、と述べられています。しかし、この決まりについての万国正義院による全面的な施行はまだなされていません。埋葬用の布を絹か木綿にするということは、『アグダスの書』にはっきりと述べられており、前述の「バハイの埋葬に関する法」にも繰り返し記されていますが、そこに説明があるように、埋葬用の布の使用そのものは、現在は法としての義務付けはありません。ただし、実際には、バハイでは一般的に行われています。

 布について、『アグダスの書』にこう書かれています−「主は死者を五枚の絹または木綿の布で包むように、定めたもうた。財力が限られている者は、上のいずれかの布一枚で十分である」。さらに、『アグダスの書』の質疑応答の章(56番)において、「五枚と定められている遺体に着せる布に関して。五枚というのは、それまで通常用いられてきた身体に重ねて巻きつける五枚の布であるのか、それとも五枚の全身大の布のことであるのか。」との質問に対し、バハオラは「五枚の布のことである」と答えられています。当時は、五枚または一枚の大型の布で全身を包むのではなく、五枚の布それぞれで遺体の違う部分(肢、下部胴体、上部胴体など)を包むのが習慣でしたが、『アグダスの書』の注釈(151番)にはこう解説されています−「遺体が包まれるべき方法は、バハイ文書には、『五枚の布』が使われるにせよ、『一枚の布』にせよ、遺体の包み方がどうであるべきかという定義はない。バハイはこれについて自分の判断を用いることができる」。

 「私服を着せての埋葬は、バハイの法で規定されてはいない」という記述は、万国正義院書記局によって、個人のバハイに宛てて書かれた手紙の記述を抜き出したものです。遺体を布に包んでの埋葬は、現在全面的に義務付けられてはいないということ、そして、衣服での埋葬は規定されておらず、明確に禁じられてもいないということを踏まえるなら、埋葬に布を使わない場合は、衣服を着せることによって、遺体が何も身に着けていないという状態を回避することができます。

 

7.(「遺体の準備」、p. 8    ショーギ・エフェンディの代理及び万国正義院書記局によって書かれた手紙に、信者はバハイ以外の宗教を信奉するような行いや慣習は避けるべきであると同時に、慣例や慣習を体系化されたり、系統化されたりするべきではない、と記されています。中東地域出身のバハイの流れをくむ世代においては、埋葬の準備の際、遺体を洗い清める、指輪をはめる、埋葬用の布で遺体を包むといった行為の慣習的なやり方があり、他の行事のやり方も「聖なる家族」(すなわちバハオラとアブドル・バハの家族) のやり方をもとにしている場合が多くあります。しかし、ショーギ・エフェンディ及び万国正義院は、そういった活動を儀礼として規定することは、一般のバハイ共同体にとってふさわしいとはみなしておられません。また、ショーギ・エフェンディ及び万国正義院の代理によって書かれた手紙には、そういった慣行が義務的なものとみなされるようになり、儀式の典型として取り入れるようになる危険性があるため、規範として従うべきではない、と指摘されています。

 

8.(「葬儀」、p. 10   ショーギ・エフェンディの代理によって書かれた手紙(『Directives from the Guardian p. 33 を参照)においては、次のように述べられています。「正式なバハイの葬儀はバハイ信者のみのために行われるべきものであるが、(バハイでない人の葬儀に) バハイの祈りを読むことに異議はなく、求められれば、バハイがバハイでない人の葬儀を行うことにも異議の理由はない。」

 具体的には、「故人のための祈り」については、万国正義院書記局が個人のバハイに宛てた手紙に、次のように書かれています−「バハイでない方の葬儀で『故人のための祈り』を読むことが許されるかどうかに関しては、バハイの書には言及がありません。したがって、万国正義院がこの問題に決定を下すまでは、当事者の裁量に委ねられます。」 『アグダスの書』の注釈(10番)には「故人のための祈り」は「一人の信者が唱えること」と書かれています。

 

9.(「葬儀」、p. 10    日本には、葬儀に関連した慣習がかなり存在します。例えば、通夜、香典、伝統的な暦上で葬儀を避ける日、通常のあいさつでは差し支えないが葬儀で使うのは不適切とされる言葉や表現などが、それにあたります。言うまでもなく、そういった慣習は、正式にはバハイの葬儀には関係はありません。(ただし、バハイの書物では言葉の分別についての助言はなされています。)仏教やその他の宗教と直接関連した慣習や、バハイの埋葬の法にそぐわない慣習に関しては従うべきではありません。

 

10.(「墓の方角」、p. 12  ショーギ・エフェンディの代理によって書かれた手紙によると、バハイの墓はケブレの方角を向くべきであり、また、棺は故人の足がケブレの方角に向くように、つまり遺体がケブレに向くように納められるべきである、と示されています。しかし、万国正義院の書記局による手紙では、墓をケブレの方角に向けるという決まりは、現在のところ全面的に義務となっているわけではない、と説明されています。墓自体がケブレの方角に向いていなければ、当然、遺体の足をケブレに向くように納めることは不可能です。ただし、墓がケブレの方角に向いていれば、遺体の足もケブレに向かうように納めるべきです。 ここで述べておかなければならないのは、埋葬に関する決まりのなかで『アグダスの書』以外からのもの、つまり、ショーギ・エフェンディの代理によって書かれた手紙では明記されているが『アグダスの書』には出てこない内容(例えば、墓はケブレの方角を向くべき)についてです。これらは、『アグダスの書』の法と同じく、万国正義院によって公布されるまでは、全面的に守る義務はありません。

 ケブレの方向については、万国正義院は、その方向を決める適切な方法として、大圏コースは未だ公布していませんが、前述の書記局からの手紙には、日々の必須の祈りのため、墓の方角を決めるため、あるいは礼拝堂の方角を決めるためのケブレへの方角の確認方法が書かれています。その手紙には大圏による決め方が唯一取り上げられており、(地図上の直線などの)他の決定方法は取り上げられていません。したがって、大圏の方向が事実上、ケブレへの方角を決める正しい方法であると見なすことができます。

 「大圏」とは、地球をその中心を通る平面で切った際の架空の円に外接する線のことです。地球の表面のどこで2点をとっても、それを結ぶ線はすべて大圏の線であり、2点間の最短距離となります。経線はすべて大圏ですが、緯線では、赤道だけが大圏ということになります。

 できれば、バハイの墓はケブレの方角を向くのが通例となっています。日本からは、場所に応じたケブレへの大圏の方向は、概ね真西から北へ30度から35度です。聖地と日本のほとんどの場所とでは緯度的に非常に近いので、ケブレの方角は、見かけ上は緯度に沿って(つまり真西へ)照準が合っているようにみえますが、実際には、地球上の離れた場所への方角を決めるためには大圏の線に沿って照準を合わせるのが唯一の方法です。いわば、ある人が聖地にいてケブレに向いているとします。そして空中に浮きあがり、そのままずっと同じ方向(つまりケブレの方向)を向いたまま日本の自宅に空中を移動して戻るとすると、その人は大圏にそって移動したことになります。

 

11.(「墓石」、p. 12 ここに挙げられているもの(例えば、九角形の星形や最大名)については、バハイの墓石に使うことは承認、不承認の区別がはっきりと示されています。その一方、五角星形または星形五角形(すなわち haykal と呼ばれるもので、ショーギ・エフェンディの代理によって書かれた手紙 −『Directives from the Guardian p. 52 −の中では、「我々の信仰の象徴」であると示されているもの)については、入手できる限りの情報源には、承認とも不承認とも書かれていません。しかしながら、穏当な結論としては、五角星形は、(九角形の星形と違い)次の2つの理由から、墓石に使うことは避けるべきです。第一に五角星形は「神の顕示者」を表すものであり、最大名と同様

(『Directives p. 79)、一般の表示に使うにはあまりにも神聖なものであるということ。第二に、五角星形はバハイ以外の様々なところで広く使われているということです。(他の多角星形よりもはるかに一般的に使われています。)例えば、観念的なもの、オカルト的なもの、国家的なもの、軍事的なもの、ひいては、商業上のシンボルやグラフィック・デザインとしても使われています。

 九角形の星形を墓石に使用することに関しては、適正なデザイン、もしくは星の方向についての決まりはないものの、万国正義院の手紙には、ある特定の国における個人の信者の墓石のデザインについて次のように述べられています。「我々の理解では、一般に九角形の星形の星の中心点は上向きが望ましい。」(つまり、「星の中心点が上向き」ということは、星(九角形)の頂角のひとつが真上を指すということだと思われます。)この万国正義院の手紙には、ある特定の例に関して述べられてはいますが、読者はそれに述べられていることにならうことを選択されてもかまいません。

 

12.(「ホゴゴラ」、p. 14 ホゴゴラの法の説明は、死後の財産整理についての基本的な情報に限られています。問い合わせは、The Institution of Huquq‘llah in Japan 日本ホゴゴラ担当(huquq@bahaijp.org)までお願いします。

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